中国進出インタビュー

第 77 回「ジャパンクオリティへのこだわり」安徽阿幸食品有限公司・千輝薬業(安徽)有限責任公司・ 大桐製薬(中国)有限責任公司
 
日本企業の作る製品は、「品質が高く安心である」と言われています。特にそれが食品や医薬品など、人の口に入るものであれば、より一層高品質な物が求められます。
今回は中国で、米菓・豆類などのお菓子の生産および、医薬品の生産を行っている二幸商事株式会社の関連会社「安徽阿幸食品有限公司」「千輝薬業(安徽)有限責任公司」「大桐製薬(中国)有限責任公司」の3社の董事長を務めている大野氏に、中国での現在の取り組み、今後の事業展開について伺いましたのでご紹介致します。
 
 
◆ 中国での事業について
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董事長・総経理/大野 德輝氏(左)、
常務副総経理/張 荣玉氏(右)
我々が中国で展開している事業は、大きく「食品」、「医薬品中間体・原薬」、「製剤」に分けられます。それぞれ、食品は「安徽阿幸食品有限公司」、医薬品中間体・原薬は「千輝薬業(安徽)有限責任公司」、製剤は「大桐製薬(中国)有限責任公司」にて取り扱っています。
もともと中国に進出したきっかけは、私が安徽省六安市の出身で、いずれは中国で事業を立ち上げたいと考えていたことからです。私は1988年に日本に国費留学して以降、1997年に「安徽阿幸食品有限公司」を設立し、中国で食品事業を開始するまでの10年間を日本で過ごしました。なお、大学での専攻は薬学部で、卒業後も日本の某製薬メーカーに勤めたのですが、中国で医薬品のビジネスを始めるには多額の投資が必要となることや、医療関連許認可の取得の問題もあり、中国事業のスタートは専門外である食品事業から始めたのです。
食品事業においては、パートナーである新潟県の阿部幸製菓株式会社の生産技術が欠かせませんでした。私が持っている安徽省でのコネクションに、阿部幸製菓の先進的な生産ノウハウを掛け合わせることで、今の会社の体制を作り上げることができたと考えています。なお「安徽阿幸食品有限公司」では、主にピーナッツや大豆・アーモンドなどの豆菓子、海苔巻きやあられなどの米菓、茎わかめなどの素材菓子を生産し、日本・アメリカ・ヨーロッパ各国に輸出していますが、日本基準の厳格な品質管理が強みと言えます。
この様に食品事業を始めた一方で、いつかは専門分野である医薬品事業を行いたいと考え、タイミングを伺っていました。そして、そのきっかけは2000年代前半の日本の薬事法の改正にありました。
これまで医薬品中間体は品質が合えばどこから仕入れてもよかったのですが、薬事法の改正により、海外で製造され日本に輸入される中間体においては、国の認定が必要となり、それまでの様に単純に売り買いすることができなくなったのです。認定を受けるためには、日本の医薬品機構による現地視察もあるのですが、当時の海外のメーカーは環境・衛生面が悪く、多くのメーカーが認定を受けることを拒んだこともあり、一時、海外からの調達がほとんどなくなりました。この時私は、日本品質の製品を中国で価格を抑えて生産することができれば、必ずビジネスチャンスがあると思い、「千輝薬業(安徽)有限責任公司」を立ち上げたのです。
医薬品事業においてもやはり、パートナーの存在が大きかったと言えます。「千輝薬業(安徽)有限責任公司」および、製剤の生産のために2012年に設立した「大桐製薬(中国)有限責任公司」は、富山県のダイト株式会社との合弁会社ですが、ダイトの技術があってこその企業であり、我々はパートナーに恵まれたと感謝しています。
 
◆ 運営上の苦労話・心掛けていること
中国進出当初最も苦労したことは、技術力不足をいかにして補うかでした。食品事業にせよ、医薬品事業にせよ、そこにビジネスチャンスがあることは分かっていましたが、実際に生産を行うとなるといかにして高品質の物を作り上げるかに非常に頭を悩まされました。幸いにも我々は、阿部幸製菓やダイトといったパートナーに恵まれたことが、中国にて成功することができた最大の要因であったと考えています。また技術向上のために、多くの日本人定年退職者を顧問として雇い入れ、技術指導を仰いだりもしました。
当社では現在、従業員がいかにして働き易い環境を作るかに注力しています。従業員の定着が、製品の品質安定化にも繋がると考えており、そのために会社を辞めない仕組み、安心して働ける職場環境を作ることに日頃より努めています。具体的には、福利厚生の一環として誕生日に祝い金を支給したり、日本への長期研修プログラムを組み研修を終えた社員にノウハウを活かせるポジションを与えたりなどです。また、「当たり前のことを当たり前に行う」ということにも心掛けています。例えば、中国の会社の中には未だに給料日に給料が支払われず、年末にまとめて支給される企業も多くありますが、当社では給料日には必ず支給していますし、社員には安心して働いてもらえるよう努めています。この様な取り組みの結果、現在では、当社が入居している開発区内では最も従業員の定着率が良い会社の一つとなることができました。
 
 
◆ 今後の展開・抱負
現在、「安徽阿幸食品有限公司」「千輝薬業(安徽)有限責任公司」「大桐製薬(中国)有限責任公司」の3社とも中国国内販売は行っていません。これは、当社の生産している製品は、その品質を維持するためにもどうしても価格帯が高くなってしまうため、現状そのままでは中国市場への展開が難しいと考えているためです。これまで中国の企業から引き合いがきたことも多々ありましたが、当社としては品質にこだわりを持っているため、品質を落としてまで価格帯を下げようとは考えていません。しかし、やはり中国市場は魅力的な市場であるため、今後、市場の動向を見極めながら国内販売も検討していきたいと考えています。
近年、ジェネリック医薬品の需要が世界中で高まっています。一方で、定期的な薬価の引き下げもあり、ジェネリック医薬品の生産が困難な状況も出てきています。我々は、中国で原薬から製剤までを製造することで、高品質で価格競争力のある製品を作ることができます。今後、10年20年と生き残っていけるのは我々のような企業だと考えています。時代の変化を捉え、柔軟に対応することで100年続く企業になることを目指したいと思います。
 
※情報(URLご参照)
二幸商事株式会社(東京都民銀行千住支店取引先)   http://www.nikoshoji.co.jp/index.html
安徽阿幸食品有限公司                                             http://www.ashinfoods.com/index.html
千輝薬業(安徽)有限責任公司                                  http://www.cheerfine.com/scfb-jp.html
 
 
 
聞き手=都民銀商務諮詢(上海)有限公司 小原
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで
 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 
 

 

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