中国進出インタビュー

第 106 回「ファッションを通じて楽しさや感動を」 MARK STYLER株式会社中国現地法人 摩酷時装(上海)有限公司

筆者が初めて中国に来たのは今から約10年前ですが、以前と比べると中国の方がとてもオシャレになったと感じます。年代に関係なく、個性的なファッションをしている方もよく見かけます。広大な国土で多様な価値観を持つ中国人に向けてアパレルを販売していくには日本とは異なるアプローチが必要なのかもしれません。
今回は、中国でアパレル販売を展開するMARK STYLER株式会社中国現地法人/摩酷時装(上海)有限公司の早川首席財務官に中国での事業展開についてお話を伺いましたのでご紹介致します。

 

◆事業内容について

弊社は中国でMURUA、EMODA、Ungridという3 ブランドの小売りとjouetieというブランドの卸売りを展開しています。自社店舗は上海の中山公園にあるラッフルズシティと、北京の朝陽大悦城の2店舗を構えている他、多数のセレクトショップでも取扱っていただいております。

 

弊社が初めて中国に進出したのは2010年。2014年に一旦中国事業を縮小しましたが、2015年に株主がCITICグループ(金融・資源エネルギー・製造・不動産等を扱う中国最大手コングロマリット企業の一つ)に変わり、同時に同グループのノウハウ・情報リソースや中国事業運営サポート等の中国事業構築の基盤を得ることができました。市場性・発展性のある中国に再度拠点を構えることになったのは2016年のことです。

 

 

◆中国での事業戦略

当初は日本国内から越境ECで中国国内に販売し、弊社ターゲット層とニーズが合っているかモニタリングを行いました。広大な中国では地域ごとに気候が違うので、衣類の売れるタイミングも異なります。例えば、北京等の華北地域は秋が短くすぐ寒くなるので、日本より2カ月程早くダウン等の冬物を展開します。
中国でのEC販売においては、季節や暦にちなんだ様々なイベントがあり、日本のマーチャンダイジングがそのままでは通用しないことも分かりました。そういった点を踏まえて、Tモールで中国国内向けEC販売を開始し、同時にブランドを浸透させるために上海と北京で実店舗を構えました。アパレルは色合いや手触りなど風合いを確かめることも重要なので、実店舗にはお客様に原体験していただく役割もあります。
弊社商品は日本でデザインしていますが、感性は日本人と中国人で異なるので、どの商品が当地で売れるのか中国人スタッフにも仕入商品の選別を任せています。そして、中国の消費者に受け入れてもらえるよう、商品によっては日本のものをそのまま販売するのではなく、中国人の標準体型に合わせサイズや色を多様化したり、ファスナーをボタンに変える等ローカライズを行っております。細かい作業ではありますがブランドコンセプトを守りながら当地に合わせた調整をしております。
こうした取り組みが奏功し、中国最大のECイベントである11月11日の独身の日(双11、日本ではダブルイレブンと呼ばれる)には、昨年は1日の売上が月商の約7割に上るほど売り上げることができました。

 

◆中国特有の課題

弊社の出品するECサイトのTモールでは 、消費者保護の観点から、未使用のものであれば事業者が7日間無料で返品に応じる必要があります。中国では日本の常識では考えられないほど返品率が高く、日本では通常4%前後の返品率が当地では20~30%にも上ります。3つ買って2つが返品されるようなケースもあります。私見が入りますが、お客様の中には気に入った複数の商品、異なる色・サイズ等を最初に多めに購入し、実際に商品が家に届いた後に本当に必要なものを吟味し、それ以外のものは返品しているからなのではないかと考えています。サイズ感・着心地・風合いなど、リアルの体験をしていないために、とりあえず買ってみるということが起こるのでしょう。当地の習慣を受け入れつつ、返品に対してどのような対策を講じていくかが今後の課題です。


 

 

◆中国のファッション文化

中国は日本以上にファッションに対する自由度が高いと感じています。弊社が展開するブランドは、日本では主に18~30歳の女性をメインターゲットとしていますが、当地ではより幅広い年齢層の方からご好評いただいております。また、特に上海ですが流行にも敏感です。例えば今だとバレンシアガやルイヴィトンなどが世界中で厚底スニーカーを販売しておりトレンドとなっていますが、ハイブランドなものでなくても流行を取り入れたファッションを楽しんでいる方も多いようです。一方で、我が道を行くといったような個性的なファッションをされている方も多く、世間の流行にとらわれない多様性はターゲットを絞り切れない難しさでもあり、面白さであるとも感じています。

 

◆今後の事業展開

弊社の強みは日本で15のブランドを展開している開発力と、CITICグループの情報リソースにあります。現在弊社が中国国内で取扱うブランドはその内の4つですが、まだ展開できていないブランドもあるので、CITICグループとのシナジーを今後更に発揮し、お客様に楽しんでいただけるファッションを提供していきたいと考えております。
また、日本国内ではランウェイチャネルという自社販売サイトを運営していますが、将来的には中国国内でも自社サイトの運営をしていきたいです。弊社商品は、中国国内は下記店舗等の他、Tモールでも販売していますので、是非一度ご覧になっていただければと思います。

 

※会社情報
日本本社   MARK STYLER株式会社(きらぼし銀行青山通支店取引先)
中国現地法人 摩酷時装(上海)有限公司
ホームページ https://www.mark-styler.co.jp/
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聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 杉山

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