中国進出インタビュー

第 118 回「安定した品質で中国の安全を支える」昭芝汽車部件(呉江)有限公司

2021年1月13日に中国自動車工業協会が発表した昨年12月の自動車新車販売台数は前年同月比6.4%増の283万台。コロナ禍においても2020年4月以降前年同月比でプラス成長を継続しており、2021年通期でも2020年比で約4%増の2,630万台になると予想されています。
今回は、成長を続ける中国の自動車業界の中で、エアバッグ部品やシートフレーム部品を供給する、株式会社昭芝製作所の中国現地法人、昭芝汽車部件(呉江)有限公司の久野総経理にお話を伺いましたのでご紹介致します。

 

◆呉江現地法人立ち上げの経緯について

先ず弊社の日本本社の事業内容についてご説明致します。弊社は1946年に操業を開始、70年以上の歴史を有し、金属プレス・溶接・金型設計製作・試作開発・設備設計開発を主な事業としております。近年では自動車用安全装置のエアバッグ部品やシートフレーム部品に特化しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

中国への進出は日本で取引のあるお客様の要請もあり、2004年に広東省中山市に「中山三大精密金属制品有限公司」を設立したことに始まります。
当時は日系自動車の重要部品などは日本からの輸入が多かったのですが、カーメーカーからの現調化の指示により、各お客様も、現地に進出済みでプレスと溶接で実績がある日系メーカーを探していたという背景もあり、弊社へ発注が集中するようになりました。
その後、上海地区のお客様との取引を開始した事により、江蘇省太倉市にデポ倉庫を借りて、広東から船便で製品を送り検品後に納入をしていましたが、遠距離での輸送費やタイムリーな供給面などから近郊での生産を求められ、2009年蘇州市に中国2拠点目の「昭芝汽車部件(呉江)有限公司」を設立しました。

 

◆呉江現法の業務内容と特徴

弊社では主に自動車のエアバッグ関連部品のプレス加工と溶接を行っております。重要保安部品であり、製品の寸法精度や溶接強度保証が最重要となります。特にスポット溶接は見た目での判断が難しく、豊富な経験と蓄積されたノウハウが生かされなければスポット剥がれに繋がり人命に大きく関わってきますので細心の注意が必要です。





当初は人件費が安かった事もあり、人の手により溶接を行っていましたが、溶接打点数も多く、品質の安定性と効率化を目的とし、早い段階から自動溶接ラインを内製し、導入しました。
様々な材質や板厚に対応できる溶接技術でお客様からの信頼と評価を頂いております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆肌で感じた中国市場の移り変わり

私が中山現法に最初に赴任した2007年頃は、先に述べたように活発な現調化への切替えの最中であり、日本で取引の無かった企業様や耳にしたこともなかった現地企業などからも多く引き合いがありました。価格的にも現調化最優先で輸入品同等の価格でも発注を頂けたので利益率も良かったです。やりがいもありましたが、一方で毎日帰りも遅く休日出勤は当たり前の状態で目が回るくらい忙しい毎日でした。
中山現法のスタッフには日本で数年間研修をした者や設立当初から居る者も多く、運営は比較的に順調でしたが、二拠点目となる現在の呉江現法へスライド赴任した当初は非常に厳しい状況でした。中山現法から移管した製品や新規受注品が多い中、経験のあるスタッフがいない上、人の流動も激しく、社内での情報共有が図れていなかった為、何を受注しているのか、部品の手配はしているのか、支払・請求はどうなっているのか等も分からない状態でした。管理手法や教育も行き届いておらず、日本本社や兄弟会社からの支援を受けながら時間をかけて何とか乗り越える事が出来ました。
一時は中国販売のある日系カーメーカーの助手席用エアバッグの9割程を弊社中国2拠点で生産していた時期もありましたが、この10年程度で中国は目覚しく発展を遂げ、現地企業が強力な競争力を持ち価格競争も激化し厳しい状況となってしまいました。
経済発展が早すぎて人の成長が追い付いていない部分も感じますが、政府指導やネットの普及・海外経験なども盛んな事もあり、もともと向上心もある優秀な中国人は順応が早いと実感しております。当時は日本人主導で対応していましたが、今では経験を積んだベテランスタッフも増え殆どの事は任せられるようになりました。

 

◆コロナ禍での対応について

2020年初旬に中国で流行した新型コロナでの対応は、春節前より一部で騒いでいた事もあり会社スタッフは自主的に帰省や旅行計画を取りやめ自宅待機していました。操業停止指示からの再稼働に向け政府や公安局など関連機関とのやり取りも早い段階から行っていましたが、彼らも混乱しており要求事項や指示内容も明確ではなく、いったい何をしたら良いのかが分からない状況が続き苦労しました。
検温器やマスクは国内調達と並行して日本本社やメキシコ現法へも依頼し準備を整えていた事もあり、お客様にもご迷惑を掛けず比較的スムーズに再稼働が出来たと思っております。
今回の件で一つ驚いたことは日本人に比べ中国人は非常に自主的な感染対策を徹底している点でした。当時は私も何もそこまで大げさにやらなくても良いのではと思っていましたが、除菌スプレーやビニール手袋を持ち歩き、人との接触を極端に避け極力外出をしないなど徹底した自己防衛には感心しました。

 

◆最後に

世界的な新型コロナ流行の終息は全く見えない状況ですが、幸い弊社は中国国内販売がメインであり経済回復が早かった中国では比較的落ち込みは少ないと見込んでおります。
自動車販売も好調で環境対策などで電気自動車が主流になっていくと思われますが、自動車には必要不可欠な安全装置は無くなることは無いと思います。
今後の取組としては積極的にAI及びIOTを取り入れ、賃金上昇や人の入れ替わりに左右されない自動化をより一層推進し、品質の安定化とコスト競争力でお客様から信頼され続ける企業を目指し存在価値を発揮していきたいと考えております。

 

※会社情報
会  社  名 :昭芝汽車部件(呉江)有限公司
住   所     :江蘇省蘇州市呉江区花園路238号
H    P      :http://www.shoshiba.co.jp/Gr/Gr_WUJIANG.html(本社HPより)

日本本社 :株式会社昭芝製作所
住   所     :東京都練馬区小竹町1-43-15
本社HP  :http://www.shoshiba.co.jp/

 

以上
聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 杉山

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