中国進出インタビュー

第 129 回 「人と人をつなぐ日中の懸け橋となるために」 株式会社フライメディア 中国法人 優視飛翔(北京)文化伝播有限公司

コロナ禍において日中往来が厳しく制限される中、人々は自身で現地に直接赴き、情報を得ることが難しくなりました。一方、政治、ビジネス、文化などあらゆる面で関わりの強い日中間では常に現地の生の情報が求められています。
今月ご紹介する株式会社フライメディアでは、そうした現地情報を求める日本、中国の人の思いに応えるべく、メディアを通じて情報発信を行っています。今回、吉田社長に当社事業内容やコロナ禍での事業の取組みについてお話を伺いましたのでご紹介致します。

 

◆事業内容について

弊社は、テレビ番組制作の株式会社シオンのグループ会社として、主に中国、台湾、香港の映像リサーチ、ロケコーディネーション、リモートでの映像制作などを提供しています。皆さんの身近な例を挙げると、TV番組内で中国や台湾、香港での取材対応、これらの国での映像の購入などを行っています。
クライアント様は日本のテレビ局、制作会社、一般企業が主ですが、中華圏のテレビ局、制作会社様などのご依頼を受けて、日本での撮影などのサービスをご提供させていただくケースもあります。主な番組実績として、「世界くらべてみたら(TBS)」、「めざましテレビ(CX)」「ザ・プロファイラー(NHK)」などが挙げられます。
私自身は、河南省での語学留学、就職後の北京駐在、前職(日中での映像撮影などを行う制作会社)の経験があります。その経験や人脈などを活かした仕事を行いたいと考えていた折に、シオンの代表からフライメディア(当時は株式会社ナンバーワンズ)立ち上げの相談を頂き、その後、フライメディア代表に就任しました。

 

◆北京現地法人立ち上げの経緯

弊社は中国国内でロケなどを行うことが多く、中国の取材先に対する許可申請を進めることが不可欠です。当初は、北京駐在員事務所を設立し業務を進めてきましたが、日本企業の名義ではなかなか中国企業に信用されず、申請が通らないことが多々ありました。そのため、より信頼のおける中国法人を2011年に立ち上げることになりました。日本本社から発注を受け、中国法人が業務を行うという形が確立され、それに伴う資金の流れもスムーズとなり、中国企業との取引が円滑に行えるようになりました。

 

◆中国ビジネスでの苦労、中国市場の移り変わり

中国でビジネスを行う場合、どの商売でもそうですが、政府や上層部の指示で、全てがひっくりかえることが多々あります。明日渡航という時になって、いきなり撮影を断られたり、現地で撮影の中断を余儀なくされたりと、予想外の出来事がよく起こります。いかにしてそうしたリスクを最小限にできるのか、安定的なサービスを提供できるのか、今でも苦労はあります。
弊社は設立して既に20年余りになりますが、その間、様々な日中間の政治的な問題、SARSや今回のコロナなどの疫病、中国国内の政治リスクに晒される環境で、その度に中国大陸から、台湾、香港へと業務エリアを拡大、補完してきました。ただその中でも、北京五輪(2008年)、上海万博(2010年)、今年の北京冬季五輪と、中国の発展を象徴するイベントにも多く関わり、中国の経済的な飛躍や人々の考え方の変化もひしひしと感じています。日本の報道でも、以前は中国バッシング的なものが多かった印象ですが、最近は中国の進んだIT関連技術の紹介も多くなっています。
また為替レートの問題もありますが、現在では中国での撮影や映像コストは大きく跳ね上がり、日本の水準が比べものにならないぐらい、高額を要求されることが多くなってきました。以前、日本はお金を持っているという印象を持たれていましたが、現在ではギャラが渋い国になっています(笑)。
また、近年、中国は海外メディアに対する規制を厳しくしており、日本から渡航する際に必要なジャーナリストビザの手続き、街中のインタビューなど、どんどんハードルが高くなっています。

 

◆コロナ禍による新たな取組み

これまでは、中国現地に出向いてロケをすることが主でしたが、現在ではネットを駆使したリモート撮影がメインとなっています。カメラの映像を繋ぎ、日本にいながらにして、中国で撮影 している映像が確認できるようになっています。ドローンの映像もリアルタイムに確認することができます。
また、世界とは異なるスタンダードを持つ中国だからこそ、中国を理解しないとなかなか参入しづらい、中国向けのライブ配信ビジネスなども始めています。一例として、通常中国のサイトでは海外からの生配信が厳しく制限されているのですが、弊社では配信内容を事前に提出するなどの根回しを漏れなく対応したことで、斗魚(douyu)という中国プラットフォームに東京ゲームショーの生配信を行うことができました。

日中間の往来が難しい状況ではありますが、コロナ禍でIT技術など駆使して仕事をしていくことで、むしろ日中間の溝が埋まり、その点では日本と中国が近くなったと感じています。

 

◆今後の抱負について

私たちの仕事は、何と言っても人と人との円滑なコミュニケーションが重要です。日本と中国を理解した人材が弊社には多く在籍し、またこれまでの経験で積み重ねてきた現地での人脈も多々あります。
今後の不透明な時代において、映像文化がテレビからネットへと大きく移行する中で、最終的には人的な資本がベースになるものと考えています。引き続きIT技術を活用しつつ、市場の幅を広げ、日中間にさらに多くの掛け橋を築いていきたいと思っています。

 

※会社情報
会社名:株式会社フライメディア
住所:東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館10階
当社ホームページ:中華圏での番組・撮影コーディネート、ライブ配信【フライメディア】 (flymedia.co.jp)

 

聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 佐藤

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