中国進出インタビュー

第 47 回 「上海で真心のこもったサービスを」上海澤多房地産經紀有限公司
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〈澤田総経理〉
中国で拠点を立ち上げる場合、まず検討するのが不動産物件です。「会社の場所はどこが良いか?」「初めて中国で暮らす日本人が
住める場所はどこか?」、中国の不動産事情や土地勘がない日本企業・日本人にとって不動産物件探しは最初のハードルです。
 
今回は上海に20年住まわれ、日本企業・日本人の不動産物件を長年サポートされてきた上海澤多房地産經紀有限公司(以下、サワダ不動産)の澤田総経理に上海のオフィス・駐在員住宅事情についてお話を伺いましたので、ご紹介致します。
 
 
 
 
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 サワダ不動産立ち上げについて
 私が中国に住むようになったのは1995年からになります。なぜ中国で働き始めたかと言いますと、私は京都生まれ京都育ちなのですが、京都は昔から中国人留学生が多い街で、その中国人留学生の勤勉さを見て、是非中国で仕事がしてみたいと考え、1995年に中国・杭州へ留学したのが中国生活のスタートになります。
 1年間の語学留学後、そのまま上海に滞在し、日系の一般事業会社や不動産会社への勤務を経て、2001年にサワダ不動産を立ち上げました。
 立ち上げ前は仕事があるかないか不安を抱いていましたが、いざ事業を始めてみますと、すぐに多くの日本企業から不動産仲介の依頼が舞い込み、多忙な日々を過ごさせて頂いた記憶です。スタッフは当初3~4名でスタートし、業務量に応じて、現在40名まで人数を増やしましたが、当社は駐在員生活のアフターサービスを行っていることから、スタッフが増えても忙しさはあまり変わらないように感じます。
 
 
◆ アフターサービスの必要性
 先ほど当社では駐在員生活のアフターサービスを行っているとお話しましたが、日本人駐在員が住む物件にはアフターサービスが欠かせません。と言いますのも、個人住居は不動産の契約時よりも、住んだ後のトラブルが多く発生します。例えば、住居備え付けの洗濯機が壊れた場合、そもそも駐在員は仕事が忙しいため、修理の手配をする時間がありません。また自身で修理したくとも、日本にあるホームセンターのような修理工具が揃っているお店が中国には多くありません。日本では自身で出来ていたことが、中国では簡単には出来ないことが多いため、当社では修理専門のスタッフを揃えるなど駐在員の生活を全面的にバックアップしています。なお、アフターサービスは有料ではなく、当社が不動産探しをお手伝いしたお客様には無料で提供していますので、上海での生活を安心してお過ごし下さい。
 

上海不動産物件の注意点
 上海で個人住居を探される場合、個人オーナーの物件には十分ご注意下さい。上海の不動産物件には個人オーナーが多くいますが、この個人オーナー物件はトラブルが多く発生します。あるケースは、当初契約した個人オーナーが不動産物件を契約途中で転売したためにトラブルが発生しました。転売先の新しい個人オーナーが、購入した物件を自身で住みたいという話になりましたが、法律上は契約済みの賃貸契約が優先されるため、入居されていた駐在員の方は住み続けました。しかし法律上優先されるとはいえ、新しい個人オーナーとの関係が悪化し、オーナー側から度重なる嫌がらせを受ける結果となってしまいました。
 別のケースでは、オーナー自身が上海に常住していないため、物件が故障したときにオーナーに連絡したくとも連絡がつかないこともありました。また個人オーナーに差し入れた保証金の在り処が分からなくなってしまったというケースも聞きます。
 このように個人オーナー物件は住んだ後のトラブルが発生しやすいです。最近、不動産仲介会社を通さずに個人オーナーと直接交渉して、安い賃料で入居される駐在員の方がいるとお聞きしますが、住んだ後のトラブルを考えますと、オーナー交渉を代行してくれる不動産仲介会社のご利用をお薦め致します。
 
 
日本企業・日本人駐在員の上海不動産入居動向
 個人住居に関しては、昨年は単身の住まい探しのご相談が多くございました。ご家族帯同でいらっしゃっていた駐在員の方も、ご家族だけが先に日本へ帰国されることが多く、昨年は上海の日本人在留届者が約1万人減ったと言われていますが、減ったのは駐在員本人ではなく、ご家族の帰国が主な要因に感じます。
しかし今年に入りますと、ご相談の内容が変わり、ご家族帯同で住まいを探される方が増えてきました。20代と若いうちに駐在される方も多く、新しく出来た家族とは上海でも一緒に住みたいと希望される方が増えたからかもしれません。
 このような環境の変化から、昨年は単身向け物件の賃料が値上がりし、家族向け物件が値下がりする状況でしたが、今年は家族向け物件の賃料も値上げするマンションが多くなっています。
 オフィスに関しては、新しく上海へ進出される企業は机や椅子が完備されているレンタルオフィスへ入居される傾向が、ここ数年続いています。しかし今年に入り、レンタルオフィスではなく、一般オフィスへの入居を希望する企業のご相談も増えてきましたので、傾向が少し変化するかもしれません。
上海のオフィス事情は刻々と変化しています。特に地下鉄の路線拡大の影響が大きく、地下鉄で行けるオフィスが増え、昔のように中心部にオフィスを構える必要性は薄れているように感じます。地下鉄の終着駅付近に出来た新しいオフィスビルは、中心部のオフィスと比較して半分の家賃で、広さが1.5倍のものが賃貸できます。そのため最近は、中心部から離れ、郊外に近いオフィスへ引っ越す企業も増えてきています。しかし郊外に近いオフィスへ引越しされた際、上海の中心部で働きたかった中国人スタッフが郊外に行くのを嫌い、会社を辞めてしまったケースも聞きますので、引っ越される時には様々な事に配慮して、不動産物件をお探し下さい。
また上海のオフィス物件は、昨年まで賃料を値下げするオフィスビルが多かったのですが、昨年が賃料値下げの底だったのか、今年は交通の便が良いオフィスビルは値上げする傾向にあります。
 
 
◆ 心がけていること
 上海に住み始めて20年が経ち、日本企業・日本人の不動産サポートに携わり15年が過ぎました。そのなかで、昔から現在まで忘れずに心がけていることは、「真心のこもったサービス」です。中国人スタッフが業務の多忙さから「真心」を忘れないように、朝礼では「真心のこもったサービス」について常に話しています。
上海は日本のように恵まれた住環境と言われますが、あくまで外国は外国です。日本人駐在員の方が安心して生活され、仕事に集中頂ける環境を整えるのが当社の使命と考えています。今後も、お客様から「住居を任せて良かった」と仰って頂けるよう、真心のこもったサービスを続けていきたいです。
 
 
❒ 取材を終えて

 当社事務所の応接室には、日本へ帰国された日本人駐在員が、帰国する際に澤田総経理へ渡された思い出の品が沢山飾れており、お客様との信頼関係の深さが垣間見えます。競合激しい上海不動産業界の中で、10年以上に渡り事業継続されていらっしゃるのは、当社が単に不動産物件を仲介するだけでなく、その後の日本人駐在員の生活をしっかりとバックアップされ、信頼関係が構築出来ているからでしょう。今後も真心のこもったサービスで、日本企業・日本人の不動産サポートを続けて頂ける事を願っております。
         
 
 
 
聞き手=都民銀商務諮詢(上海)有限公司
 蓑田 光
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