ディスプレイには不思議な力があります。人がどこか喫茶店に入りたいと思うとき、見た目がお洒落な喫茶店に入ってみようと思うのは、ディスプレイの影響によることも多いのではないでしょうか。このように日常の様々な場面で、ディスプレイは消費者に大きな影響を与えています。
今月ご紹介する株式会社ポピーでは、アーティフィシャルフラワーを活用した空間ディスプレイを提供しています。今井専務に当社事業や中国展開についてお話を伺いましたのでご紹介致します。

◆当社事業について

弊社は、アーティフィシャルフラワー、ディスプレイ商品の企画開発、生産、販売から、レストランやホテル、オフィスビルのエントランスなどにおける空間ディスプレイの提案を行っております。中国広東省、広西省には自社工場を持ち、生産の各工程から組立、パッキング、パッケージ製作までの全工程を自社で行っています。
さらに本社1階2階フロアには、国内最大級のディスプレイ・デコレーションアイテム専門店「横浜ディスプレイミュージアム(YDM)」を構え、約1,000坪の売り場にはアーティフィシャルフラワー・グリーンを中心に自社開発のオリジナル商品約20,000点を揃え、ディスプレイに関する情報発信基地の位置づけとしています。またフロアのいたる所で、実際の店舗を想定した活用例やコーディネーションのヒントのご提案、商品の販売を行っています。

◆中国工場立上げ～事業内容、苦労話

弊社は造花によるフラワーレンタル事業として1969年に創業しました。当時私がまだ19歳の時に社長と一緒に始めた会社です。最初は小さなレンタル問屋でしたが、徐々にFC店も増やし規模も大きくなると仕入れが国内だけでは足らなくなり、香港からの輸入も始めました。その時出会ったのが中国工場の合弁パートナーである香港人オーナーです。その方は元々シッパーとしてヨーロッパとの取引を中心に事業を行っていましたが、弊社が造花の輸入を相談した時に、「それだったら中国に工場を立上げ自分で商品を作らないか」とオーナーから提案されたのです。最初は広東省東莞市政府との合弁で工場を立ち上げたものの、市政府側の協力が得られず運営がうまくいかなかったことから合弁解消、その後1986年にオーナーとの合弁で香港に「POPPY&MICHAEL CO.,LTD」、広東省雁田に自社工場「P&M FACTORY」を設立しました。
当時は約2,000人の従業員により、造花を形成するパーツ作りから、組立て、パッキング、パッケージ制作まで雁田工場で対応してきました。その後、パーツ作りはある程度設備導入により自動化が進みましたが、パーツを組立て造花として完成させることには細かな作業が必要となるため、今でも人による手作業が必要となります。手作業で人員が必要である一方、広東省での人件費も増加したことから、組立て作業は隣の広西省鉄州市にある第2・3工場に移し対応しております。雁田工場に出稼ぎで来ていた従業員の多くが広西省出身であったため、広西省に戻った労働者の働き場としてこれまで多くの方(延べ3万人)が弊社事業に携わってくれています。
また合弁運営であることから、お互いの考え方にズレが生じてしまうことは常々あります。例えば、弊社としては日本への納期を2ヶ月としてほしいところ、納期に間に合わないこともしばしばあります。生産運営をパートナー側に任せていることもあり、弊社としてはあまり口出し出来ないことも悩みの種になっています…。

◆中国における事業拡大

弊社ではプロのデザイナーなどを対象に、様々な場面・場所に適した空間ディスプレイの提案に力を入れています。冒頭ご紹介したYDMでもアーティフィシャルフラワーを活用した事例の展示場を設けていますが、今はコロナで来店を控えている方もいるため、HPにレストラン、美容室・サロン、喫茶店などでのコーディネート事例を掲載しています。今後は更にコンテンツを充実させ、ネット販売にも注力する予定です。
またこの展開を中国でも広げていきたいと考えています。折角中国に工場を持ち生産を行っているので、今度は販売にも力を入れていきたいと思っています。中国には何度も出張で訪れ、ホテルやオフィスビルを見てきましたが、エントランスホールを見てもまだまだ美意識が薄いと感じることもあり、弊社にとっては商売チャンスであると考えております。まずは中国の方にも見て頂けるようHPを充実させ、またディスプレイにおいて視覚的にもリアル店舗の重要性は高いため、将来的には中国でもネットと店舗の融合により弊社が手掛ける空間ディスプレイの提案を展開していきたいと考えています。

※会社情報
会社名：株式会社ポピー（きらぼし銀行横浜支店取引先）
住所：神奈川県横浜市神奈川区大野町1-8 アルテ横浜 3F
HP：横浜ディスプレイミュージアム (displaymuseum.co.jp)

以上
聞き手＝綺羅商務諮詢（上海）有限公司　佐藤