中国進出インタビュー

第 50 回「安心・安全・信頼のホームドクター」上海森茂診療所
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<三木総経理>
上海には多くの日系企業が進出していますが、大半の企業は日本人駐在員が一人しかいません。その一人の駐在員の健康が崩れた場合、現地法人の運営に大きな支障が生じます。
今回、日系で上海に初めて進出した医療機関/上海森茂診療所の三木総経理に駐在員の健康管理や中国の病院事情についてお話を伺いましたので、ご紹介致します。
 

 

 

 

  

 
 

◆ 中国進出の経緯
日本で取引のあった森ビルからの要請で、上海森ビル内に日本人駐在員向け医療機関を開院することになったのが、中国進出のきっかけです。
当時、中国衛生局は外資系医療機関の開設に難色を示し、認可が下りないまま3年が経過しました。その際、上海日本国総領事のアドバイスで、外国企業誘致を担当する招商局と医療を担当する衛生局向けにセミナーを開催しました。セミナーで、日本企業を上海に誘致するには駐在員が安心して生活出来るための日系医療機関が必須であり、投資インフラと同じ効果があることを訴えました。結果、中国当局の理解を得られ、ようやく医療機関設立の認可を取得することが出来ました。
上海森茂診療所は1998年に日系で初めて中国・上海へ進出した医療機関となります。
 
◆ 医療サービス内容
中国では2008年に健康診断に関わる法律が急遽整備されました。これを受け、駐在員の健康を守るためには健康診断が欠かせないと思い、2011年に森茂国際健診センターを開設しました。
中国の医療事情を考慮した場合、治療は日本で受けるのが一番です。上海森茂診療所では重度の病気を治療する事はしません。病気を早期に発見し適切な日本の医療機関を紹介します。日本で治療した後、早く上海に戻ってきてもらう事を目標としています。
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<64列マルチスライスCT>
病気を早期発見するためには医療設備が重要です。上海森茂診療所では、東芝64列マルチスライスCTをはじめ医療機器を充実させ、日本の健診センターと同等・それ以上の医療設備を完備しました。同様に医療ネットワークを繋ぐなどソフトも充実させております。
中国では肺ガンのリスクが多くあります。発生率から見た場合、日本と中国では大差ありません。しかし年代別で見た場合、日本では高齢者の発生率が高いのですが、中国では45歳以上から発病するケースがよく見受けられます。発ガン性物質のPM2.5が直接影響しているとは言いませんが、PM2.5が肺ガン発病の引き金にはなっているかもしれません。

 

上海森茂診療所ではこのような中国の状況を受け、胸部CT検査を推奨しています。日本で行われる胸部レントゲン検査で見つかる肺ガンの大きさは約20ミリ以上と言われていますが、CTではずっと小さな肺がんを発見することが出来ます。肺がん治療は早期発見が決め手です。ステージⅠとⅡでは生存率が半分になるガンです。駐在員の皆様にはCTによる定期的な肺ガン検査をお薦めしています。
また、MCG検査を知っていますか?。MCG検査は心臓血管の詰まり具合を測定する検査です。心電図測定のように胸に張るだけで痛みもなく、高い精度で早期に虚血性心疾患を知ることが出来ます。日本では保険適用されておらず、馴染みがないものかもしれません。上海森茂診療所では食事環境の違う駐在員の健康管理を第一に考え、このMCG検査も導入しています。

 

◆ 駐在員のストレス
海外駐在員のストレスは日本以上に高くなります。ストレスは誰にもありますが、日本ではストレス検査をマイナスに捉える傾向があります。アメリカなどでは、仕事のポストが高いほどストレスが多いと考え、気軽にストレス相談を医師にしています。日本では今年12月1日より企業にストレスチェック制度が施行されます。上海森茂診療所ではこの制度導入に対し、上海でも日本人産業医を置き、ストレスチェック制度に対応できる体制を整えましたので、気楽にご相談ください。
 
◆ 中国人の医療相談
1998年に上海森茂診療所は日本人駐在員のために開設しました。そして森茂国際健診センターを2011年に開院し、日本人だけでなく、中国人の健康相談にも対応しています。
中国の病院には最新の医療機器が導入されています。しかし、いくら最新の医療機器を導入していても、機器を扱う中国人医師や技師が機器能力を十分に発揮させておりません。その事実を一般の中国人も理解しており、直接日本の病院へ行き診察を受けるようになりました。
しかし日本の病院では中国人患者の対応に苦慮したことから、上海森茂診療所が日本の窓口として対応するようになりました。上海森茂診療所では患者データを整理し必要な画像をまとめ、日本の最適な病院に紹介状を送ります。日本全国約200の医療機関と連携し、ネットを通じて、リアルタイムで日本の医師と相談しながら対応することが出来るのも特徴の一つです。現在多くの中国人患者が治療相談に来られます。
 
◆ 日本と中国の違い
中国民営医療機関のほとんどが一般企業の経営です。また公立病院も独立採算制を採用しているため利益を優先する傾向があります。医師にもノルマがあり、受診回数・検査・投薬が多いようです。上海森茂診療所では管理栄養士が常勤し食事指導・生活指導を行っていますが、中国の病院では医師による管理指導や管理栄養士による食事指導が保険適用外のため行われていません。中国の病院は最新の医療設備を揃えるなどハードが先行していますが、患者様から「ここへ来てよかった」と言われる満足感を与えるソフトがないように思われます。
 
◆ 今後の抱負
上海森茂診療所の行動指針は「If I were you?」です。もしあなたが目の前の患者だったらどのように対応されたいですか?
上海森茂診療所に来られる全ての方に「ここに来て良かった、安心した」と言われるよう努めて参ります。
中国には昔から「医食同源」や「未病」いう言葉があります。食事は健康の重要要素、特にメタボの方は管理栄養士の指導を受けて下さい。症状が出ないうちに発見して治す。早期発見には定期的な健康診断が必須です。面倒くさがらずに必ず受けて下さい。発病してからでは遅すぎます。上海森茂診療所は、皆様の身近なホームドクターでありたいと願っています。
 
※企業情報(URLご参照
上海森茂診療所ホームページ:
http://www.senmaoclinic.jp/
 
❒ 取材を終えて
中国現地法人ではさまざまな課題・問題が発生します。売上や利益目標の達成、中国人従業員の教育・管理。さまざまな課題・問題を解決するために、日本人駐在員が活躍されていますが、その駐在員が居なくなれば、現地法人運営の根幹に関わります。駐在員の病気は経営リスクの一つです。病気を防ぐための駐在員の健康管理を改めて見直されてはいかがでしょうか。
 
 
聞き手=都民銀商務諮詢(上海)有限公司 蓑田 光
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
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