中国進出インタビュー

第 74 回「中国から世界へ」上海外聯発商務諮詢有限公司
 
日本と中国の投資関係を考えた場合、今までは日本企業が中国へ投資するという一方通行の投資が大半でした。しかし最近では中国企業が企業体力をつけ、中国国内の海外投資基準も緩和されたことから、中国企業が日本へ投資するケースも増え始め、双方向の投資関係が成り立ちつつあります。今回は中国企業の海外投資をサポートする上海外聯発商務諮詢有限公司の劉副総経理に現在の活動についてお聞きしましたので、ご紹介致します。
 
 
◆ 中国(上海)自由貿易試験区とUDC
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<劉副総経理>
中国(上海)自由貿易試験区(以下、「上海自貿区」)は上海外高橋保税区、上海外高橋物流園区、洋山保税港区と上海浦東空港総合保税区の4つの税関特殊監督区域を統合・転換したエリアで、他のエリアとは異なり投資・貿易・金融の規制が緩和されている特区です。
この上海自貿区内のインフラ建設、不動産開発と運営、物流業務や企業へのコンサルティングまで行うのが上海外高橋保税区管理委員会傘下の国有企業である上海外高橋保税区聯合発展有限公司(以下、「外聯発(がいれんぱつ)」)です。外聯発は物流会社など多くの子会社を有していますが、その中で上海自貿区への投資誘致や会社設立・運営のコンサルティング業務を担うのが上海外聯発商務諮詢有限公司(以下、「UDC」)です。
 
◆ UDCの役割
私たちUDCの役割は上海自貿区の変化とともに変わってきました。上海自貿区の前身である上海外高橋保税区の時代は、上海外高橋保税区は中国全土の他のエリアに先行して海外からの投資規制が緩和されているエリアでしたので、日本企業をはじめ多くの海外企業が上海外高橋保税区へ進出してきました。当時、UDCはこれら海外企業の上海外高橋保税区への誘致・企業設立をサポートするのが主な役割でした。
しかし上海外高橋保税区が上海自貿区として新たにスタートした後、上海自貿区は海外からの投資を呼び込むだけのエリアではなく、金融・海外投資の規制が緩和されたことで中国から海外へ投資を行いやすいエリアと変化を遂げました。その変化を受けて、UDCも海外企業の上海自貿区への投資誘致・設立サポートだけでなく、中国企業の海外投資をサポートするという新たな役割も担うことになりました。
新たな業務としては、中国企業の海外進出、中国企業の海外企業M&A、海外投資・M&Aに関連する資金調達の仲介・アドバイスなど、中国企業がいかに合理的に、かつリスクを最小限に海外へ投資するまでのルートを確保できるようサポートしています。私たちは今まで行ってきた海外から中国への投資誘致・進出サポートを通じて、世界各国に様々な情報ネットワーク・パートナーを構築してきました。現在はこの構築してきた海外パートナーとの交流・情報交換を通じて得た海外の情報を、海外投資サービスプラットフォーム等を通じて海外投資に意欲がある中国企業へ提供しています。
【海外投資プラットフォーム】 www.globalma.com.cn
中国企業が海外投資を行う際に一番苦労しているのが、海外当地の法律です。当然ながら法律を理解できなければ投資リスクは高まりますが、海外投資を行う際は投資までに仲介人が多く、仲介人経由の情報では本当に良い情報を得ることが出来ません。中国企業は現地の新鮮で正しい情報を欲しており、その情報を提供できるのが、今まで海外パートナーと関係を構築してきた私たちUDCだけなのです。
私たちが現在海外投資先として注目しているのは①ビックデータ、②自動操縦や車内ITなど車に関わるネットワーク技術、③バイオテクノロジーといった分野ですが、UDCだけで取り組みしようとは思っていません。既にこれらの分野でレベルの高い企業が上海自貿区に進出していますので、この企業たちと組んで取り組みしようと考えています。
UDCの親会社である外聯発は上海自貿区全体を開発するデベロッパーですので、主な収益源は上海自貿区に進出している企業の家賃収入でした。しかし昨今は製造業の進出が減少・第三国へ移転するケースも増えつつあり、家賃収入に代わる新たな収益源を見つけなければなりません。そこで、これからは上海自貿区に進出している企業と組んで、新たなビジネスに取り組んでいきます。今までの物件オーナーという立場から、新ビジネスの株主へと立場を変えていきます。
 
 
◆ 日本、日系企業への投資
M&Aは決して中国企業の海外向けのM&Aだけをサポートする訳ではありません。現在の中国企業は現在業績が好調で、投資できる企業体力もあります。中国に進出した日系企業の中には技術はあるが、中国マーケットにフィットせず、撤退を検討している企業や資金調達に苦しんでいる企業もあります。これら中国に進出している日系企業に対して、中国国内で資金力がある投資家・パートナーを紹介するなど、日系企業のために中国国内のM&Aもサポートしていきます。
中国企業の海外投資先として、理由は明確にわからないのですが、日本への投資が何故か一番少ないです。一方、アメリカやヨーロッパへの投資の話は多く、先日、ヨーロッパの発動機メーカーから中国企業に投資して欲しいという話がくるなど、欧米企業の方から中国に投資話が持ち込まれている状況です。
また欧米以外の投資先として、中国企業は「一帯一路」の国々であるタイなどASEAN諸国への投資も注目しています。先ほど、日本への投資が少ないとお話しましたが、ASEANに進出している日系企業がASEANから撤退する場合、ASEAN拠点を中国企業へ事業を売却することを検討してもいいのではないでしょうか。
 
※情報(URLご参照)
【上海外高橋保税区聯合発展有限公司ホームページ】 http://www.shftz.com/Company-Company-jp.html
【上海外聯発商務諮詢有限公司ホームページ】http://www.udc-consulting.com/default.aspx
 
 
 
聞き手=都民銀商務諮詢(上海)有限公司 蓑田
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで
 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 
 
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