中国進出インタビュー

第 130 回「日本の伝統工芸を海外へ発信!」廣田硝子株式会社

日本の伝統工芸品には、越前焼・備前焼といった陶磁器、輪島塗などで知られる漆器、そして江戸切子で有名なガラス工芸品など、日本各地の職人の技によって生み出された多くの種類があります。そんな伝統工芸品を取扱うメーカーでは、日本に留まらず多くの海外ファンを開拓すべく海外市場への展開を行なっています。
今月ご紹介する廣田硝子株式会社では、東京で一番歴史のあるガラス食器メーカーとして、10年以上前からヨーロッパや中国などへの海外市場への展開を行なっています。今回、廣田社長に当社事業内容や海外事業展開についてお話を伺いましたのでご紹介致します。

 

◆事業内容について

廣田硝子は、創業1899年東京で一番古いガラス食器メーカーになります。弊社は、東京で作る江戸切子及び江戸硝子、和ガラスを中心としてガラス食器の企画製造販売を行っております。ガラス製品というと、西洋からの舶来品的なイメージを持たれている方も多いかもしれません。然しながら日本人がガラス食器を生産して凡そ150年になる今日、日本の文化によって育まれたガラス食器、和ガラス(グラスや徳利、盃、おしょう油差しといった日本独特な文化で生まれたガラス)は日本でも多くの方々に生活の中で使って頂く機会を増やしてきました。

 

 

 

 

 

 

◆中国向け販売を始めた経緯

中国向け販売を始めたのは2008年の頃でした。元々弊社では商社を通じて欧米向け販売を行っていましたが、直接自社で海外輸出することを検討する中で中国や台湾、香港など東アジア方面での展示会に出展したのがきっかけでした。特に「デザイン上海」という世界でも最大のデザイン展示会にはコロナ前まで毎年出展し、日本の伝統工芸である江戸切子のガラス食器をPRしてきました。
今取引している代理店とは上海のデパートで開催された展示会で知り合いました。中国国内ではこの代理店を通してネット販売や雑貨屋への販売を行っています。最初は中国語でのやり取りで苦労しましたが、今ではお互い信頼関係を構築でき、クレーム対応などは代理店に任せています。
日本での取引では商流がおおよそ決まっていますが、中国では一から商流を作らなければいけない点で苦労も多くありましたが、新たな市場への参入はとても魅力的でした。

 

 

 

 

 

◆中国ビジネスでの苦労

前述したように、中国始め海外での販売は商流が決まっていない中で、どのように商品の良さを伝えていくかが課題でした。特に弊社商品は江戸切子や和ガラスなど日本の伝統工芸を重んじた高級品の販売を主眼に置いていますが、進出当初は中国の方にその価値を理解してもらえませんでした。今取引している代理店からも最初は低額商品の取引を持ち掛けられ、お互いの考えに開きがあり取引開始には苦労しました。そのため、こちらの思いを伝えていく上での言葉のやり取りが上手く伝わらない分、画像や動画で分かりやすく相手に理解してもらう事を意識して営業を進めていきました。
また中国市場は流行の移り変わりが速いことも苦労の一つです。昨年売れていた商品は翌年には売れるとは限りません。中国に限らずどこの国でも言えますが、如何に飽きられることなく、商品を手に取ってもらうか、日々試行錯誤が続きます。価格が高くても購入してもらえるような独自性のある商品開発、各デザイナーとのコラボ製品の開発、食器に限らず文鎮、万華鏡など食器以外の製品を知ってもらい、その後食器の購入へ繋げる仕組みづくりなど、日々の生活で使用してもらう事で喜びを感じてもらえる商品作りを心掛けております。

 

◆コロナ禍による事業への影響は?

中国代理店とはコロナ前までは年に3~4回程度直接会って打ち合わせしておりましたので、コロナ禍の間は、ほとんどメ-ル及びSNSでのやり取りが中心になっています。やはり会って話をして説明する事のアナログ的な大切さを改めて感じております。
またガラス食器を主とした生業にしている事で、多少おうち時間的な部分での売り上げは享受出来ましたが、やはりアナログな商品だけにリアルな展示会や催事でPRを行う事が日本でも海外でも、お客さんに浸透できるのではないかと考えております。早く海外での展示会に参加できる日が来ることを願ってやみません。

 

◆今後の抱負について

冒頭申し上げた通り、日本でのガラス製造は150年もの歴史がございますが、今やガラスメーカーや職人の数は僅かとなっています。我々ガラスメーカーはこれまでお客さまから必要と思われることで新たな製品を企画し、販売して参りました。日本の伝統文化を守り伝えていく立場として、今後は中国や台湾に限らず東南アジア方面など、世界中の多くの方々にガラス食器の魅力を伝えられるように事業を進めていきたいと考えております。

 

※会社情報
会社名:廣田硝子株式会社
住所:東京都墨田区錦糸2-6-5
当社ホームページ:https://hirota-glass.co.jp/

 

聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 佐藤

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