中国進出インタビュー

第 42 回「一人ひとり一つひとつを大切に」三井住友海上火災保険(中国)有限公司
 
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総経理 吉田 篤司氏

三井住友海上火災保険株式会社は、1993年に上海事務所を開設以降、2001年5月には上海支店を開設、2007年9月には現地法人/三井住友海上火災保険(中国)有限公司設立と中国で事業拡大を進められています。2014年9月現在では1本部、4支店・営業部(上海、広東、北京、江蘇)、2営業サービス部(蘇州、深セン)、合計334名体制で、中国に進出する日本企業に対して、日本同様のきめ細やかなサービスを提供されています。

今回は、上海営業部の総経理を務める吉田篤司氏に中国での事業展開や中国の保険事情・保険の事例についてお話を伺いましたので、ご紹介致します。

 

 

 

u  中国の保険市場・事業展開について

中国では、保険業について地域制限があり、例えば上海で保険事業の認可を得ても、その適用範囲は上海のみとなります。全国全土で事業展開できるライセンスが付与されておらず、各省・自治区・直轄市に支店を各々開設しないと各地で営業出来ません。
 現在、弊社では上海、北京、江蘇省、広東省の4つの地域で営業許可を得ており、この支店数は日系保険会社では最大級となります。その他の地域についても、大規模物件や物流保険など弊社が直接全国ライセンスを持つ分野を除き、中国第3位の規模である太平洋保険と提携し、中国全土でお客様へサービスを提供する体制を整えています。
 また、外資保険会社には、自動車の保険についても規制が残っています。弊社は自動車の自賠責保険の上乗せとなる自動車任意保険は既にライセンスを取得していますが、自賠責保険については、日系損害保険会社には営業許可が下りていません。中国は自動車販売台数が世界一の国であり、中国保険市場の多くは自動車保険で伸びていますが、日系の保険会社は自動車保険を自賠責保険とセットで販売できないのが現状なのです。
 

u  日本と中国の保険の違いについて

基本的に中国で販売している保険商品は日本と類似しており、弊社は日系企業のお客様に日本と同様のサービスを提供しています。具体的には貨物保険、賠償責任保険、自動車任意保険、傷害保険、火災保険、工事保険、取引信用保険、船舶保険等幅広い分野の商品を取り扱っています。
 しかし、先ほどお話しました通り、保険会社の営業免許は地域ごとに制限され、保険品目でも自動車保険の内、自賠責保険なども販売が制限されています(2014年9月現在)。
 

u  サービスの特徴・強みについて

①日本同様のサービス 
弊社では日中2ヵ国語対応可能なスタッフがお客様からのリスクにかかわるご相談に対応する体制を整え、日本同様のきめ細やかなサービスを提供しています。
②防災提案
 事故の発生を未然に防ぐための対応をお客様へ具体的にご提案し、防災のお手伝いを実施しています。弊社グループ会社の株式会社インターリスク総研社が、中国上海市で日系損害保険会社としては初めてとなるリスクマネージメントサービスを専門に扱う現地法人「インターリスク上海」を設立。中国大陸全土で、お客様の工場・倉庫・事務所等での火災、自然災害、労働災害、盗難対策等の現場リスク調査を実施するなど、個別事象に応じたコンサルティングを行っています。
③太平洋集団との戦略提携
 中国3大保険会社グループの一角である中国太平洋保険集団と2004年から戦略的包括提携を締結し、当社ライセンス地域以外の対応を補完する体制を構築しています。
 

u  保険の事例

最近は自然災害を要因とする事故が増加しています。中国では建物の老朽化が早く、台風による風災や水害の事故が多く、火災保険や貨物保険の手配が必要です。
 特に企業様にお薦めしている保険が、賠償責任保険と自動車の任意保険(自賠責保険の上乗せ)です。
 中国においても第三者からの賠償リスクは年々高くなっており、製造業と販売会社の皆様には生産物賠償責任保険を必ずお薦めしています。
 また自動車の第三者への賠償金も増額傾向にあり、現在加入されている自動車保険の限度額確認をお薦めしています。例えば死亡事故の場合、遺族への死亡賠償金だけでも70万元以上の賠償金が発生し、さらに被扶養者への生活費賠償を合わせると100万元以上の賠償金となる可能性があります。一般的な自動車保険の賠償限度額は30~50万元に設定されているケースが多く、企業の社有車で重大事故を起こした際に、多額の費用負担が発生します。日本では対人・対物賠償無制限という補償内容が当たり前となっていますが、中国では無制限ではないため、十分な補償内容の設定が必要になってきます。
 
※企業情報(URLご参照)
三井住友海上火災保険(中国)有限公司ホームページ (http://www.ms-ins.com.cn
 

r  取材を終えて

事業継続していくためには、当然ながら様々なリスクに直面します。また中国と日本では異なるリスクも存在します。私自身も、実際に事務所の壁紙が台風の影響で水害を受け、日々の移動においてもいつ自動車事故にあってもおかしくない状況を過ごしています。
 製造業、貿易会社、飲食業等全ての業種において、リスクヘッジ(適切な保険)は必要です。改めて、中国拠点の保険内容を確認されてはいかがでしょうか?
 
 
 
 
聞き手=都民銀商務諮詢(上海)有限公司
蓑田 光
 お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで
 

 

 
 
 
 
 

 

 
 

 

 
 

 

 

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