中国進出インタビュー

第 126 回「高付加価値製品提供への飽くなき追求」株式会社タカヤマ中国現地法人 特科陽馬(上海)商貿有限公司 特科陽馬(江陰)機械製造有限公司

ショッピングモールなどに併設される立体駐車場や飲食店内にある厨房機器など、普段私たちが目にする設備や機材には多くのネジが使用されています。そのネジの販売を主業としてきた株式会社タカヤマでは、中国ビジネスとの関わりを深める中で、ネジの販売に限らず、レアメタルを活用した付加価値の高い部品の製造、加工にまで事業内容を拡大してきました。
中国ビジネスとの関わりで当社にどのような影響が及び、ここまで事業を拡大してきたのか、今月は株式会社タカヤマの髙山社長に、当社事業内容や中国事業展開についてお話を伺いましたのでご紹介致します。

 

◆事業内容について

まず弊社事業についてお話させて頂きます。株式会社タカヤマは1939年2月の創業以来、規格ネジの販売を中心に、金属部品・樹脂部品の製造・販売、輸出入を行ってまいりました。
しかし単なる規格ネジの販売では価格競争に巻き込まれてしまうことから、10年ほど前に耐食性・耐熱性・耐薬性に優れた弊社独自規格のネジブランド「レアメタルスクリュー(RMS)」を開発し、他社との差別化を図ってきました。
また近年、弊社三郷工場では助成金を活用し、積極的に工場設備と人(技術者の登用)の入れ替えを行い、付加価値の高いレアメタルの製造加工にも力を入れています。

 

 

 

 

 

◆現地法人の立ち上げ

海外企業との関わりは、約30年ほど前に台湾から規格ネジの調達を始めたことがきっかけとなり、その後コスト競争力を求めて、20年ほど前より中国企業からの調達をスタートしました。
中国からの調達は当初、規格ネジのみでしたが、お客様からの要望に応える形でプレス部品、樹脂成型品、アッセンブリー製品を取り扱うことで、当社対応製品にも幅が広がりました。更には製品の調達だけに留まらず、付加価値の高い日本製品を輸出することで、中国企業とのビジネスは輸出入両方向に拡大していきました。
中国現地法人立上げのきっかけとなったのは、蘇州にある日系企業より部品の現地調達の相談があったことです。日本本社だけでは対応が出来なかったため、中国企業からの調達・販売を目的として、2014年に現地商社機能として「特科陽馬(上海)商貿有限公司(以下、タカヤマ上海)」を設立しました。

タカヤマ上海では在庫は持たず、頭脳で勝負と銘打って事業に臨みました。日本ではメーカーとして培ってきた品質の目利きが出来ることも強みとして生かし、品質の高い調達先を見つけ出すことでタカヤマ上海の存在感を高めることができました。また営業担当者には私がこれまで中国ビジネスで関わってきた中国人スタッフを招聘しましたが、彼が持つ中国企業ネットワークの広さはタカヤマ上海にとって非常に大きな武器となりました。中国ビジネスの成功はよく人との繋がりとも聞きますが、彼を呼び込めたことが非常に大きかったと実感しております。

 

 

 

 

 

余談にはなりますが、この時会社設立をサポートして頂いたのがきらぼし銀行でした。中国での会社設立について、右も左も分からない弊社に常に寄り添ってアドバイス頂けたことで、会社立上げからスタッフの採用まで、事業開始までスムーズに進めることが出来ました。おかげ様で設立以来スタッフも辞めずに働いてくれ、中国での事業も順調です。今の中国現地法人があるのもきらぼしさんのおかげなので、非常に感謝しております。
話は戻り、2018年には江蘇省江陰市に「特科陽馬(江陰)機械製造有限公司(以下、タカヤマ江陰)」を立ち上げました。タカヤマ江陰は、中国調達先であった樹脂成形メーカーに資本を入れグループ企業とすることで、お客様の樹脂成形品の調達拡大と中国国内で調達した製品の品質検査としての機能を目的として設立しました。タカヤマ江陰による品質検査を通して日本への輸出を行うことで日本本社が調達する製品の安全性を高めることができました。
タカヤマ上海、タカヤマ江陰があることで、中国で取引が始まった日系企業と日本でも取引が始まるケースなども出て来ており、日中間でうまく相乗効果が生まれています。

 

◆中国事業を始めて感じたこと

中国企業と取引することで感じたことと言えば、納期や品質で日本の感覚とギャップがあることに最初は戸惑いましたが、それ以上に、見積もり・試作品のスピードが速いことに驚かされました。意思決定の速さも含めて中国のスピード感は見習った方が良いと感じ、すぐに日本側にも取り入れることとしました。
また、年々人件費が上がり続ける中、部材調達においてコストメリットはほとんどなくなりましたが、他の日本企業と遜色ない技術力を持つ中国企業は調達先の一つの候補としてとても頼りにしています。一方で、中国企業でこれだけ良いものが作れるなら、日本ではもっと良いものが作れるはずだと常に刺激を受け、弊社三郷工場では、「ドリルは折れても心は折れるな」を合言葉に日々試行錯誤を繰り返しています。現在三郷工場で手がけるレアメタル製造加工はそうした思いから生まれた新たな事業であり、それにより今では半導体装置メーカーまで得意先を増やすことに繋がっています。

 

◆コロナ禍による新たな取組み

コロナによりお客様の訪問が制限され、毎年出展していた展示会も中止になったことで営業活動が限られることになりました。またお客様に工場見学を行って頂きながら打合せをする機会もなくなりました。
もやもやする中、知人とオンライン飲み会を行う中で思いついたのがZOOMを活用した「オンライン工場見学」でした。営業担当がカメラマンや中継、工場長がライブでの説明と、役割分担をしながら、実際に工場見学しているのと遜色がないようなリアル感に力をいれて、その場で見たいところのリクエストや質問にも対応する様にしました。遠方でなかなかお越し頂けなかったお客様にPR出来たことや、ご来社いただくと限られた人数でしか参加できなかった工場見学もオンラインの活用で一度に10人以上の参加もあり広く自社工場を知っていただくチャンスになったのは勿論、具体的な案件を何件も戴く営業ツールとなりました。オンラインでの工場見学はコロナ以前でも出来たことですが、今後も遠方のお客様はもとより気軽に工場を見て戴く営業ツールとして活用したいと思います。

 

 

◆最後に

中国企業とのビジネスは20年ほどになりますが、中国企業や中国の方と付き合うことで得られる人脈、さらには弊社も中国に拠点があることで得られるリアルな情報は、日本本社にも良い刺激となって事業に生かされています。日本と中国との物理的距離感はビジネスを行う上で確実にメリットで有り、中国市場にはまだまだビジネスチャンスがあると信じています。
部材調達にお困りなことがありましたら是非弊社までお問合せ下さい。中国拠点と連携し、お客様のニーズに合った部材調達から加工までワンストップでご案内させて頂きます。

 

※会社情報

日  本  本  社 : 株式会社タカヤマ(きらぼし銀行立石支店取引先)
中国現地法人: 特科陽馬(上海)商貿有限公司
  特科陽馬(江陰)機械製造有限公司
ホームページ : http://www.takayamaweb.co.jp/
  http://www.takayama-industry.com/

 

以上
聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 佐藤

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