普段はあまり意識することがない方が多いかもしれませんが、日常でみかけるほぼすべてのものは「金型」を利用して作られています。私たちが多くのものを安定した品質、かつ安価で手に入れることができるのも精密な金型があってこそです。
今回は、金型そのものの製作にかかせない精密部品を中国及びミャンマーで製造する、長楽華精密工業有限公司の朱総経理（日本本社代表取締役も兼務）にインタビューしましたのでご紹介致します。

◆経歴と会社立ち上げ経緯

私の両親は中国雲南省出身ですが、私はミャンマーで生まれました。その後、小学校低学年からタイに1年、ラオスで10年暮らした後、台湾へ移住しました。
日本への初渡航はバイト目的でしたが、その後金型部品製造会社に就職、そこで知識と技術を習得した後、一度の転職を経て、1992年に日本で金型部品を製造する華精密工業を立ち上げました。創業当初から深センや大連（合弁）に工場を立ち上げる等、中国とも深く関わってきました。
そして2005年に現工場である長楽華精密工業有限公司を独資にて福建省長楽市に設立しました。金型部品製造に必要な前加工、熱処理、プロファイル加工、放電加工から最終の磨き工程まで一貫して長楽工場で行うことができる体制を整えています。
前述の通り、当工場で一貫して部品を製造することはできますが、更なる効率化とコストダウンへの取組は続けております。ピーク時に従業員は200名程いましたが、設備の自動化と効率化、後述するミャンマー工場への移管等で現在従業員は55名程となっています。
一方で、時代や生産場所が変わっても日本流の「品質」と「こだわり」というポリシーに変更はありません。

◆特注精密金属部品、1個から対応

当社の特徴は短納期の実現と部品1個からの受注もできる対応力と技術力です。大手企業の量産に適さない特注品を専門に扱うニッチな分野ではありますが、高精度が要求されるため付加価値が高く、競合しにくい強みがあります。
またほとんどの場合、納期は2週間程度であり、主に日本本社で受注し、図面を基に長楽工場で（一部の工程はミャンマー工場や広東省東莞市周辺を中心とした外注先でも）製造を行い、日本に納めるという3国間にまたがる一連の作業を毎日空輸便を利用しながら行っています。当社はこれまで積極的に従業員の独立を支援してきており、現在の外注先の多くは元当社の従業員が立ち上げた工場です。そのため、技術力はもちろんのこと、当社のやり方を深く理解しているからこそ短納期が実現できています。
工場見学に来られる人から冗談で「小さな部品で多品種小ロットなのに、よくなくさずに管理できますね。」と言われます。もちろん大切な部品をなくすことは絶対にありませんが、各工場での役割分担と相互の信頼、品質管理、運送体制構築がきちんとできているので為せる業だと自負しております。

◆ミャンマー工場を設立

2019年には、ミャンマーのヤンゴンに新工場を立ち上げました。長楽工場から熟練工を5名程送り込み、ミャンマー工場でも一連の工程を取り扱える体制を整えました。現在従業員は44名になります。
ただ残念なことにミャンマーでも新型コロナが猛威を振るっており、当局の指導により現在は工場の稼働と休業を繰り返している状態です。加えて、中国とミャンマーの空輸便も安定していないことから、当社の特注品を扱う工程に組み込むことができていません。
今はやむなく納期のない在庫品の生産や従業員の技術向上を図っておりますが、一日も早く正常稼働ができることを願っております。

◆最後に

今後は日本本社を中心に、私の生まれ故郷であるミャンマーの工業発展と人材育成のためミャンマーでの事業拡大を計画しております。一方で、当社の根幹である中国の技術的、精神的重要性にも変わりはありません。
日本で学んだ品質とこだわりを中国とミャンマー両国で実現させ、引き続き3カ国の友好と発展に貢献していきたいと考えています。
金型部品でお困りのことがありましたら、是非日本本社か長楽工場までお問い合わせください。

※会社情報
会  社  名 ：長楽華精密工業有限公司
住   所     ：福建省長楽市大同開発区２路７号
電話番号 ：+８６-０５９１-２８２０-３０５７

日本本社 ：華精密工業株式会社
住   所     ：埼玉県川口市朝日１-９-１４
電話番号 ：+８１-０４８-２２９-５１１１
本社 ＨＰ  ：http://www.hanaseimitsu.com/

聞き手＝綺羅商務諮詢（上海）有限公司　杉山