中国進出インタビュー

第 109 回「“誠心誠意”実効性のあるサービスを」 上海ATM財務コンサルティング有限公司

頻繁に制度が変わる、規定があるのは知っているが実務上どう手続きしたら良いかわからない。中国ビジネスを進めていく上で、会計や税務に関するこんな悩みや経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、日系企業に対し、中国のビジネス商習慣に合わせた会計・税務サービス及びコンサルティングを提供する上海ATM財務コンサルティング有限公司(以下、上海ATM)の周総経理にインタビューしましたのでご紹介致します。

 

◆設立経緯について

私は縁あって、日本の名古屋大学に留学、会計専攻・経済学修士課程を修了し、2000年に中国に帰国しました。留学期間中は日本人の先生や友人に勉強面、生活面共に多岐に渡るご支援をいただき、感謝の気持ちとともに、心に残る思い出が沢山できました。中国へ帰国後は、中国公認会計士の資格を保有している関係で日系のコンサルティング会社に勤務しました。
当時の中国はWTO 加盟により様々な規制が緩和され、日本の対中投資ブームが到来した時期でもありました。中国に進出し間もなく、異国での会計や税制に不明な点が多く、お困りの企業様が多くいらっしゃいました。そこで、2004年にパートナーと共に、上海ATMを立ち上げました。上海ATMは、中国を舞台に成長を目指す日系企業に向けて、Accounting(会計)・Tax(税務)・Management(経営)の関連サービスを提供する会社です。
設立以来、記帳代行・税務手続き代行・給与計算・社会保険料手続き代行・レビュー・監査・税務コンサルティング・財務デューデリジェンス・会社清算サポート等のサービス提供してまいりました。
弊社は日本貿易振興機構(ジェトロ)上海代表処様からも依頼をいただき、中国進出日系企業様に向けて、会計税務支援サービスを十数年にわたり提供しております。

 

◆質の高いサービスを提供するために

中国の税務事情は複雑な部分があるため、日系企業様のサポートを行うには、税法規定をきちんと確認した上で、実務上の取り扱いを十分に調査する必要があります。
中国改革開放以降、経済の発展とともに、税制の改訂が頻繁に行われています。企業所得税については、従来外資系企業に対する税法と内資企業に対する税法は別々に規定されていましたが、公平性を図るため2008年に統合した企業所得税法及び実施条例が施行されました。
収入に対し課される税として、物品売買に対する増値税と役務提供に対する営業税とに分かれていましたが、2012年から増値税への一本化が始まり、2016年には営業税が廃止されました。個人所得税も、2019年より分類課税から総合課税(一部の項目)へ変更されています。
このように税法の改革及び変更は度々行われてきましたが、実務上すぐには明確にならない部分が多くあります。また、同じ都市であっても、地区によって税務署の取り扱いが異なる場合があるため、企業様が所属する地区税務署の解釈にも十分留意する必要があります。さらに、税務担当官個人の見解にも左右される部分がある為、場合によっては、税法規定をもって、税務署にて税務担当官と交渉することもあります。
お客様に的確なアドバイスを提供するため、社員の教育にも力を入れております。高い専門性を活かしたサービスの提供を目標に、全社員参加型の毎月定例会議を開催し、社内のシステムを利用して、常に新しい会計・税法の情報を社内で共有するように工夫しています。

 

◆コロナウイルス関連に関する政策

直近でのお客様からの主な質問事項は、コロナウイルスによる影響に関する政府からの援助はどのような措置があるかということです。これまで上海市より公布された政策は主に以下のとおりです。

1.税負担の軽減
①感染の影響により大きい被害を受けた交通運輸業・飲食業・ホテル業・旅行業の企業は、2020年度に発生した損失の繰越期間を最長5年から8年に延長する。
②小規模納税人の場合、2020年の年末まで増値税の税率は従来の3%から1%まで下げる。
③納税者が取得した公共交通運輸サービス収入・生活サービス収入・生活必需品宅配サービス収入に対して、増値税を免税する。

2.社会保険料(企業負担分)の軽減および延納

①中小零細企業の場合

②大型企業の場合
2020年2~4月まで、養老保険・失業保険・労災保険は半減、医療保険は上記同様。
③延納について
*社会保険料について、生産経営に重大な困難が生じている企業は、延納を申請することが可能(6ヶ月以内)。
*住宅積立金について、6月末以前に延納を申請することが可能。
*延納期間中、延滞金は免除する。

3.賃借料の減免

中小企業が上海市の国有企業の不動産を借りた場合、上半期の3ヶ月分の賃貸料支払いを免除する。

 

◆最後に

日系企業のお客様へスピーディーで、品質の良いサービスを合理的な価額で提供することが弊社の経営理念です。
弊社は、日本語堪能な中国会計専門家と中国業務に精通した日本専門家、豊富な知識と経験を持つ従業員により会計・税務サービスを提供してまいりました。
会計・税務の法律法規及び業界の動向を適時に把握し、国内外のお客様に向き合い、個々のお客様の状況を正しく理解し、高品質で実効性のあるサービスを提供致します。
既に多くの企業様と長期的なパートナー関係を築かせて頂いておりますこと、心より感謝し、これからも「人」と「人」との出会い、結びつきを大切にし、この活気溢れる中国でお客様と共に成長・発展することを目指しています。

 

※会社情報
会社名:上海ATM財務コンサルティング有限公司
ホームページ:http://www.atm-consulting.com.cn
住所:上海市南京東路409-459号上海置地広場13楼1315室

 

聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 杉山

 

※本インタビューは2020年5月8日時点での情報に基づき作成しています。
※5月22日に公表された第13回全国人民代表大会第3次会議審議の政府活動報告において、当初6月までとされていた減税・各社会保険料率引き下げ政策(中小零細企業の企業養老保険・失業保険・労災保険の免除、小規模納税者の増値税減免などを含む)の有効期限を今年末まで延長し、小規模零細企業の所得税納付を来年まで猶予することが提案されております。

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