中国でビジネスを行う中で、信頼出来る中国企業、中国人パートナーとの出会いは中国ビジネスを成功させる上でとても大切なことです。
今月ご紹介する株式会社プロダクト・ネットワークは、一人の中国人パートナーとの出会いをきっかけにして中国ビジネスの展開を進めてきました。今回、吉田社長に当社事業内容や今後の中国市場への展開についてお話を伺いましたのでご紹介致します。

◆事業内容について

株式会社プロダクト・ネットワークは2008年12月の設立以来、主にコンサートグッズを中心としたアパレル、バッグ、アクセサリー、雑貨などのOEM製造販売を行ってきました。
私自身は元々前職でアパレルや雑貨関連のOEM製造会社に勤めていました。それまでの経験や人脈を通じ大手芸能事務所をはじめ多くのコンサート関係企業とのパイプが出来たこともあり、2008年に独立して当社設立に至りました。
当社では、「とにかく丁寧に」「よりスピーディーに」「遊び心は忘れずに」という3つのコンセプトを念頭に日々モノづくりの精度を上げることに努めています。また「モノ」に限らず、「ヒト(モノづくりによって人の繋がり、絆を増やす)」「コト(モノづくりにより感動してもらい、応援される)」を同時に作ることをvisionとして持ち、活動を続けています。

◆中国市場への参入

弊社取引先はイベント関係が多く、短納期(発注から納品まで約1ヶ月程度の期間)による受注ばかりの為、設立当初は納期・仕様・発注量によって日本国内企業と中国企業への発注を使い分けていました。2013年頃から日本国内での材料不足及び労働力不足が顕著になってきたことから、発注をほぼ中国企業へ切り替えることになりました。中国企業との取引は、前職時代に取引していた縫製工場、金属加工工場などの繋がりを活用しました。2007年に当時対応してくれた外注先である中国人担当者に出会いました。この中国人担当者は本当に真面目で素直であり、信頼の置けるパートナーとして付き合ってきました。その彼が2017年に当社へ入社してくれたこともあり、当社でも本格的に中国ビジネス拡大を見据え、2018年に現地法人の設立を決めました。なお、その中国人パートナーが元々勤めていた縫製工場とは円満に退職できたこともあり、当社としても引き続き良好な関係を保ちつつ、取引を続けることが出来ています。
設立目的は、①中国工場からの輸入強化（品質向上）、②中国マーケット開拓、③中国からの材料調達(商社機能として日本に限らず他国への輸出を仲介)の3つでした。設立以来現在までは、主に①中国工場からの輸入強化に注力しており、新規外注先の発掘、品質向上に繋げています。コロナにより現地法人の活動が思うように進められていませんが、今後は②中国マーケットの開拓を進めていきたいと考えています。

◆中国ビジネスを始めて苦労したこと

当社はコンサート関係の仕事を頂くことが多いため、短納期に追われることは先ほど申し上げた通りです。短納期に対応する為、しばしば外注先の中国企業にも無理を言ってお願いすることも多いのですが、過去に中国企業に梯子を外されそうになった経験があります。
それは年末コンサートイベントの発注依頼を受けて、12月初旬に中国企業へ外注依頼をした時のことです。発注当初は中国企業も納期に間に合う予定で外注を受けてくれたのですが、1週間ほど経った時に、「納期に間に合わない」と当社の発注をキャンセルしてきました。このままではコンサートの納品に間に合わないと思い、その後数日間、他の中国企業に片っ端から、対応可能か問い合わせを行いました。ようやく対応可能先が見つかったと思いきや、元々依頼していた中国企業から「やはり対応可能」と言われ、結局元々の中国企業に外注し事なきを得たのですが、中国企業に振り回された苦い経験となりました。中国企業とのコミュニケーションの難しさを肌で感じたヒヤヒヤしたエピソードです。

◆コロナ禍による新たな取組み・今後の抱負

当社はOEMメーカーのため、取引先からの依頼があって仕事が生まれます。そのような事業形態である中コロナが発生し、イベントやコンサートが相次いで中止となったことで、当社への依頼もほぼなくなりました。このコロナの発生により、今までどれだけ取引先に生かされてきたか気づかされたと同時に、これからは自分たちから動いていかないと生き残れないと考えるようになりました。
そこで始めたのが日本国内のアニメなどのライセンシーとなり、当社から商品企画を行う事業です。今までは取引先が企画した商品のOEM製造のみに関わってきましたが、今後は自社で企画から製造まで手がけていき、当社ブランドを作り上げていきたいと考えています。
12月16日には中国、天猫内に当社として初めての旗艦店「ANIXROSS」をオープンし、中国マーケットに参入することになりました。日本アニメのライセンシーとして、当社ブランド「ANIXROSS」を中国で根付かせていきたいと思っています。

※会社情報
会社名：株式会社プロダクト・ネットワーク（きらぼし銀行御徒町支店取引先）
住所：東京都台東区浅草橋2－2－10　カナレビル1階
当社ホームページ： http://www.product-network.co.jp/
ANIXROSS：首页-ANIXROSS旗舰店-天猫Tmall.com

聞き手＝綺羅商務諮詢（上海）有限公司　佐藤