「第12回中国国際木工林業機械展覧会」が2013年3月5日から4日間、上海新国際展覧中心で開催されました。この展示会は2年に1度開催する木工機械専用の展示会で、約350社(海外からは15カ国50社以上)が出展していますが、残念ながら日本企業の出展はありませんでした。
一般の展示会はシステム化された巨大な設備が目立ちますが、この展示会は家具や木工品製造機械の展示が中心のため、比較的コンパクトな展示が多く、機械の展示内容やその機械の特徴が容易にわかりました。機械展示では原木(丸太)から皮を剥ぎ、薄板を製造する工程や曲がっている原木の特徴を把握し削る箇所を自動的に認識するような機械や、中華料理店や中国のホテルにあるような格子戸やレリーフ、テーブルの脚などの彫刻実演があったほか、「仏像」が機械彫りされており、私の「仏像=手彫り」の古い概念は打ち砕かれました。印象としてはかなり複雑かつ繊細なものまでコンピューター制御によって削られ、この分野の機械化の浸透具合が良くわかりました。
また、その他の展示としては用途別の鋸歯や彫刻機用の替刃、研磨をかけるヤスリの展示、木材チップやおがくずなどの廃木材をリサイクルする設備の展示もありました。
日本の一般住宅は、木造住宅から軽量鉄鋼造り住宅やマンションの割合が多くなってきたため、木材産業は斜陽産業であると言われており、木造住宅を専門に扱う工務店も減少傾向にあります。一方、中国では地方都市でも建築ラッシュであり、それに合わせて木材加工産業は成長しています。木は古くから人間の生活に密着したものであり、木が持つ風合いや手触り感などは人間にとっては癒しを得られるものであり、なくてならないものです。日本も中国も機械化による大量消費社会で、忙しい現代社会では忘れがちなことでありますが、人間が古来より持っている自然との調和は大切にしたいものです。