中国進出インタビュー

第 94 回「中国の売り場を元気に!」株式会社メディア

 

昔、上海のコンビニに行くと、店員がお釣りを放り投げて返してくれた記憶があります。それほどサービスが行き届いていなかった上海も、今でも日本並みではありませんが、店員のサービス精神も向上してきました。

しかし中国人従業員にサービス精神を教育し、中国の売り場を改善することは簡単ではありません。今回は小売の現場の声に耳を傾け、現場目線のコンサルティングを行っている株式会社メディアフラッグ中国現地法人/梅地亜福(上海)管理諮詢有限公司の向本総経理に中国での事業展開や小売店の現状についてお話を伺いましたので、ご紹介します。

 

u  P2.png業務内容

 弊社は流通・サービス業に特化したアウトソーシング事業、コンサルティング事業を展開しております。具体的には店舗の状態を把握するための店舗への覆面調査やWEBアンケートの店舗調査といったリサーチ&コンサル事業、販売スタッフの派遣(キャンペーン期間中限定の店頭プロモーションなど)や棚替え改装応援といったセールス&プロモーション事業、「現場」と「消費者」の状況をリアルタイムで報告するシステム「MarketWatcher」を活用したASP事業を取引先へ提供し、流通小売店舗の改善を行っています。

 

弊社が中国に進出したのは2012年。中国への進出は某日本自動車メーカーの中国拠点から中国での即売会イベントの管理を要請されたことが主なきっかけでしたが、現在では日系企業からの要請だけでなく、中国企業からも店舗改善の要請を受けるケースが増えてきました。

 現在行っているプロジェクトの1つが、中国の最大手フルーツ販売チェーンへの現場改善で、クライアント企業は高い品質と豊富な品揃えを武器に中国全土に約3,000店舗以上展開、毎月100店舗の新規開店するほど急拡大している中国企業ですが、事業拡大する中で、日本流の流通システムを取り入れたいという経営者の思いから、弊社にコンサルティングのお声掛けを頂きました。 

日本は1店舗ごと慎重に店舗展開を広げていきますが、中国では規模を急拡大しようとするため、店舗は増えるものの、管理人員が不足し店舗管理が行き届かなくなります。そして本部の意図が、店舗に伝わらず、独自の営業をする店舗が出てくるケースもあることから、中国では現場での教育、適切な人員管理の仕組みに対する必要性が増していることが背景にあります。

 

弊社メディアフラッグの特徴として、日本本社には小売業出身者が多く在籍し、社員自身が小売業で得た現場経験に基づき、現場目線でアドバイスが行えることです。私も昔はオートバックスセブンに勤めた経験があるからこそ、日本と中国の違いはあれ、小売現場の実態をよく理解でき、現場で起きていることが想定できます。経験に基づいた想像力、これが弊社の強みの1つです。

中国企業の中には弊社同様に小売業の実態を覆面調査して、クライアントに報告する同業も多数存在していますが、中国の競合他社は調査の報告がメインになりがちです。弊社は調査結果の報告だけでなく、その結果に基づいて課題を整理し、その課題をどう改善していくのかコンサルティングを行うことが強みであり、他社との違いでもあります。

 

u  中国の小売店

昔、中国へ来て、コンビニエンスストアに入った際、お釣りを放り投げる店員に腹を立てたことがありました。現在は昔と比べ改善が見られますが、日本と比べれば伸びしろはまだまだあります。

なぜ小売店のサービスが日本並みに向上しないのか。この原因は中国に限ったことではありませんが、アジアの小売現場では日本と異なり、現場の役割が明確になっていないケースが殆どで、これが従業員のサービス精神が向上しない一因でもあります。例えば、弊社がサポートしてきたインドの小売の現場では、表面上には存在しないはずのカースト制度が実際には存在していて、地位の低い人が偉くなる未来がありませんでした。そこで、店舗の業務役割と給与規定を定め、現場で働く人たちのキャリアプランをつくることで、店舗スタッフのモチベーションを高め、結果として小売の現場改善に繋がりました。中国も同様で、従業員の役割・キャリアプランを設定して、ルールを定めることで、特に若い従業員達は自分達がやるべきことに気づき始めました。

 

中国の小売業を見ていますと、ネット販売が先行して、ネット販売から小売業が発展しています。これからの中国で小売業を行っていくためには、店舗とネット販売との共存が重要です。しかし、いくらネット販売が発展していても、小売の現場がなくなることはありません。無人店舗が流行していますが、必ず人は存在します。商品配送にも人は必要ですし、その管理手法が重要なのです。

また中国の小売店の特徴として、モバイル決済の普及が挙げられます。モバイル決済は手数料も低いですが、小売の現場にとって、つり銭は重く、準備にも手間がかかり、つり銭がなくなることは大きなメリットです。日本では、中国でモバイル決済が普及しているのは偽札防止が要因だとも言われていますが、最大の理由は単純にモバイル決済が顧客、店舗にとって便利だからです。

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u  中国赴任にあたり

私は昔から海外で働いてみたい気持ちを抱いていました。なかでも中国に対しては、大学時代に交流していた中国人留学生から中国の話を聞く中で強い興味を持っていました。弊社が中国に進出を決めた当時、尖閣諸島の問題で日中関係が良くない時期だったのですが、社内で中国赴任の公募があった際、迷わずに手を挙げました。実際に中国赴任に対して手を挙げたのが私1人だったみたいで、すぐに赴任が決まりました(笑)

上海では妻ともうすぐ3歳になる子供と一緒に暮らしていますが、実際に上海で生活して感じることは、上海という街は子供と老人に優しい場所であること、そして生活の変化のスピード感が日本とは違うことですね。

一方、上海で働いて感じたことですが、中国人従業員が嘘をつくことがありました。最初は嘘をつかれることに戸惑ったのですが、この嘘には悪意がなく、あくまで面子を保っているだけだということが分かってきました。それが理解できてからは、従業員に対して嘘をついたことを怒るのではなく、従業員に対して失敗でも良いから正しい報告をして欲しいと伝え、伝えてくれた時には「教えてくれてありがとう」という態度で接するようになりました。失敗を正すことも大事ですが、現在は失敗をリカバリーすることを心掛けています。

現在、中国企業からの要請も増えてきましたが、今後更なる業務拡大を目指していきます。その拡大の一環として、3,000以上のクライアントを持つ現地企業である中国・深センのコンサルティング会社「FLY HOURSES」との戦略的業務提携を結びました。また、対応するエリアを上海や中国大陸だけでなく、本社と連携して中国以外の第三国のサポートを強化していきたいですね。

 

※会社情報

日本本社/株式会社メディアフラッグ(きらぼし銀行青山通支店取引先)

      <ホームページ> http://www.mediaflag.co.jp/

現地法人/梅地亜福(上海)管理諮詢有限公司

聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 蓑田

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