中国進出インタビュー

第 90 回「中国で新しい香り文化創造に向けて」アット

上海で生活を続けていますと中国人のライフスタイルが大きく変わってきたのを実感します。ファッションセンスは良くなり、食事も健康志向へ、スポーツジムやランニングを好む人が増えるなど、目に見える形でライフスタイルが変化してきました。

その変化の中で、新たに「香りの文化」を中国で広めようと事業展開を図っているのが、今回お話を伺うアットアロマ株式会社中国現地法人/愛邑(上海)商貿有限公司です。アットアロマ株式会社で中国のみならず、海外部門を担当する深津恵様に香りの魅力や中国での事業展開についてお話を伺いましたので、ご紹介します。

 

u  aromaブランド1e2b770477f4e6dbde1e37b5ad3c0236.jpg

 

 私たちアットアロマ(ブランド名:@aroma)は世界最高水準のデザインクオリティで、企業のブランドやサービスを香りで表現する、アロマ空間デザインをご提案する会社です。

  取扱うアロマオイルは100%自然素材のものを採用し、自然の香りの本質を大切に、その秘められた力を引き出して、人が暮らす空間をより心地よく愛着の持てるものにします。このアロマ空間をプロデュースすることで、視覚や聴覚だけでは困難だった、より直感的な五感ブランディングも可能にします。

  私たちは日本での確かな実績と経験をもとに、ドイツ・アメリカと展開してきましたが、経済成長が続き個人消費も伸びる中国はマーケットの大きさという点で非常に魅力的でした。

 

 

 

u  「香り」の傾向香水.jpg

「香り」と言えば、ヨーロッパが世界でも先行しているイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし、ヨーロッパはフランスの香水に代表されるように香りを自分の身体につける文化であり、私たちがプロデュースするような空間全体に香りをつけるのはヨーロッパ以外の国々の方が先行しています。その中でも「天然」の香りということであれば、世界でも日本が先行しています。これは欧米人と比較して、日本人はさりげない場所で心地よい香りを好むという日本文化が背景にあるかもしれません。

「香り」というのはライフスタイルで好みが変わります。例えば、ニューヨークでは最近食べ物も健康志向になり、オーガニックに強いこだわりをもつ人が増えてきました。それに伴い、香りも自然な香りを選択する人が増えてきました。ライフスタイルの変化が、天然素材を求めてきているのです。

 

uアロマ空間プロデュース楼梯.jpg

私たちはお客様それぞれの香りをプロデュースしています。自社の香りを決める場合、明確にどのような香りにしたいと希望される方は少ないです。多くのお客様は会社にあった漠然としたイメージはお持ちですので、「香り」に対するイメージや考え方などをヒアリングし、その考え方にあった「香り」を私たちがデザインしていきます。

今では多くの会社がロゴマークを持ち、ロゴマークを見れば、その会社をイメージできるといったようにロゴマークが社会的に認知されています。「香り」もロゴマークと同じです。まだ多くの企業は「香り」がブランドイメージに直結する経験をされていらっしゃらないと思いますが、例えば世界の一流ホテルであれば、それぞれのホテルブランドの「香り」が存在し、「香り」を嗅げばそのホテルをイメージできるといったように、「香り」はブランドイメージに直結するものなのです。

 

u 中国に香り文化を広める

中国は、はっきりとした香りが好まれる傾向にあります。しかし中国ビジネスで難しいのが、中国は国土が広く、東西南北で気候も異なり、好みも場所によって大きく分かれる点です。日本は好まれる香りが土地柄にあまり関係なく標準化されていますが、中国は志向が多様化しており、この多様化した志向というのが、中国ビジネスの難しさである一方、面白さでもあります。

日本と中国の香りを比較した場合、日本人は香りに対する感じ方が敏感です。しかし中国人は香りに対して、おおらかに捉える方が多いです。また日本人は無臭を好みますが、中国人は、インパクトのある香りを好む傾向があります。この違いは両国の良し悪しではなく、両国の価値観の違いであり、香りに対する捉え方の違いであると感じています。

 

私たちは日本で香りの良さ・重要さを広める教育事業を行ってきましたが、この中国においても「香りのある空間」を文化として広めていきたい、「香り」の魅力について理解がある人を増やしていきたいと考えています。

今後の中国での事業展開を考えた場合、私達はシャネルやベンツのような世界的なブランド企業ではありませんので、@aromaというブランド認知をコンシュマー向けにしていくのには時間がかかると感じています。そこで、まずはBtoBtoCといったようにコンシュマー向けに事業展開している企業と組み、パートナー企業の製品を通じて「香り」の魅力を中国に広めていきたいです。

 

u グローバル展開

中国の商習慣では、資金回収に苦労するという話を良く聞きます。しかし、私たちは他の日本企業が気にされている程、日本と中国の商習慣の違いが気になりません。と言いますのも、私たちは中国より先行してヨーロッパ・アメリカで事業展開をしてきました。資金は商品を提供する前に回収するという商習慣はアメリカでも一般的な話であり、日本のような掛売りというのはアメリカでも慎重にすすめます。1.jpg

 グローバルに展開する中で実感しているのが、「良い人材」というのは国境に関係なく、性格が良い、そして事業に対して興味と情熱がある人ということです。現在、ドイツ拠点は日本人駐在員が不在で、アメリカ拠点も徐々に日本人駐在員が減っています。いわゆる現地化を進めています。海外で事業展開していくには言語とコミュニケーションや本質的にその市場のニーズに対応していくことが重要で、そのためには現地化していく必要があります。中国拠点も現地化を目指し、これから幾つか乗り越えなければならないハードルは存在しますが、私たちはグローバルに事業展開し、様々な国の人たちとビジネスを共にしてきた経験があるからこそ、国が変わったとしても対応できる自信があります。

ドイツでは航空会社に香りを採用してもらい、それがきっかけで、航空会社の利用している香りとして、ドイツ国内で@aromaのブランドが広まりました。海外でブランドを広めるためのプロセスには時間がかかります。そのため中国でも、1回だけ儲かれば良い、すぐに儲けたいという企業よりも、長く継続してお付き合いできる企業とパートナーを組ませて頂きたいです。

 中国は事業展開を進める中で、多くのビジネスチャンスを感じています。一方、一度決まったことが順調に進まない難しさも感じています。これからはブランドや企業理念にこだわりがある企業をパートナーとして迎え、中国に「香りの文化」を広めていきたいですね。

 

※会社情報

日本本社/アットアロマ株式会社(きらぼし銀行笹塚支店取引先)

     <ホームページ> https://www.at-aroma.com/

現地法人/愛邑(上海)商貿有限公司

 

聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 蓑田

绮罗商务咨询(上海)有限公司 XFCSS .ALL Rights Reserved 沪ICP备18032119号-1
Copyright Kiraboshi Business Consulting Shanghai Co.,Ltd ALL Rights Reserved

沪公网安备 31010102005043号