中国進出インタビュー

第 73 回「ソフトウェア技術で企業の明るい未来に貢献」天津恩馳徳信息系統開発有限公司
 
中国に進出している日系企業においては、現地で使用する会計システムを選ぶ際、現地スタッフに馴染みやすく導入コストが外国製品より割安であるといった理由より、現地の会計システムを利用するケースが多い。中でも中国で最もシェアを有しているのが、北京に本社を構える用友軟件(以下、用友)の会計システムである。
今回は中国で日系企業向けに用友のシステム導入やIT全般のサポートを手掛けている日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社の中国現地法人:天津恩馳徳信息系統開発有限公司の松坂総経理に中国ビジネスの取り組みについてお話を伺いましたので、ご紹介致します。
 
 
◆ 中国での事業展開
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<総経理/松坂 英樹氏(左)>
<総経理助理/笠井 則子氏(右)>
当社が初めて中国に進出したのは2004年のことで、当初は天津に事務所を構えました。当時日本では、IT業界における競争が激化し、人件費が年々高騰。コストを下げるために海外での「オフショア開発」という言葉が流行った時期です。当社としても、北京や天津の中国企業に開発を委託するという形は取っていたのですが、本格的に中国で事業を展開していくためには現地法人を作った方がよいとの結論に至り、1年くらいのスパンで検討をすべくまずは事務所を構えたのです。
当時私は、日本で営業を担当していたのですが、担当するお客様の案件で中国との接点が多くあったことより中国進出にあたっての責任者となりました。そして、中国各地をまわり市場調査を行った結果、天津の平均賃金が他のエリアと比較して安価であるといった点や、日本の大手企業も進出しているといった理由もあり、2005年4月に天津にて現地法人を設立することとなりました。
設立当初、当社は日本本社のコストセンターといった位置づけで、本社から委託を受け開発を担っていました。しかし設立から2~3年ほどした頃、リーマンショックなどの問題もあり、なかなか親会社からの仕事が続かなくなりました。そこで、現地の日系企業を中心にまわり営業を行うことで、徐々に現地市場を捉えるべく方向をシフトしていったのです。
その様な中、中国の会計システムの中で最大のシェアを占めている用友に取り組んでみようということになり、2007年頃より用友のシステム導入支援の仕事を行うようなりました。具体的には当社が用友のソフトを仕入れ、そのソフトにお客様に必要な機能の開発を加え、納めています。用友は、会計ソフト単体で中国市場の6割ほど、ERPと言われる生産、販売、購買、在庫管理など全体を一元的に管理するシステムパッケージにおいても3割ほどのシェアを占めており、日系企業を含めユーザーが多いため、ニーズがあると捉えこの事業を開始したのです。
 
◆ Cross Word(日中双語財務照会)
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 「Cross Wordシステム概念図」
当社では、用友の導入支援の他に、「Cross Word」というソフトウェアを開発し現地で販売しています。このソフトウェアは、中国現地法人で使用している用友のシステムより財務会計情報を照会し、リアルタイムでいつでも、日本からインターネット経由で確認することができるといったものです。これを使うことにより、中国現地法人の財務状況を可視化することができるのです。
もともとはあるお客様からのリクエストが基で、このサービスは生まれました。そのお客様の事例では、中国の拠点が合弁会社であり、財務部門を合弁先が担っていたことより、「財務報告書の提出が遅い」、「現地に問い合わせても欲しい情報が得られない」といった問題を抱えていましたが、「Cross Word」を導入したことにより、用友に直接、日本語で照会可能になり、問題を解消することができました。「Cross Word」を使えば、例えば顧客別の売掛金残高等、詳細情報もリクエストができるため、モニタリングとして、現地法人を牽制したいといったお客様に好評いただいています。
 
 
◆ 運営上の苦労話
私は、今は常駐していませんが、拠点を立ち上げた2005年から4年間天津で生活してきました。もともと中国に興味があった訳ではなく、中国語も全然分からない状況で赴任したのですが、やはり文化の違いには驚かされました。
帰任時に作成した回顧録にて現地での経験をいくつかまとめましたが、初めのエピソードを「7つのゴミ箱」というタイトルで綴ったことは未だに忘れられないですね。当時、事務所を開設した時に、7つのゴミ箱を買ってきて、社員にそのゴミ箱を配置するよう片言の中国語で命じました。しかし、しばらくしてもいっこうにやる様子がなかったため通訳を通して確認すると、「どこに置いていいか分からない」といった回答が返ってきたのです。あの時は、「ここから指示しなくてはいけないのか」と呆然としましたよ(笑)。文化の違いがあるとは自分でも分かっていましたが、いざ現地で生活してみると「これほどか」とカルチャーショックを受けたことを今でも覚えています。
 
◆ 今後の展開
最近では、当社のお客様にも東南アジアに拠点を設ける企業が増えてきており、中国以外でのサポートの事例も出てきています。用友の英語版をタイやインドネシアなど、アジア圏の拠点に導入するといったサポートも行っており、今後もそういった事案を増やしていきたいと考えています。
またこれは中国が中心になるのですが、管理性公司や投資性公司などといった地域統括会社を設ける企業も増えてきていることより、その地域統括会社で用友を購入し、それをグループ企業にシェアードするといった提案も積極的に行っています。当社としてもお客様の変化に合わせて、ニーズに合った提案ができるよう、これからも心掛けていきたいと考えています。
 
※情報(URLご参照)
天津恩馳徳信息系統開発有限公司 http://www.ncdcn.com/
(武蔵小山支店取引先:日本コンピュータ・ダイナミクス中国現地法人)
 
 
 
聞き手=都民銀商務諮詢(上海)有限公司 小原
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで
 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 
 
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