中国進出インタビュー

第 53 回「豊かな心と、確かな技術で明日を拓く」上海宗雄貿易有限公司
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<鳥居副総経理>
世界の市場へと変貌を遂げた中国へ日本企業の進出は続いています。今回は日本品質の技術とノウハウを武器に中国市場で活躍されるエレクトロニクス技術の株式会社アサヒ上海現地法人/上海宗雄貿易有限公司の鳥居副総経理へ、中国ビジネスの取り組みについてお話を伺いましたので、ご紹介致します。
 

 

 

 

  

 
 

◆ 事業内容
日本本社の株式会社アサヒは、「豊かな心と、確かな技術で明日を拓く」を経営理念に、創業以来培った技術やノウハウをものづくりに活かし、主力事業である医療機器・産業機器用制御システムを中心に設計から製作、販売までお客様に満足頂ける製品・サービスを提供しています。
この経営理念の下、世界の工場から世界の市場へ経済発展を遂げた中国へ日本の技術や品質レベルを提供するべく、2010年11月に上海現地法人/上海宗雄貿易有限公司を設立しました。
上海現地法人では多岐に渡る商品の販売や技術コンサルティングを行っていますが、特に5つの分野①システム制御盤(電気組立品)の提供、②金型業務(図面設計から成形まで)、③板金業務(精密板金から製缶品まで対応)、④日本NTN製ベアリングの提供、⑤中国製リチウムイオンバッテリーの提供に注力しています。
 
◆ 技術と日本品質
当社の強みは技術と知識を持つ人間が、フットワークが良い営業を行う点です。ものづくりの基本はQCD、品質(QUALITY)、価格(COST)、納期(DELIVERY)ですが、価格は見積書を提出すれば済む話で、重要なのは品質と納期です。
この重要な品質と納期を維持するためには、中国協力工場の技術を向上させ、協力工場の工程管理をしっかりと行え、かつそのクオリティを顧客へ伝えられる人間が中国に駐在する必要があります。私は中国赴任前に日本本社で品質管理部長を務めていたので、自社の各事業分野の最低限の知識を持っていたこともあり、私に中国駐在の白羽の矢が立ったのかもしれません。
日本品質のものは価格が高いと言われますが、費用対効果を考えた場合、中国製と比較して日本製の価格は決して高くありません。日本製と中国製を比較した場合、商品の外観は同じかもしれませんが、性能・寿命・機能は全く違います。日本製の品質の高さは中国人も認めており、だからこそ中国人は日本へ爆買いに来ているのではないでしょうか。
しかし日本で働かれている方に理解して欲しいこともあります。私も中国赴任前は同じ考えだったのですが、日本で働かれている方は中国で製造すれば安く作れると思い込みがちです。しかし中国で製造しても、重要な部品や安全性を求める部品を日本製の部品を指定した場合は日本から輸入するしかありません。日本から部品を輸入しますと税金や輸送費によって、部品価格が日本の販売時の約倍になります。中国で製造したとしても日本品質を求めるために日本部品を使用すると、結果として価格は高くなってしまいます。中国製部品の品質レベルで良いならば、価格を安く製造することも出来ますが、日本製の部品を指定されますと、中国で製造したとしても安く作れないことを日本側には理解して頂きたいですね。
ですから中国の価格で日本の品質を維持する為には中国製の部品への置き換えが必要で、そのためには実績ある弊社にご相談いただければ、お客様のニーズにあった品質・納期・価格を実現致します。
 
◆ 中国での仕事
日本で働いていた時から、取引先や従業員とのコミュニケーションを重視していましたが、中国に赴任してからもその姿勢は変えていません。当社の中国人従業員と接する際も、上から目線で話すのではなく、同じ目線で話すように心がけています。当社の社用車に乗る際も、車の後ろに座らず、運転手の隣の席に座るようにしています。今では中国人従業員よりも私のほうが上海の道路事情に詳しいので、従業員からはナビ代わりに使われていますよ(笑)。
この姿勢は中国の協力工場を訪問したときも同じで、協力工場を訪問した際は、積極的に協力工場の中国人従業員に話しかけるようにしています。中国人は日本人以上に家族を大事にするので、話しかける際は出来るだけ家族構成を聞き、その後、従業員本人向けではなく、従業員の家族向けにプレゼントを買って行きます。従業員もこの家族向けの気遣いを非常に喜んでくれ、現在ではSNSをやり取りするほど仲良くなっています。結果として、協力工場の従業員達は私を信頼してくれ、協力工場の総経理が羨むほど、私の依頼事項を素早く対応してくれます。
中国に赴任したからには、郷に入れば郷に従えという言葉の通り、中国の生活に馴染まないといけません。私も食事や日常の様々な生活面で積極的に中国の生活に入り込むようにしています。しかし全てを中国に合わせるのではなく、私たちは日本企業であること、日本企業としてしっかりと仕事の対応することは決して忘れないように心掛けています。
 
◆ 今後の抱負
今後は日本向けの輸出と中国国内販売を両輪に事業拡大することを目標としています。当社が取扱う中国製リチウムイオンバッテリーは、もともと当社が業界二三番手の中国製造会社を探し、日本の取引先と協力してその製造会社へ技術指導を行った結果、その製造会社は業界一番手に迫るほどの品質・性能にまで成長しました。日本向けの輸出は為替の影響もありますが、今後もこのような協力会社への技術指導で品質は向上させ製品価格は下げる工夫を行い、良い品物を安く日本への安定した輸出を行って参ります。
また中国国内販売を考えた場合、中国国内の需要は日本以上に存在しています。あとはこの大きな需要の中で、要求するニーズを的確に掘り起こし、そのニーズにしっかりと応えていくことが必要です。人民元の通貨価値は上昇していますが、中国の技術力は人民元の上昇率に見合うほど向上していません。当社は日本で培ってきた確かな技術知識とノウハウを武器に、世界の市場と化した中国で事業拡大を目指して参ります。
 
※企業情報(URLご参照)
日本本社/株式会社アサヒ
ホームページ:http://www.asahi-j.com
上海現地法人/上海宗雄貿易有限公司
ホームページ:http://www.shanghai-zongxiong.com/jp/index.html
 
❒ 取材を終えて
取材で当社を訪問しますと、鳥居副総経理の言葉の通り、鳥居副総経理と中国人従業員とのコミュニケーションの良さが伺えます。日本人駐在員の中国人に対する接し方は、駐在員の性格や置かれている状況などにより様々で、コミュニケーションを重視する方法、しっかりと指導する方法など、どれが正解とは言えません。その中で鳥居副総経理は中国でも、当社の「豊かな心と、確かな技術で明日を拓く」という経営理念を実践されています。従業員と協力工場と共に日本品質で中国市場を開拓する当社のご活躍を期待しております。
 
 
聞き手=都民銀商務諮詢(上海)有限公司 蓑田 光
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
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