中国進出インタビュー

第 55 回「日本と中国の架け橋に」クララオンライン
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中戸川副総経理
現在中国では急速にインターネットやスマートフォンが浸透し、中国でインターネットビジネスの成功を目指す日本企業が増加しています。今回は、日本企業の中国進出をインターネットサービスとビジネスコンサルティングの両面からサポートしている株式会社クララオンラインの中国現地法人/客楽来技術諮詢(北京)有限公司の中戸川副総経理に事業展開や中国と日本の違いについてお話を伺いましたので、ご紹介致します。
 

 

 

 

  

 
 

◆ 事業展開
現在、弊社の業務は大きく3つに分かれます。まずはITインフラの提供、このITインフラを活用してお客様の目指すビジネスをサポートするITコンサルティング、そしてITだけでなく中国ビジネス全般をサポートする中国ビジネスコンサルティングの3つです。
弊社は当初ITインフラの提供を主軸に事業展開を行ってきましたが、当初はITインフラの提供だけでお客様のビジネスに大きく関わりをもっていませんでした。しかし、どんなに良いITインフラを提供しても、お客様の中国ビジネスが成功しなければ、弊社のITインフラを継続して活用頂けません。そこで弊社ではITインフラの提供に加えて、お客様が事業を始める段階からITに拘らず中国ビジネス全般をサポートすることにしました。
弊社は中国でIT環境が一番整っている北京に拠点を構えていますが、北京に拠点を構える以前から中国ビジネスに参入し、参入当初は多くのトラブルや苦労がありました。この苦労した時代にあきらめず中国ビジネスを続けてきた経験があるからこそ、これから中国へ進出するお客様に対し、中国の現状に合わせたアドバイスを行うことが出来ています。
 
◆ 中国と日本の違い
中国と日本のIT業界を考えた場合、日本のIT業界は段階を踏んで発展してきた結果、積み上げてきた歴史があります。積み上げてきたものを大幅に変更するのは時間がかかります。しかし中国は発展の歴史がない、過去にしがらみがないことから、日本以上に新しい分野へ注力することが出来ます。
中国と日本では事業の進め方・スピード感にも大きな違いがあります。アプリの開発を比較した場合、日本ではアプリの設計をしっかり行い、問題がないことを検証してからリリースしますが、中国ではまずアプリをリリースし、リリースした後に不具合を修正していきます。日本では計画を立て、その立てた計画通りに作業することが評価されますが、中国では目標達成が第一でスピードが重視されます。そのためSEに求められるスキルも日本とは異なります。この中国と日本の物差しの違いは、日本企業側が理解する必要があります。弊社ではお客様に対して中国ビジネスを説明する場合に、地雷を例に挙げるケースがあります。日本では地雷地帯を通る場合、地雷を探知機で調べてから進みますが、中国では地雷地帯を地雷が爆発する前に走り抜けていく必要があります。弊社はその地雷の場所を過去の経験則から推測できますので、地雷地帯を走り抜けていこうとするお客様に対して、地雷の場所を適切にアドバイスするのが弊社の役割になります。
 
◆ クラウドサービス「鴻図雲(ホンツーユン)」
中国では日本以上に新しいものへ力を入れるとご説明しましたが、中国ではクラウドサービスを活用する企業が増加しています。弊社もニフティと共同で、クラウドサービス「鴻図雲(ホンツーユン)」を中国で開始しました。「鴻図雲(ホンツーユン)」は、日本国内で3,500件以上の豊富な実績があるパブリッククラウド基盤のニフティクラウドの技術を採用したクラウドサービスです。「鴻図雲(ホンツーユン)」では小規模企業から大企業まで様々な企業のご要望に対応しています。例えば、日本本社の製造管理システムを中国現地法人でも使いたい場合、クラウドサービスを利用することで、中国現地法人の投資コストを抑えて、中国現地法人も日本本社の製造管理システムを利用することが出来ます。クラウドサービスは、使いたいシステムをすぐに使えて、すぐやめることが出来るのも特徴の一つです。会社の引っ越しが多い中国では、移動の負担が少ないクラウドサービスは日本以上に利用価値があるかもしれませんね。
※中国国内の本格クラウドサービス「鴻図雲」:http://www.hongtucloud.com/
 
◆ 中国で働く実感
私は中国に駐在してから4年が経過しました。以前中国へ旅行した際に受けた衝撃がきっかけで、中国への興味が湧き、中国で働くことを目指して、株式会社クララオンラインに入社しました。その中国で実際に駐在してみて、苦労したのは言語の問題です。日本で中国語の勉強をしてきましたが、いざ中国で教科書や辞書にある中国語を使って話してみますと、言葉のニュアンスの違いから、日本で勉強した中国語が全く通じない場面が多々ありました。外国で働くということは、このニュアンスの違いを分かる必要があるというのを実感した体験です。
現在、副総経理の立場で従業員の監督管理・指導を行っていますが、日本式の管理方法を押し付けるのは良くないと実感しています。以前は日誌作成など日本式の管理方法を行ったこともありましたが、中国人従業員には受け入れられませんでした。現在では日本式の管理方法を止め、食事をとりながら従業員とコミュニケーションを図っています。中国でもSNSが浸透していますが、SNSやメールではなく、face-to-faceのコミュニケーションが重要です。日本式の管理方法に縛られると、監督する立場も監督される従業員もお互い疲れますからね。業務についても極力従業員に任せるように心がけています。中国でビジネスするからには、中国人が主役であるべきで、日本人はあくまでサポート役であるべきだと考えています。
中国と日本には違いがあります。しかし、この違いを良い悪いに分ける必要はありません。日本と中国の違いを楽しめる人、またこの中国から学ぶ意欲のある人が中国ビジネスに適用できる人ではないでしょうか。
 
◆ 今後の抱負
弊社は今後も日中のブリッジであり続けられるよう活動して参ります。日本と中国には違いがあります。その違う場所に橋をかけて繋ぐことが弊社の役割です。今までは日本企業が中国進出するケースが殆どでしたが、今後は中国企業の日本進出が増えていきます。日本企業が中国へ進出した際に悩むのと同じく、中国企業も日本へ進出する際には多くの悩みを抱えるはずです。弊社は今まで培ってきた経験やノウハウを活用し、日本企業が中国へ進出する際の橋渡しだけでなく、中国企業が日本へ進出する際の橋渡しの役割も担っていきたいです。
 
※企業情報(URLご参照)
日本本社/株式会社クララオンラインホームページ:http://www.clara.co.jp
中国現地法人/客楽来技術諮詢(北京)有限公司ホームページ:http://www.clara.net.cn
 
❒ 取材を終えて
中国でWEBソリューションを手掛ける企業は数多くありますが、お客様のビジネスの成功のために、ITのみならず、中国ビジネス全般を自社でサポートする企業は当社しかないかもしれません。当社も中国ビジネスを始められた際は多くのご苦労があったそうですが、あきらめず続けられたことで、現在のビジネスモデルを構築されました。日本企業にとって中国ビジネスは苦労の連続です。中国で成功するために、あきらめずビジネスを続ける大切さを改めて実感させられました。
 
 
聞き手=都民銀商務諮詢(上海)有限公司 蓑田 光
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
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