中国進出インタビュー

第 56 回「安心と信頼の製品で中国社会に貢献」亜禡特貿易(上海)有限公司
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上床董事長
最近では中国から日本への輸出だけでなく、中国国内市場開拓をテーマに掲げ事業展開をする日本企業が増加しています。今回は樹脂パーツを豊富に使用した物流機器を中国国内で販売するヤマト・インダストリー株式会社の中国現地法人/亜禡特貿易(上海)有限公司の上床董事長に中国進出の経緯や事業展開についてお話を伺いましたので、ご紹介致します。
 

 

 

 

  

 
 

◆ 進出経緯
ヤマト・インダストリー株式会社は中国に拠点が2社あり、1社が中国広東省にあるOA部品等プラスチック製品の製造拠点、もう1社が物流機器を販売する当社です。
ヤマト・インダストリー株式会社の業歴は長く、ロールボックスパレット、通称カゴ台車を日本で最初に販売したメーカーになります。
当社/亜禡特貿易(上海)有限公司は2012年に上海で設立しましたが、中国との付き合いは2006年に遡ります。ヤマト・インダストリー株式会社の物流機器は中国昆山にある協力工場へ製造を委託していますが、この協力工場と取引開始したのが2006年です。委託した当初は製品の質も悪かったのですが、協力工場を変えずに、長年技術指導してきた結果、協力工場の技術力も相当上昇しました。
日本向けの輸出を目的で中国との関わりが始まりましたが、事業を進めていくうちに、中国国内でも製品を購入したいというオファーが増え始めたことから、中国国内販売を手掛ける当社/亜禡特貿易(上海)有限公司の設立に至りました。
 
◆ 製品の強み
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当社製品/コンビテナー
ヤマト・インダストリー株式会社はOA部品等プラスチック製品の製造で長い歴史を有しており、その歴史の中で育んできた技術と経験を用いて、物流機器を作り出しています。具体的にはカゴ台車や6輪カート、ラックなどを取扱っていますが、当社が取扱う物流機器は高品質、高耐久性が特長です。プラスチックは壊れやすいというイメージの方もいらっしゃるかもしれませんが、当社製品は使い方にもよりますが、10年以上お使いになられるお客様も多くいらっしゃいます。また細かな部分まで出来うる限りプラスチックを用いていますので、鉄を使用した他社製品より軽いのも特長の一つです。カゴ台車を実際に使用する人の中には女性もいらっしゃいますので、軽くて頑丈な当社製品は使われている現場での評判が良く、お使いになられた企業からは頻繁にリピートを頂いています。
中国では当社製品を模倣して物流機器を製造する中国企業もいますが、プラスチックを使用するには技術と経験が必要です。私自身、日本で長年OA部品等製造販売に携わる中で育んできたプラスチック製造に関する経験・知識を活かし、中国で製品改良を行ってきました。
中国企業が製造した当社模倣品は、例えばプラスチックのジョイント部分がすぐ壊れるなどクレームに繋がる結果になっていると聞いています。当社製品は今まで一度も製品クレームはありません。見た目は模倣されたとしても、歴史を積み重ねて構築された技術まで模倣されることはありません。
 
◆ 中国市場開拓
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当社製品/固定ラック
設立当初から中国に進出している日系企業中心に中国販路開拓を進めてきましたが、最近では中国企業からの引き合いも増加しています。
当社製品と中国企業製品の価格を比較しますと、低価格なのは当然ながら中国企業製品です。物流機器を購入する中国企業は安ければ何でも良い、直ぐ壊れてもまた買えばよいという発想の下、価格重視で物流機器を選択していましたので、当社は中国企業との取引が多くなかったのですが、最近ではその中国企業の考えにも変化が見られます。
2013年頃から中国企業にも人件費等コスト上昇の影響が出始め、物流合理化への意識が高まってきた中国企業が増えてきました。物流を合理化するためには、ただ価格が安いものではなく、効率化が図れる当社製品を選択する企業が増えてきているのです。今までは日系企業中心に販路開拓してきましたが、今後は中国企業へのアプローチも行っていきます。
当社製品の特長は先ほどお話した通り高品質、高耐久性、軽量といった点ですが、製品は小ロットからでも対応し、小回りが利く会社とお客様から評価を受けています。また長年日本で培ってきた経験は技術だけでなく、商品設計力にも活かされています。過去数多くの企業の特注品を対応してきた結果、様々な図面を作成してきましたので、今ではあらゆる商品に対応・提案できる設計力を身につけました。
先ほど模倣品のお話もさせて頂きましたが、技術力や設計力というソフト面では日本企業と中国企業には大きな差があります。このソフト面こそ、中国市場における日本企業の強みではないでしょうか。
 
※企業情報(URLご参照)
ヤマト・インダストリー株式会社
ホームページ:http://www.yamato-in.co.jp
 
❒ 取材を終えて
中国市場では業界を問わず、質の良い日本企業製品は価格が高く、質の悪い中国企業製品は価格が低いという状況が生まれ、製品を購入する中国企業は質を気にせず低価格品を選択してきました。しかし今後も人件費等コスト上昇が見込まれる中国では、中国企業の発想も今までの人海戦術・低価格路線から高効率化・高生産性へと変化していく筈です。そして、この変化に対応するためには日本企業が日本で培ってきたノウハウが有効です。中国市場開拓は決して簡単なものでありませんが、日本企業のチャンスはまだあるのを感じます。
 
 
聞き手=都民銀商務諮詢(上海)有限公司 蓑田 光
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
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