中国各地には開発区と呼ばれる工業団地がいくつも存在します。開発区は製造業がモノづくりを行えるよう電力や道路などのインフラを整備し、中国企業のみならず、海外の製造業を誘致して発展を遂げてきました。日本から中国への製造業の進出が減った現在、中国の開発区がどのような変化を遂げているのか、今回は1992年に認可された国家級開発区「常州国家高新技術産業開発区」招商局・日韓局へのインタビューを通じてご紹介致します。

 

中国江蘇省の常州市は、上海からの距離が163㎞、新幹線で最速40分の距離に位置します。その常州市にあるのが常州国家高新技術産業開発区です。

常州国家高新技術産業開発区は総面積439.16㎡、登録人口43万人、区内には1万社超の企業が設立されています。

1992年、国家級開発区（国から認可を受けたグレードの高い工業団地）として認可を受けた常州国家高新技術産業開発区の特徴として挙げられるのが、交通の利便性です。新幹線や高速道路だけでなく、常州港と常州空港を抱え、国内外の交通・物流面に秀でた特徴を持っています。また生活環境面も整っており、ショッピングモールや日本語対応可能な病院があるだけでなく、恐竜を題材にしたテーマパークや温泉などのレジャー施設も充実しており、日本人駐在員にも住みやすい環境となっています。

 

常州国家高新技術産業開発区の基幹産業は装備産業分野と化学新材料分野です。常州市は昔から金属加工業や化学産業が発達していたことから、開発区税収の約50％を占める程、この分野の企業が多く存在します。また開発区内には切削工具生産メーカーや自動車部品生産メーカーを集めた産業エリアもあり、常州国家高新技術産業開発区は製造業と共に発展してきました。

製造業と共に歩んできた常州国家高新技術産業開発区ですが、人件費や家賃の高騰など中国の投資環境も変化してきたことから、現在は開発区内の産業構成の転換を図っています。今後は従来のモノづくり産業だけでなく、①医薬品や病院・介護施設などの生命健康産業、②ロボット産業、③ソーラー産業、④アニメやソフトウェアなどのクリエイティブ産業といった、中国で更なる成長が見込まれる分野の投資誘致を強化することで、開発区の発展を計画しています。特にこの新しい重点誘致分野では、日本企業は世界でも先行していますので、是非日本の皆様には開発区の環境を視察頂きたいです。

 

海外からの投資誘致は長年積極的に行っており、日本企業の誘致にも力を入れてきました。この日本企業誘致のために活動しているのが、私達、招商局・日韓局です。日韓局は9名体制で、全員が日本語で日本人の皆様に対応出来ます。

現在開発区には約150社の日本企業が進出（韓国企業は約50社進出）していますが、殆ど全ての日本企業の進出サポートから日本人駐在員の生活サポートまで日韓局が対応してきました。

常州国家新高技術開発区は会社設立の行政手続きが簡素化されていますが、業務内容によっては特別な許可を取得する必要があります。この許可を取得するための政府部門への交渉も、日韓局がサポートしていますので、日本企業の皆様は安心して常州国家新高技術開発区への進出をご検討下さい！

中国の開発区は、中国以外のアジア各地の工業団地と比較して、電力や道路などの投資インフラが整備されています。その中国開発区の中でも、この常州国家高新技術産業開発区の素晴らしさは、長年関わってきた日本企業への対応力です。日本企業・日本人駐在員をサポートする日韓局の日本語力、日本人への理解度は他の開発区よりも優れています。

今後、中国開発区は低コストを売りにするのではなく、この常州国家高新技術産業開発区同様、新しい付加価値・新しい分野の誘致、環境整備を行っていくものと思われます。コストが高くなった中国開発区では新事業が出来ないと思わず、一度変わりゆく投資環境を視察されてみてはいかがでしょうか。