中国進出インタビュー

第 92 回「空気圧+エレクトロニクス技術で社会に貢献

地球上のどこにでも存在する空気をエネルギーに変え、動力として使用する「空気圧機器」。普段我々が生活している中で目にすることは多くはありませんが、現在、この技術はあらゆる産業の生産・物流ラインで使用されています。また中国においても、産業の発展と共に、工場における自動化・省力化が年々求められるようになってきており、それを可能にするための空気圧技術のニーズが年々高まってきています。

 

今回は、空気圧及びエレクトロニクスの技術を用いて、企業の生産性の向上、コストダウンをサポートしている上海小金井電子有限公司(株式会社コガネイ中国現地法人)の青木総経理に、中国での事業立ち上げから事業展開についてのお話を伺いましたので、ご紹介させて頂きます。

 

 

 

u  中国事業について

 

as.png 弊社では、空気圧機器の製造・販売を手掛けており、空気圧機器は工場における生産プロセスの自動化・省力化システム機器として様々な産業分野で使用されています。代表例としては、産業用ロボットとの組み合わせで、人の腕や手、指に代わって作業をする機械として、主に自動車や半導体を生産する工場の現場で活用されています。

 

 弊社が中国に進出したのは2000年代前半になります。それ以前は、中国のマーケットは今ほど大きくなくニーズも限られていたため、日本から製品を輸出し代理店経由で販売する形式を取っていました。しかし、2000年代に入りFA(ファクトリーオートメーション)機器に使用される装置のニーズが拡大していくにあたり、お客様へ求められるものを適正価格でタイムリーに届ける必要性が出てきたことより、2003年に上海小金井電子有限公司(上海工場)、2004年に上海小金井国際貿易有限公司(上海販売会社)を設立するに至りました。

 

 設立当初は日本向けの進料加工(売買契約形式の加工貿易)が業務の多くを占めていましたが、中国国内販売が年々増加してきており、現在、売上に占める割合で言いますと、日本向け進料加工が6割程度、中国国内販売が4割程度となっています。上海小金井国際貿易を介しローカル企業からの引き合いも増えてきており、現地ニーズが増してきていることを日々実感しています。

 

特に昔の中国では、例えばエアー機器一つを取ってみても、「多少のエアー漏れは当たり前で、漏れが酷くなってきたらそれを捨てて、買い換えれば良い」といった使われ方もしていましたが、現在の様に中国政府による環境対策が厳格化されている中では、使用者側の感覚にも変化が生じているように感じています。「エアー漏れはエネルギーロスに繋がる」、「すぐに壊れる安価な製品を使用し、壊れたら廃棄することは、環境問題に繋がる」といった観点より、使用者側としても、質が高く長期間使用できる製品を選ぶ風潮へとトレンドが変わってきており、その分、弊社製品への引き合いも増えてきています。

 

 

 

u  品質のコガネイ

 

 弊社では製品の品質を最重要視しており、中国で生産される製品の質は日本と比べても遜色ありません。日本と同様の工程、検査を経て製品を出荷しており、そのためのノウハウを社内に蓄積しています。ワーカーへの技術指導は日本人が行うことが多くありますが、通訳を介して説明することとなるため、細かいニュアンスが伝わらないことがあります。よって、まずは教えたことをやらせてみて、それを確認し、齟齬(そご)があればできるようになるまで何度も教えるといった作業が重要です。また、書面に残せる事項については、マニュアルを起こすなど可視化して、決まりを守る・記録を残すことも追求しています。会社設立当初はこういった決まりを守らせることから指導していましたが、現在はベテランのワーカーも多く、みな自然とできるようになりました。この様な地道な取り組みが製品の品質へと繋がっているのだと考えています。

 

aaa.png なおコガネイグループ全体として、空気圧機器の生産工場を日本国内に4拠点、海外には弊社(上海)とベトナムの2拠点を有していますが、一つの製品につき、少なくとも2つ以上の工場で同じモノを生産することができる体制を整えています。これは例えば災害など不測の事態が起きた際に、お客様に迷惑を掛けない様にするための補完対策であり、この上海工場でも核となるメインで生産する製品がありつつ、他拠点の生産をカバーするための製品も取り扱っています。

 

 また、先ほどお話しさせて頂いた通り、弊社では中国に販売会社を設けており、それも強みの一つと言えます。上海販売会社は、分公司(支店)として、上海以外にも北京、広州、蘇州など各地に拠点を設けており、中国全土をカバーしています。製品購入における相談から、購入後のアフターフォローまでグループとして対応できる体制を作り上げているのです。

 

 

 

u  最後に

 

 私が中国に赴任してから約2年半が経ちますが、会社を運営していく中で、法的事項への対応には日々頭を悩ませています。中国においては、経済が急速に拡大していく中で、他国と比べても法整備が十分に整っていない点もあり、現在、急ピッチでその取り組みをしている様に感じます。環境対策、安全対策にしても、近年、様々な法律・規程が施行されており、法律同士の関連性や、実務面での運用などが不透明な部分も多く、追従していくことが非常に困難です。

 

 そういった時、やはり日本人だけでは限界があり、現地の従業員の力が重要になってきます。現在弊社では、設立当初からの中国人スタッフも多くいますが、まだまだ自身で考え問題を解決していく力や、物事を改善していくスキルは弱さを感じます。よって、そういったマインドやスキルを教えていくことが私の役目であると考えています。

 

 今後も中国の変化や時代の流れに応じて、柔軟に対応し、中国でのビジネスを拡大させていければと思います。

 

 

 

 

 

※会社情報

 

日本本社/株式会社コガネイ(きらぼし銀行日本橋支店取引先)

 

     <ホームページ> https://official.koganei.co.jp/

 

現地法人/上海小金井電子有限公司

 

     上海小金井国際貿易有限公司

 

 

 

聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 小原

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