中国進出インタビュー

第 123 回「ポストコロナの勝ち組になりたい!—『今』が大事」 株式会社行楽ジャパン

本日ご紹介するのは、株式会社行楽ジャパンの袁社長です。袁社長は中国において、超富裕層を除く資産上位10%に入る約1億人を「プチ富裕層」と定義し、消費能力が高い彼らをターゲットとしたマーケティング活動を行っています。
また袁社長は「日本人は知らない中国セレブ消費」、「中国『草食セレブ』はなぜ日本が好きか」(いずれも日経プレミアシリーズ)の著者としても広く知られています。日本と中国を熟知した袁社長を早速ご紹介していきます。

 

◆会社設立の経緯と業務内容について

私は上海出身で大学では日本語を専攻、その縁から卒業後は日本に留学し、そのまま10年ほど日本の企業に就職しました。帰国後は前職での経験を生かし、上海で会社を設立、中国の富裕層向けに北海道の魅力を伝える雑誌「道中人」を皮切りに、九州専門誌「南国風」、日本全国誌「行楽」などを相次いで創刊しました。
他に、日本の自治体や企業とタイアップし、中国のKOL(人気インフルエンサー)やKOC(消費分野でのキーパーソン)とともに日本の魅力ある地方や文化などを配信する取り組みなどを行ってきました。現在は特に微博(ウェイボー)・微信(WeChat)などのSNS媒体やコミュニティを利用した情報発信に力を入れています。

 

 

 

 

 

 

 

◆プチ富裕層の感覚

現在、弊社の70万人を超える中国人フォロワーには、①20代~40代前半、②約7割が女性、③北京・上海・深セン等の都市部に生活拠点がある、という特徴があります。私たちのターゲットはまさにこの層です。欧米に比べれば費用も移動時間もお手頃なため、彼女たちの多くは、コロナ前は日本を「庭」としており、3~4日の連休ができると日本にふらっとやってくるリピーターとなっていました。上海の外灘でフレンチを食べたら軽く2万円は超えてしまう。彼女たちにとって日本でおいしいものを食べたり、高級化粧品を買ったりするのはごく普通のことなのです。
コロナ禍で海外旅行ができない彼女たちは北京・上海で発散するしかありません。上海では高い化粧品を買う人が増え、日本料理屋もグレードがアップしています。中国人が中国で日本料理を食べることは、フレンチを食べるのと同じ。なので高級日本料理店では、お客様のほとんどが中国人であることを日本人駐在員の方なら皆様ご存じなのではないでしょうか。

 

◆中国人と日本人の思考のギャップ

日本は貧富の差が少なく、「おもてなしの文化」があります。例えば旅館に泊まるときも、お客様の年収や社会的地位で旅館の対応が変わることはなく、等しく平等に扱ってもらえます。これは日本の本当に良いところでありますが、実は中国人には不満だったりもします。
簡潔にいうと中国人は特別扱いを好みます。旅館の例であれば「高級車とは言わないから、せめてマイクロバスで迎えに来ないで」、「朝はゆっくり寝たいのに、朝食の時間が決まっているのはつらい」、「貸切風呂の時くらいは、憧れていた日本酒をお盆に浮かせて飲んでみたい。」と言った具合に柔軟性を求めます。せっかくの旅行、お金は払うから特別扱いして欲しいというのが彼らの本音なのです。旅館側も対応可能な範囲で検討してみるといいですね。
プチ富裕層は日本を個人旅行する層です。彼らは団体旅行のような爆買いや、銀座・富士山・京都等を駆け足で回ることはしたくなく、中国人のいない静かな所で特別な時間を過ごしたいと考えているのです。
ここでは多くの例をあげられませんが、日本の方が中国人の心を掴むには、彼らの伝統的な思考(日本人が良かれと思っていることが中国文化では良くないとされていることや、国民性として好みの違いがあること等)や現在中国で流行っている日本のもの、日本にはあるが中国にはあまりないもの(コト)等を勉強し、理解する必要がありますね。そうすればビジネスチャンスはもっと広がると思います。ただ中国はとにかく広く地域性や年齢によってもまた大きく変わってくるので、マーケティングといっても一筋縄にはいかないのも事実ですが(笑)
行楽ではこれからも中国視点で日本人にはまだ発見できていない日本の魅力(場所もモノもコトもいっぱいあります)を顕在化させ、オリジナルコンテンツにてどんどん発信していこうと考えています。

 

◆ポストコロナを見据えて

日本に行くことができない分、日本への思いが強くなっている方の受け皿として、弊社でも新たな取り組みを始めています。まず、中国最大級の子育てSNSプラットフォームである「宝宝樹」と業務提携を行い、日本の総代理店となりました。当プラットフォームを活用し、日本のライフスタイルにおける良質な商品やサービスを提供、中国における日本企業のブランド力向上と販路拡大を支援しています。ユーザーは25~30歳の若い女性が中心であるため、弊社のターゲット層と重なる部分が多く高い相乗効果が見込めると期待しております。
また「JG(Japanese Gourmet)」という日本流のグルメ・ライフスタイルをテーマとした、オンライン、オフライン双方で買い物やイベント、知識教室等を体験できる会員コミュニティも立ち上げました。既存フォロワーを中心に、日本に留学・就業経験がある方、消費意欲が高い方等、より幅広い層へのアプローチを行っています。

 

◆最後に

ポストコロナの海外旅行再開についても、団体旅行ができるまでに回復するにはもうしばらく時間が必要と考えています。一部に限定、もしくは既にマルチビザを保有している人が先行する可能性が高いと考えており、富裕層に特化している行楽にとっては、それが大きなビジネスチャンスになると積極的に捉えていきたいです。

 

※会社情報
会  社  名 :株式会社行楽ジャパン
住   所     :東京都中央区八丁堀3-18-6 PMO八丁堀Ⅲ4F
HP          :https://kouraku-japan.jp/

(上海オフィス)
会  社  名 :上海恵途旅遊諮詢有限公司
住   所     :上海市上海市淮海中路1390弄9号

 


聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 杉山

绮罗商务咨询(上海)有限公司 XFCSS .ALL Rights Reserved 沪ICP备18032119号-1
Copyright Kiraboshi Business Consulting Shanghai Co.,Ltd ALL Rights Reserved

沪公网安备 31010102005043号