中国人の特に若年層は紙媒体に対する拘りがなく、情報をSNSやネットで拾う傾向が強いため、中国人向けのプロモーションやブランディングには、中国版LINE「微信」などSNSの活用が欠かせません。その状況の中、SNSとは一線を画したプロモーションとして企業から注目を集め始めているのがネットラジオ番組を活用したブランディング、認知度アップです。日本人が中国でネットラジオ番組？と思う方もいらっしゃるかもしれません。今回はネットラジオ事業を立ち上げ、自らもネットラジオ番組のMCとして活躍される上海必賛信息技術有限公司の田中総経理にお話を伺いました。

 

ネットラジオとはインターネットを通じ、音声番組を配信するインターネットのコンテンツの一つで、通常のラジオ放送と異なり、様々なデバイスを通して、いつでもどこでも番組を聴くことが出来ます。

上海でネットラジオ番組を本格始動したのは2015年10月。当初は3番組ぐらいからスタートしました。日本語による番組ですので、リスナーは日本人が殆どだろうと思って始めたのですが、始めてみると意外にも中国人リスナーが多かったのです。一方で、中国人向けにどうやって認知度をあげていけばいいのか企業様や県事務所様から相談される機会が増えてきました。

そこで、日本好きの中国人や日本語を勉強したい中国人向けに発信する番組を企画してみたところ、日本好きの中国人リスナーが一気に3万人に増えたんです。これは、ビジネスになるなと感じました。

番組は基本的に日本人MCが日本語で放送しており、現在の番組数は延べで約40番組。リスナーの中国人は3万人を超え、そのうち25～35歳の女性が60％を占めています。上海の情報が多いことから、リスナーがいる地域は上海が約50％、残り50％を上海以外の地域という状況です。現在人気の番組は「ローカル記事で中国語」という日本語と中国語を交えて放送する番組と、私がMCを務める「Switch」というインタビュー番組です。これらはネットラジオを始めた時からの長寿番組で、やはり長く続いている番組の再生回数が多いですね。

 

中国のテレビ取材を受けたことがきっかけで、2016年7月頃から、中国人へのアプローチ方法として日本企業からの問合せが増え始めました。このネットラジオ番組の強みは、日本を好きな中国人にターゲットを絞って、アプローチできることです。日本が嫌いな中国人にいくら宣伝しても、日本の商品を受け入れてもらうのは難しいですからね。だからこそ、このネットラジオ番組は日系企業の中国人向けプロモーションとしてブランディング、認知度アップの効果が発揮しやすい場だと考えています。また料金もリーズナブルに設定しており、ネットラジオ番組を活用したい場合、15分番組を週に1回、月に4、5回放送して制作費は3,000元／月～（約51,000円／月〜）という値段設定です。月3,000元程度なので、テストマーケティング的に気軽に始める企業様もいらっしゃいます。動画メディアなどは、躊躇される方もいらっしゃいますが、ネットラジオ番組ですと映像が無いので、躊躇無く出演できるというのもネットラジオ番組の魅力の一つかもしれません。

番組の内容はお客様主導で制作頂いても良いですし、当社に企画を任せて頂くことも可能です。過去の企画としては、弊社オフィス内にはネットラジオ制作のスタジオだけでなく、セミナー会場も備えていますので、ラジオのリスナー向けにリアルなセミナーやイベントを実施したりも出来ます。先般もネットラジオ番組と連動した、化粧品や美容に関する体験イベントを実施したところ好評でした。ネットラジオ番組の制作はリサーチ → 企画 → 収録 → 番組編集 → 配信 → 結果 まで一連の流れがはっきりしています。所謂、PDCAのサイクルを学べますので、中国人従業員向けの企業研修としても活用されることもお薦めしています。

オフィス内にはセミナーや体験イベントを開催できる会場を完備

この企画を始めた当時は前例がないことなので、苦労の連続でした。そんなときに役立ったのが、上海に来てから知り合った約5,000人のネットワークでした。まずは様々な分野のプロと知り合いになろうと思い、上海に来た初年度は3,000人、2年目は2,000人とお会いしました。この出会いから色々な繋がりができ、中国で働く上での知恵を沢山頂くことができました。私がMCを勤めるインタビュー番組「Switch」も、最初のインタビュー相手は飲み友達が殆どでしたね（笑）。中国では「友達とはビジネスの話をしにくい」というよりも、「どうせ仕事をお願いするなら友達に頼もう」という話の方が多いかもしれません。

弊社のネットラジオ番組は、今まで日本語が理解出来る中国人向けのものでしたが、今後日本語は出来ないが、日本に関心がある中国人向けに中国語で日本を紹介する番組を増やしていく予定です。中国人の日本での爆買いが終わったと言われていますが、実際には日本に関心ある中国人は多い筈です。日本のインバウンドに繋がる番組を企画していきます。

また通常のネットラジオ番組だけでなく、ライブ中継も増やしていく予定です。映画の聖地巡礼を巡るライブ映像を流したところ、視聴回数はなんと700万回を突破したなんて事例も出てきています。企画次第ですが、テレビよりも視聴される動画も増えてきています。最近では上海に日本人クリエイターが増えていますので、彼らと組んで日本を紹介する番組を企画したいですね。近い将来、テレビなどのメディアよりも個人動画の方が、宣伝効果が高まる時代がくると思いますよ。

上海発アジアの日本語インターネットラジオ番組LivAiA　http://livaia.com/ja/
 

LivAiA_日語電台　http://www.ximalaya.com/zhubo/25518827/
 

中日新視界に出演　http://www.tudou.com/albumplay/1tmhMpFuLoc/RnJ3ymcxmeU.html