中国進出インタビュー

第 86 回「日本と中国のいいとこどりで 付加価値ある

图片1.jpg現在、中国製品も品質が向上し、中国の消費者からも製品の安全性が求められる時代になってきました。製品の安全性や機能性を高め、消費者から信頼を勝ち得るためには、様々な試験を繰りしていかなければなりません。

今回は、電化製品、自動車、衣料品メーカーが製品の安全性や機能性を研究・検証するために必要な設備・装置を提供する株式会社大西熱学中国現地法人/上海大西熱学控制技術有限公司の雨谷総経理から、中国での事業展開や進出当初のお話を伺いましたのでご紹介致します。

 

 中国進出について

まず、弊社が製造しているものについてご説明しますと、家電、自動車、衣料品メーカー等の製品テストに活用頂ける「人工的にあらゆる気象条件を創り出し、環境をコントロールする装置」を製造しています。


图片2.jpg弊社は2006年に中国・上海に進出しましたが、中国との関わりは約35年前に遡ります。当時、中国でエアコンの製造が行われようとしていたのですが、そのエアコンの性能を検査検証する装置が中国には存在しませんでした。そこで、日本の大西熱学から「空気エンタルピ法試験室」を輸入することになったのが、弊社と中国との関わりの始まりです。この試験室はルームエアコン、パッケージエアコン、カーエアコン等の能力測定に幅広く使用されている装置で、供試エアコン室内外機の吸込、吹出空気温湿度と風量を同時に測定し冷暖房能力を算出することが出来、今でも当社の主力製品となっています。

その後、日本での取引があった家電・自動車メーカーの中国進出に合わせて、2006年に中国にて現地法人を設立。私は会社立上当初も上海に駐在していたのですが、当時の状況は、日本人2人と中国人社員5人という少人数の体制にも関わらず、お客様から製品への引き合いが非常に多かったことから、中国人社員を育成する余裕がなく、日本人駐在員が徹夜して業務に対応。それでも対応しきれない場合は、日本本社から応援に来てもらってなんとか対応しているような状況でした。

この結果として中国現地法人は日本人主導の体制となり、2009年に私は帰任。私が帰任した後もこの日本人主導の体制は変わることがなく続いていました。その後、日本本社が中国現地法人を今後どうするべきかという議論の中、更なる発展を目指すべく、2016年、私の2度目の駐在が決定しました。

 

中国現地法人運営方法の変化

2度目の駐在で約2年が経とうとしていますが、この2年間で会社の体制を変えることに注力してきました。1度目の駐在の時は目の前の業務に追われて余裕がなかったこともあり、自分達日本人が全面に立って業務を行ってきましたが、当時を思い返しますと「中国人では出来ないであろう」と思い込んでいたのかもしれません。その考えが中国人の教育に結びつかず、結果として日本人主導の体制が続いていました。

そこで今回の駐在では考え方を改め、思ったことははっきりと伝えるなど積極的に中国人社員への指導を行ってきました。その指導の成果も見えてきまして、以前は日本本社に設計や部品など頼る部分も多かったのですが、現在中国現地法人で製造する検査機械は設計も含めて95%は中国で完結できるまでに至りました。

 

中国人と日本人の違い

 日本人は「会社の利益」のために働く教育を受けてきましたが、中国人は「会社の利益」よりも「自分のスキルアップ」に重きをおきます。そのため、仕事を教えてもらうことは、自分のノウハウの蓄積に繋がります。中国人同士であれば仕事を教え合うことは、自分のノウハウをライバルである他人に教えることになりますので、そんなことはしません。

 そのような風習の中国では、弊社の社員からすると、私が口うるさく指導しても「仕事を教えてもらえてスキルアップができる会社」として魅力的に映っているようです。とはいえ、厳しい指導だけでは辞めてしまいますので、成果を出した社員には褒めることも欠かしていません。私は中国ビジネスのノウハウ本に反して、人前で中国人を厳しく指導していますが、結果として、2度目の赴任からの2年が経つなか、特別な事情がない限り社員は退職していません。

 また「モノの売り方」にも日本人と中国人では違いがあるように感じています。日本人は「モノを作って売る」ので「作る」に重きをおきますが、中国人は「いいモノを手に入れて売る」という考え方なので「売る」に重きをおいています。

日本人には考えられないエピソードがあります。弊社の製品はお話しました通り、約35年前に中国では存在しなかった技術であったことから、わざわざ日本から輸入されてきました。そのため、中国の業界内では大西熱学の名前は知れ渡っている反面、弊社製品が中国メーカーから模倣されることが多々ありました。そのような状況で、驚くべきことに、弊社製品を模倣したメーカーが堂々と弊社を尋ねに来たことがありました。私は会議の場で怒鳴ろうと思ったのですが、弊社社員から「中国では真似(模倣)されることは、その製品が素晴らしいと認められた証明であり、この模倣したメーカーは尊敬の念を込めて弊社を尋ねてきた」という説明を受け、日本人とは考え方が全く違うことを実感しました。

中国人にとっては「作る」よりも「売る」が重要なのです。「作る」を重視している日本人が全面に立っていては中国市場の開拓に限界があります。だからこそ、弊社の発展のためには「売る」に長けた中国人が前面に立つ会社の体制が重要なのです。 

 

今後の展望

 日本本社である大西熱学は特殊空調設備会社として1947年に設立。日本ではエアコンの能力を測る基準は弊社製品が基準になっており、日本の家電メーカーには弊社製品が数多く納入されています。しかし中国では日本同様の「基準」が存在しない上、使用する中国メーカーも細かな数値まで気にしなかったことから、安価な製品を製造販売している中国同業他社との競合は厳しいものがありました。

しかし最近その流れが変わってきたように感じます。中国市場においても高品質な商品が好まれる時代になりました。消費者の選別が厳しくなってきたことから、メーカー側も考え方を改めなければならず、値段重視ではなく、品質を重視するようになり、中国同業他社に発注をしていたメーカーが弊社に引き合いをしてくるようになりました。

弊社製品の強みは検査装置の肝である「ものさし」がしっかりしている点です。中国同業他社であれば「1+1=2.5」という結果になっても気にしていませんが、弊社はこの0.5を妥協することなく「1+1=2.0」と測定できる装置を製造しています。中国同業他社も技術は上がっています图片3.jpgが、まだツメが甘いのが現状です。更に当社の強みは委託生産を行わず、全て自社で生産している点です。自社生産によって品質を保持し、その品質がお客様からの支持に繋がっています。

あらゆる気象条件を再現する「全天候型環境試験室」など、他社には模倣できない当社だけが実現できる技術もあり、これらの品質・技術があれば、中国市場を開拓できる余地はまだまだあると考えています。

中国は安価なモノを大量製造して海外へ輸出する時代から、高品質なモノを製造して中国国内販売する時代へと変化を遂げました。この時代の変化に合わせ、弊社中国現地法人を発展させていきたいですね。

 

※会社情報

本社     株式会社大西熱学(神田中央支店取引先)

現地法人   上海大西熱学控制技術有限公司

ホームページ http://www.ohnishi.cn

 

聞き手=都民銀商務諮詢(上海)有限公司 蓑田

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