中国進出インタビュー

第 61 回「高品質で実効性のあるサービスを」上海ATM財務コンサルティング有限公司
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周総経理
中国へ進出する多くの日系企業が、頻繁に変更される中国の会計・税務制度に頭を悩まされています。今回は上海で長年、日系企業の会計・税務をサポートしてきた上海ATM財務コンサルティング有限公司の周総経理に最近の相談事例や日本企業が留意すべき点にお話を伺いましたので、ご紹介致します。
 

 

 

 

  

 
 

◆ 業務内容・経歴
弊社は2004年の設立以来、中国に進出する日系企業向けにAccounting(会計)、Tax(税務)、Management(経営)にかかわるコンサルティングサービスを提供しています。具体的には企業の会計帳票の記帳代行や税務手続きの代行、会計体制の構築や財務デューデリジェンスなど、日系企業の会計税務に関わる業務全般をサポートしています。
私はもともと数学が好きだったので、中国の大学で会計を学び、卒業後も大学で会計を教える立場にいました。その後1991年に中国全土で初めての公認会計士試験があり、中国公認会計士第1期生として全科目合格することが出来ました。全国で初めて開催された試験ということもあり、現在の試験と比べると試験内容が簡単でしたので、運が良かったかもしれませんね(笑)。当時は日本語を全く話せなかったのですが、1995年に海外を見たみたい気持ちから日本へ留学し日本語を学び、名古屋大学経済研究科で会計専門を勉強し、上海へ戻った後に、会計税務の知識と日本語を活かした現在の業務を行っています。
 
◆ 営業税から増値税へ
中国の会計税務制度は、私が会計を学び始めた時と現在では大きく異なります。学び始めた当時の財務諸表はソビエト式会計方式で作成され、殆どの企業が国有企業でしたので、計上した利益は国に返すという考え方に基づくものでした。
中国経済の開放・発展に基づき、中国の会計制度は国際会計制度に近づくよう制度変更を繰り返し、税務制度も頻繁に変更されてきましたが、今年税務制度について大きな変更があります。中国では物の売買に課税する増値税とサービスに課税する営業税に分かれていた時期があり、近年徐々に増値税へ統一する流れでしたが、今年5月に今まで営業税として扱っていた項目が全て増値税へ移行することが決まりました。今まで営業税で対応していたサービス業等には大きな影響がありますし、不動産賃貸収入や利息に関わる税金も増値税へ変更されますので一般事業会社にも影響があります。
 
◆ 最近の相談事例
最近の相談は、法人では対外送金や資金調達、再編に関わる税務処理のご相談が多く、個人では免税手当など個人所得税に関わるご相談が多いですね。
また社内で行っている会計税務処理の調査・確認(レビュー)の依頼も多く頂戴します。日本人管理者は本業が多忙で、会計税務に関わる業務を中国人担当者に任せているケースがあります。そのため、任された中国人担当者が汚職していたケースや、中国人担当者が会社の為に節税しようとしたところ、その行為が節税ではなく脱税だったケースもありました。また故意ではなく間違った税率を適用していたケースや、個人所得税申告対象項目を間違っていたケースもあります。このような事が起きないよう社員に全てを任せるのではなく、定期的に外部からチェックしてもらい、社員に対して牽制できるような制度の構築をお薦めしています。
現在、約150社の日系企業のお客様を対応して、JETROの会計税務アドバイザーをやっていますが、お客様の業況を見ていますと、製造業やサービス業または業界によって業況の良し悪しが出ているのではなく、業種・業界問わず、中国国内向けの販売を伸ばしている企業は業況が好調ですね。中国への進出の話は、貿易会社の進出などは依然として続いていますが、以前よりは減少しています。その代わりに撤退のご相談は増加しています。撤退を検討される際にご留意頂きたいのが、撤退する際は税務局が3年分の会計税務資料を調査し、税金漏れを指摘します。そのため、撤退を検討される際は事前に3年分の資料を自社や外部機関を活用して見直し、税金漏れを自社で事前申告されることをお薦めしています。税務局の調査で税金漏れが判明すれば追徴課税となる可能性もありますが、税務局から指摘を受ける前に、自社で申告を行えば滞納金や罰金を回避できます。
 
◆ 日系企業に留意して欲しいこと
多くの日系企業のお手伝いをしてきましたが、日本人管理者の皆様には、会社の会計税務に関わる重要な法律についてはご自身で理解して頂きたいです。日本人管理者の中には飲み屋で友人に聞いた情報を鵜呑みにしてしまったり、先ほどお話したとおり、会計税務業務を中国人担当者に任せきりになって、日本人管理者が理解していないケースも見受けられます。管理者の方が理解していないと将来問題になる可能性が高いので、最低限の法律は理解して頂きたいです。中国の会計税務は頻繁に変更されるため、ご自身で法律の最新情報を入手・理解するのが困難な場合は、弊社のような外部機関の活用をお薦めします。
弊社では、まずは関連する法律を理解し、かつ実務を考慮した柔軟なサービスを心掛けています。従業員への社内教育は勿論のこと、社内のチェック体制を強化しており、伝票1枚1枚をチェックする程丁寧・慎重に対応するのは弊社だけだとお客様から評価頂いた事もありました。今後もサービスの品質を重視し、中国へ進出する日系企業をサポートして参ります。
 
※情報(URLご参照)
上海ATM財務コンサルティング有限公司:http://www.atm-consulting.com.cn/index.asp
 
 
 
聞き手=都民銀商務諮詢(上海)有限公司 蓑田 光
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで
 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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