中国進出インタビュー

第 82 回「KYODOプレミアムの中国展開」共同印刷株式会社中国現地法人/共印商貿(上海)有限公司
 
中国で生活していると、日本で暮らしている時には感じない日本の良さ、日本の便利さを感じる時が多々あります。例えばカップラーメン1つを食べるにしても、中国ではフタが開けづらい上、タレの袋もうまく切れません。日本では当たり前のことが中国では出来ない、実はこの違いには日本企業の技術と顧客志向の探究心が隠されていたのです。今回は便利な日常の生活を支えてくれている生活・産業資材の包装等を取り扱う共同印刷株式会社中国現地法人/共印商貿(上海)有限公司の木下総経理、佐藤副総経理に中国事業展開についてお話を伺いましたので、ご紹介します。
 
 
◆ 進出経緯
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(左)木下総経理、(中央)佐藤副総経理
当社が中国上海に進出したのは2012年です。親会社である共同印刷(以下、本社)は、長年培ってきた技術を背景に開発した製品群を世界に広めていきたいとの思いから海外進出を検討していました。上海に進出したきっかけは、日本のクライアントの中国展開です。その他、中国の旺盛な個人消費の高まりに注目し「包装資材」を中心に取り扱う中国の貿易・販売拠点として当社が設立されました。
 
◆ 当社の強み
設立してからの約4年間は会社の基盤づくりの期間として、本社の商品を輸入販売すると共に、品質が良くなってきた中国製素材を本社へ輸出する業務を行ってきました。そして現在では「より+αの商品の提供」を目指し、付加価値の高い日本の商品を中国市場で展開することに注力しています。
当社の営業品目には単一的な販売価格は設定されていません。お客様が取り扱う商品をよく理解した上で商品にあった材料・素材等を選定し、お客様の商品の付加価値が高められる材料・素材を提案できるところが当社の強みです。そうした、本社が1897年の創業以来積み重ねてきたオンリーワン技術から生まれた高機能製品「KYODOプレミアム」が当社の武器なのです。
中国での当社商品への引き合いは年々強まってきています。近年中国では人件費高騰を背景に「オートメーション化」が叫ばれていますが、これは中国の国策にも表れています。今までのモノづくりのやり方を変えていきたい気持ちが中国政府・中国企業に強く、こうした意識の変化が高機能製品を取り扱う当社にとって商機だと感じています。
 
 
◆ 高機能製品「KYODOプレミアム」
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取扱製品一覧
今まで当社の取引は日系企業が中心でしたが、湿気やアウトガスを除去する吸湿・吸収機能材料の新素材「モイストキャッチ」に関しては、中国ローカル企業向けの販売で成功事例が出てきました。
「モイストキャッチ」は医療機器や医薬品メーカーが主なターゲットですが、この業界に日系企業である我々が直接入り込むことは難しく、中国のパートナー企業と共に展示会に出展するなど地道な営業活動を続けてきました。
メーカーに医薬用の素材として採用してもらうためには、性能のデータが必要となります。この点については、長年研究を重ねた本社の精緻なデータ実績を利用できるのが強みです。また、今までの中国では性能よりも価格の低さを重視してきた傾向がありますが、最近では生活水準も高まり、品質を重視する企業が出始めてきたことも、当社商品採用の追い風になっています。
その他、提案を進めている商品に、本社が特許を取得している「カップラーメンの湯切り機能付きフタ材」(例:日本のカップ焼きそばで使われているフタ)があります。日本ではカップ焼きそばを食べる際は湯きり口を使って熱湯を流しますが、現在、中国メーカーが採用している汁なしカップラーメンのフタは、通常のカップラーメンのフタと大差がありません。フタを少し開けてお湯を出すしかないため、火傷の危険性が高まります。医療用包装材と同様で、生活水準が上がっている現在、包装を通じて商品の付加価値を上げられることを中国メーカーへ提案しています。
この湯きり機能は単純な構造と思われる方もいるかもしれませんが、実は特殊なハーフカット技術を元に製造されています。少しでもカットが甘いとシートがうまく剥がれないといったように、長年培ってきた技術がなければ成しえないものなのです。また、日本で高いシェアを持つラミネートチューブはベトナム、インドネシアに製造拠点を設け、中国市場での販売にも取り組んでいます。日本の化粧品は中国でも人気が高く、その品質信頼性に当グループのラミネートチューブは容器面で貢献できると考えています。当社の包装資材はこのように技術やノウハウが簡単に模倣されるものではなく、独自性を持っています。中国市場での強みとして、高機能製品「KYODOプレミアム」のさらなる営業展開を目指しています。
 
◆ 最後に
先ほどもご説明しましたが、当社はお客様の商品価値を高めることができる素材を提案しており、良さを理解していただくには時間を要します。日本では「共同印刷」というネームバリューがありましたが、中国ではまだネームバリューがないため、新しい会社として一から営業しなければならない苦労もあります。
中国に駐在した当初は、日本のビジネスとの違いから、取引先や従業員と意見の食い違いもありました。しかし、日が経つに連れて、そもそも中国と日本では文化や風習など企業や人の背景が違うことが理解でき、取引先や従業員の考えも分かるようになってきました。もしかしたら、日本から見ると、私達が中国人化しているのかもしれませんが(笑)。
中国での営業は日本以上に苦労することもありますが、人と人との関係という根本の部分は日本も中国も変わりません。当社商品を採用いただくのは簡単な道のりではありませんが、商品の良さを理解していただき、中国においても「共同印刷」のネームバリューをつくりあげていきたいです。
 
※会社情報
本社/共同印刷株式会社(東京都民銀行春日町支店取引先)                                    (ホームページ)http://www.kyodoprinting.com.cn  
現地法人/共印商貿(上海)有限公司      (住所)上海市黄浦区福州路666号25楼B1単元
                                                                 (電話番号)+86-21-6384-3322
 
 
 
聞き手=都民銀商務諮詢(上海)有限公司 蓑田
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで
 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 
 

 

 

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