中国に現地法人を設立したけど社内システムをどう構築したら良いかわからない、緊急時に備えてテレワークを導入できるようにしておきたいけど誰に相談すれば良いものか、最近日本本社から当地のシステムリスクについて厳しく問われるようになった、等々、システム関連での悩みを抱えている海外現地法人の責任者の方は案外多いのではないでしょうか。
今回は、日本及びアジア各国で「ITインフラトータルサービス」を提供するユニアデックス株式会社の上海現地法人、網標信息技術(上海)有限公司(以下、ネットマークス上海)の田中董事兼総経理にお話を伺いましたのでご紹介致します。
◆中国進出の経緯について
当社は日本ユニシス株式会社のグループ会社であるユニアデックスの100%出資子会社で、日本ユニシスの孫会社にあたります。
ユニアデックスはインターネットが普及し始めた1997年に設立。我々のネットマークス上海は同社の海外展開を担う海外関係会社「ネットマークス」の6社のうちの1社として2003年に立ち上げました。
中国においては、2001年11月のWTO加盟を期に日系グローバル企業による中国進出が増加、親会社のユニアデックスと連携するかたちでお客様の日本本社と中国拠点間のITインフラ構築などをお手伝いしてきました。現在、当社では主に工場・オフィス向けITインフラ、ガバナンス強化、セキュリティ対策、およびIT運用アウトソースサービス等、日系企業様の海外拠点向けにITインフラ構築サービスを提供しております。
具体的プロセスでは、ハードウェア、ソフトウェアの販売からはじまり要件定義、詳細設計、システム導入、そして保守サービスまでワンストップで対応、中国内陸部へもパートナー企業と連携し対応することで、基本的に中国全土でITサービスを提供することを可能としています。
ネットマークスグループとしては、中国の他に、1990年代以降に始まったグローバル化の流れにのり、1998年のインドネシアを皮切りに1999年タイ、2000年シンガポール、2001年フィリピン、2007年ベトナムの順に東南アジア5ヵ国に進出しています。
◆中国ならではの相談や、最近問い合わせの多い事例
中国では日米欧各国と比較し、法令に多少の違いや特徴があり、これを順守するためのセキュリティ系に課題を抱えるお客様が多いです。当社へのお問い合わせの多くが情報漏洩対策、日中間のネットワーク通信の安定性の確保、そのデータ移動や保全などに関するものです。
具体的な例を挙げると、クライアントPC視点ではPC操作ログ収集や監視、ソフトウェア利用制限、および外部デバイス管理など。ネットワーク通信の視点ではインターネットゲートウェイ設備でのユーザーのWebサイト参照履歴の監視、制限、帯域制御など。そしてデータ関連では機密データの分散保管や暗号化などになります。
会社の規模に応じてIT予算やリスク対策費用が異なりますので、それを考慮したサービスの提供を心がけています。また、中国独特の商習慣や言語の違いを意識したプロジェクト推進も重要なポイントになります。
◆コロナによる日系企業のシステム関連に対する意識や対応の変化について
コロナ以前から強くなっている傾向ではありますが、コロナ禍においては特に計画や調達までの意思決定をこれまでの日本本社ではなく現地法人側に権限移譲するケースが非常に増えたと感じています。海外出張がままならず日本主導では案件が停滞することになりますので、大きなグローバル企業様を中心に今後より一層進んでいく傾向であると予測しています。
システム関連においても世界的な潮流であるクラウド化の流れが加速しており、場所を問わないテレワークに対応したシステムへの変化が必要で、中国大陸では中国独自の資本規制もありアリババやテンセントなどの中国系クラウドを利用する企業がより増えていくと考えております。
◆最後に
日本ではIT関連においては欧米系ソリューションを使うことが多いですが、中国独自の環境ではフィットしないケースがでてきます。今後は中国独特のマーケットに適用するために中国で開発された商材も視野にシステムインテグレーションサービスを展開していきたいです。そして、まだまだ成長の見込みのある中国需要を取り込むために内陸部まで網羅したサポート体制に磨きをかけることにも挑戦していきたいと考えおります。
※会社情報
会 社 名 :網標信息技術(上海)有限公司
住 所 :上海市北京西路669号東展商業大厦9楼A座
HP :https://www.netmarks-china.com
日本本社 :ユニアデックス株式会社
住 所 :東京都江東区豊洲1-1-1
本社HP :https://www.uniadex.co.jp/
聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 杉山