中国進出インタビュー

第 111 回「“この会社で良かった”と思えるワクワクした福利厚生を」貝那商務諮詢(上海)有限公司

「福利厚生」という言葉を聞くと、どんなことが思い浮かぶでしょうか。自社の休暇制度?保養所の利用や各種サービスの優待利用?
日本でも就職や転職を考える際に、その企業の福利厚生がどうなっているのか気になるところです。給料が高いとはいえないけれど福利厚生が充実しているから辞められない、なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は日本で知名度の高い株式会社ベネフィット・ワンの上海現地法人で、中国において特色ある福利のアウトソーシングサービスを行っている貝那商務諮詢(上海)有限公司の結城総経理にお話を伺いましたのでご紹介致します。

 

◆設立経緯について

当社は企業の福利厚生や表彰制度などのアウトソーシングサービスを提供しております。日本では1996年に設立、2012年に海外拠点第1号として上海に進出、現在ではアメリカやシンガポールなど9ヵ国に進出をしております。
中国では贈り物の文化があり、中秋節での月餅や、端午節の粽、春節の红包など、会社からのプレゼントが一般的な福利でした。しかし、急速な経済成長で受け取るメンバーの価値観や生活様式が多様化し、一般的な方法が喜ばれなくなってきました。また、成長のためにジョブホップをする人も多く、離職率は企業課題の一つです。
本来福利というのは安心して継続的に働いてもらうための制度です。当時当社では、これからの中国では短期的な現物ではなく、長期的な福利としてメンバーのロイヤリティを高める文化がくると考えました。そこで従来の文化は尊重しつつ、多様化されたニーズに応えることができるサービスを、成長著しく、事業領域の親和性も高い中国で展開し始めました。

 

 

 

 

 

◆当社のサービスについて

中国では、「弹性福利」と呼ばれる、選択制の福利厚生を提供しております。イメージは企業専用のECサイトです。例えば、上記記載の中秋節の月餅。従来では月餅を現物としてプレゼントしている企業が多数でした。当社では、この現物をポイントにして付与し、メンバーがそれぞれの好みに合った商品、サービスと交換することができるプラットフォームを提供しております。
現在では大手ECサイトとも連動し、アイテム数も150万を超えるようになってきました。 企業側のメリットとしては、商品手配の手間を省くことと、コストの削減です。メンバーのメリットとしては、豊富な選択肢、そして可処分所得の増加です。大手ECと異なる点としては、会社専用ECサイトのため現金購入よりも安く商品を手に入れることができるところです。
企業によっては、プラットフォーム上に企業指定の商品のみを掲載するなどのカスタマイズを行っています。そうすることによって、より企業からのメッセージをメンバーに伝えることができるからです。例えば、長期的な会社サポートというメッセージのもと、健康や学習、保険など将来への自己投資のみにポイントが利用できる、などのカスタマイズです。
このように一般的な方法ではなく、メンバーの多様性にあった、自社のオリジナル福利を構築することで、離職防止や他社差別化にもつながると思っております。

 

 

◆日本と中国の違い

1番驚いたことは利用率の違いです。日本ではカフェテリアプランと呼ばれるこの福利の方法ですが、利用率は80%程度。20%の方は会社からもらっているポイント(=現金)を無駄にしてしまっています。しかし、中国では利用率はナント98%!ほぼすべての方がしっかりと福利を利用しているのです。
“いやらしい”と思われるかもしれませんが、私はしっかりと制度認知をし、福利を楽しみにしている証拠と思っています。メンバーの多くは会社の福利も自分の給与の一部として認識をしているからです。その為、社員旅行や忘年会なども参加率は高く盛り上がり方も盛大だと思います。反面マンネリ化しやすい、というのも中国の特徴かもしれません。日本に比べると福利は既得権化しやすい、ということもありメンバーはプラスの変化を求めている場合が多いです。そのため、近年ではセールスインセンティブなどでの需要も増えてきています。

 

 

◆コロナ禍で

今回のウイルスは多くの企業にダメージを与え、“コスト削減”が叫ばれるようになったかと思います。そのような状況の中、福利厚生は真っ先に企業のコストカットの対象となり、当社も契約企業の縮小や新規営業の一次的なストップなど、あらゆる事態を覚悟していました。ところが、2・3・4月の問い合わせ件数は昨対比の3倍ほどもあり、逆に福利への興味が高まっていることに驚きました。中には、中国大手のアプリ会社からの問い合わせもあり、日系/中系問わず、福利で解決できる課題はあるのだと実感しました。お問い合わせの経緯をお聞きすると、
・メンバーのモチベーションをより高めていきたい
・チームビルディングなどの福利でコミュニケーションの機会を作りたい。
ほとんどがこの2つに該当しました。上海は比較的通常稼働に戻りつつありますが、リモートワークなどでメンバー間のコミュニケーションが希薄になり、モチベーションの管理に悩まれている企業が多いのではないでしょうか。
弊社では、ポイント制度をうまく活用した、社内仮想通貨も提供しております。レコグニションと呼ばれる手法で、社員間でのほめる機能です。アメリカではGoogleやFacebookなどが導入し、既に一般的な制度となっております。日本での昔のサンクスカードのような制度です。この仮想通貨を活用し、メンバーでお互いを承認することで、コミュニケーションの機会醸成、そして互いの承認欲求を満たしモチベーションの向上へつなげることもできると考えております。

 

 

◆最後に

ベネフィット・ワン上海は【ワクワク】を大切にしています。働いているメンバー、導入いただいている企業、そしてご協力いただいているサプライヤーのみんながワクワクするようなサービスを今後も提供していきたいです。

 

※会社情報
会社名:貝那商務諮詢(上海)有限公司
ホームページ:http://www.benefit-one.com.cn/
住所:上海市黄浦区黄陂南路838号中海国際中心B座18楼

 

聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 杉山

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