中国進出インタビュー

第 134 回「会社の夢を実現するD-CAP管理手法」 北京博通行商務諮詢服務有限公司 総経理 福本 好成

世界の工場と呼ばれて久しい中国ですが、日系企業をはじめとする多くの海外企業は今も中国に製造拠点を持ち事業を行っています。ただ昨今のコロナ感染拡大により中国に進出した製造業は大きな転換を迫られています。今後の中国内の製造業の動向には注視する必要があります。
今月は中国製造業向けに経営コンサルティングを提供する北京博通行商務諮詢服務有限公司の福本総経理に、中国での取組み事例についてお話を伺いましたのでご紹介致します。

 

◆当社事業について

弊社は北京に拠点を置き、中国内の製造業向け経営コンサルティングを主業としております。私自身は、元々NEC、RENESASに38年間勤め、長く半導体技術と生産に携わってきました。また近年では中国での工場経営を担ってきた実績もあることから、この長年培ってきた製造に関する知識、ノウハウを生かすため、中国国内企業(中国系、日系とも)にアドバイスを提供しています。

 

 

 

 

 

 

 

弊社では、堅実性に定評のある日本式経営・管理方式とスピードを重視する中国式経営を融合した「D-CAP管理手法」を取り入れています。この手法は、PDCAのDOに夢の頭文字Dreamを掛け合わせて「夢の実現、まずやってみよう!」を合言葉に、会社経営を適正化することで、会社としての総合力を強化することを目標としています。まず、経営目標に関しては「会社の夢」といった関係者全員が理解しやすい指標として共有する提案をしております。更に改善の実行に当たっては、アイディアを即実行(Do)、それからCheck→Action→Plan→Doとサイクルを廻すD-CAP対応による高速化を図っています。

 

 

 

 

 

◆中国ならではの習慣により生まれたD-CAP管理

弊社がD-CAPを主な管理手法とした背景には、中国ならではの考え方が根底にあります。まず、中国企業に対して日本式の経営手法(PDCAサイクル)をそのまま取り入れてもほとんどうまくいきません。それは中国企業にとってPlanとなる基本理念が重要ではなく、いかにして早く目的を達成することが重要であるからです。そのため中国企業は手段(DO)を重視しがちです。これは中国でよく言われる模倣文化とも根強く関連しており、彼らは目的を達成するのであれば手段を選ばず、時には他社の良いものをそのまま取り入れることも良しとしています。
模倣文化は決して褒められたものではありませんが、弊社としても「まずやってみよう」という中国側の考え方を尊重した結果、中国ではD-CAP管理手法を取り入れることとしました。

 

◆サポート事例

① 技術能力の日本依存型からの脱却
この事案はある半導体メーカーからの相談事でしたが、日系企業がよく陥りがちな内容です。
この会社では日本側が技術指定を行い、子会社である中国工場では言われた通りの作業だけ任されていました。何か問題がある際には日本から技術者を派遣して対処していたのですが、これでは手間やコストも余計にかかりとても非効率でした。こうなってしまった原因の一つには、親会社である日本側が中国側を信頼しておらず、日本側の指示通り動かすしかないと決め込んでいたこともありますが、それ以上に、中国側の技術者が日本から言われた技術指定に対して理解もせず、ただ言われた通りに作業していたことに大きな原因がありました。そこでまず中国側の技術者に、なぜ日本側がこの技術を指定してくるのか、その理由は何なのか?などの根本的な技術理解をさせることから始めました。根気強くサポートしてきたことで日本側の信頼が得られ、中国側に任せられる体制とすることが出来ました。その後、中国側主体で実施した改善活動により業界No.1の低コストでの製品供給体制を築くことに成功し大きく業績が向上しました。

 

② 日本式経営手法の導入立上げ
この事案は、ある液晶パネルメーカーからの相談で、中国子会社の経営オペレーションがうまくいかないとのことだったので、SWOT分析を元にした経営診断を行いました。まず会社の内部環境を分析し自社の実力を把握し、外部環境分析により会社の置かれている環境を分析するのですが、当社においては内部環境を分析した時点で会社としての体を成していないことが浮き彫りになりました。そこで日本式経営手法を導入し、経営戦略立案、コスト設計力の獲得、従業員の基礎教育実施などの指導項目を作り上げ、月2回以上の打合せを含めたOJTを実施しました。該社に対しては今も継続して管理を行っていますが、日本側の方針を理解したうえで自分たちだけでも事業を進められるようになり、一定の成果が表れ始めています。

 

◆コロナ拡大により中国製造業はどうなる?

私個人の見解にはなりますが、今回の上海でのロックダウンを始めとしたコロナ感染症拡大により、中国系企業ではこれまで以上に地方回帰志向が顕在化し、これまでの都市部一極集中から内陸部へ分散する大きな変化の起点になると考えます。そのため地方の開発区からの企業誘致は今後ますます増えることが期待されます。
一方日系企業においては、コロナの影響もさることながら、昨今のコスト増、円安により単なる生産拠点としての生き残りは難しく、今後はいかに日系企業のネットワークから脱却し中国企業とのネットワーク作りができるかが重要であると考えます。これからは製造拠点+営業拠点として、中国もしくは世界で商売をする覚悟が日系企業にも必要になってくるのではないでしょうか。  

 

 

 

 

 

 

◆最後に

弊社は軽いフットワークで中国全土のお客様に対応しております。また、オンライン環境での対応も強化しておりますのでご納得いただけるコストや時間で、弊社独自の「D-CAP管理」を活用してお客様の「会社の夢」を実現してまいります。
現在中国に進出されている皆様やこれから進出をお考えの方々に少しでもお力添えが出来ればと思っておりますので、どんなお話でもご遠慮なくご相談ください。皆様の夢の実現が弊社の使命であると考え、皆さまとともに発展していければと思っております。

 

※会社情報
会社名:北京博通行商務諮詢服務有限公司
住所:中国北京市朝陽区南皋郷草場地126号 明楓国際写字楼206号室
HP:Bhtsconsulting Ltd JP (bj-hakutsukoh.com)

 

以上
聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 小林

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