電線･ケーブルといった部品部材、自動車部品や情報電子機器の製造に不可欠なダイキャストマシン･インジェクションマシン、省エネルギーシステムなどを取り扱う三五商事株式会社は、平成23年9月にインドネシア現地法人「PT.Sango Shoji Indonesia」とタイ現地法人「Sango(Thailand)Co.,Ltd.」を設立、平成24年8月には中国上海市に「三五商貿（上海）有限公司」設立と、この数年で海外へ事業を展開されています。

 

今回お話を伺う上海現地法人の周藤総経理は上海ご出身ですが、日本に23年滞在し、日本へ帰化。堪能な日本語のみならず、日本で勤めた射出成型機メーカーの経験・知識を活かして中国・上海でご活躍されています。

 

上海現地法人の主要取扱製品は①ダイキャストマシンとその関連機器や材料、②プラスチック製の自動車部品、家電部品、電子部品の成形にかかわる射出・押出成形機とその原材料等、③金型、ダイカスト製品、樹脂製品加工用の各種工作機械で、中国に進出している日系企業の様々なニーズに対応しています。

現在の販売先は自動車関連企業が多いため、営業は上海近郊のみならず、天津や広州へ頻繁に出張しています。日本で取得した運転免許を中国でも運転できるよう切り替えた結果、出張先の天津や広州でレンタカーを借りて自身で運転するようになり、コストダウンだけでなく、移動の煩わしさが減り、営業範囲拡大にも好影響を及ぼしました。

 

当社の販売先は97％が自動車関連企業です。日本の取引先の中国現地法人が殆どですが、中国の自動車業界は好調です。中国経済全体については幾つか懸念点もありますが、自動車業界に関しては、日本では見たことがない高級車が中国では多く走り、市場全体の規模も他のアジア諸国と比較しても成長率が高いことから、当面は現在の好調が維持されると考えています。

当社の取扱製品で取引先から多く受注を頂くのが、ダイキャストマシンの関連機器や材料です。関連機器・材料である離型剤やハンドガンなどは、勿論中国現地での調達も可能ですが、日本製とは品質が異なることから、多くの日系企業は日本製の関連機器や材料を希望されます。また日本製と言いましても、当地に進出している日系企業が求める製品は、日本でも先端のものです。日本本社が使用しているものと同じ製品を希望されます。

 

当社の強みは、日本本社と同様に、ダイキャストマシンを売るだけではなく、周辺の機器や材料等あらゆるお客様のニーズに対応できること（オールインワン）です。周辺機器や材料の新商品があれば、良好な関係を構築しているメーカー担当者と共に取引先へ訪問したり、必要に応じては商品や材料を自ら取引先へ届けたりしています。

現在は日系企業中心の取引ですが、最近では中国企業も品質を求めて当社へ引き合いがあることから、今後は与信管理に注意して、中国企業への販路開拓などを検討し、上海現地法人を拡大させていきたいです。

 

周藤総経理は日本で長年働かれていたことから、日本語だけなく、日本企業・日本人の考え方を熟知されており、販売先の日本人責任者や取扱商品の日本企業メーカー担当者からも信頼されていらっしゃいます。また当然ながら、中国企業・中国人とのコミュニケーションも支障なく対応できますので、中国現地での営業や業務運営もスムーズに進められています。

取材を終え、好調な中国自動車業界を背景に当社が益々業務拡大していくのを感じると共に、今後は日本で社会人経験のある中国出身の方が、日本企業の一員として中国でご活躍される機会が増えていくものと感じました。

 

 

聞き手＝都民銀商務諮詢（上海）有限公司

蓑田　光