中国進出インタビュー

第 101 回「日中ゲームビジネスの架け橋に」株式会社アンビション中国現地法人游愿数碼科技(上海)有限公司
中国では業界団体の中国音数協游戯工委(GPC)の発表によると、2019年上半期のインターネットゲーム業界の売上高は1,140億2,000万元(約1兆7,103億円)と前年同期比8.6%増、うちモバイルゲームは同21.5%増の770億7,000万元(約1兆1,561億円)と多くの割合を占めています。更に中国のゲーム開発会社は海外展開も拡大し、上半期の海外売上高は同20.2%増の55億7,000万ドル(約5,849億円)と中国国内以上に海外での売上を伸ばしている状況です。
 

中国国内と世界で拡大を続ける中国のゲーム業界の中で、事業展開を図っているのがお話を聞く株式会社アンビション中国現地法人/游愿数碼科技(上海)有限公司です。今回、游愿数碼科技(上海)有限公司の大和董事長に、中国での事業展開についてお話を伺いましたので、ご紹介致します。

 

◆ 現地法人の立上げ
まず弊社事業についてご紹介しますと、日本本社ではソーシャルゲーム・オンラインゲーム・モバイルゲーム等の企画・開発・運営を行っています。そして、この中国現地法人/游愿数碼科技(上海)有限公司では、日本本社が開発したゲームを中国国内で販売する他、他社が制作した日本や中国のゲームをそれぞれ別の国で展開するサポートを行っています。 さて、弊社が中国に進出した経緯ですが、従来から、日本本社ではゲームを翻訳して英語圏向けにローカライズして販売するなど海外展開を行ってきました。そして更なる海外事業拡大を検討する中で、中国は巨大で魅力的なマーケットの一つでした。

中国はスマートフォンが急速に普及し、モバイルゲーム等の需要が大きく増える見込みはありましたが、同時に、2012年頃から先行して中国へ進出した同業の日系企業が軒並み撤退していくのを目の当たりにしてきたこともあり、難しいマーケットであることも実感していました。
しかし2017年頃からマーケットの風向きが変わり始めました。ゲームのグラフィックデザインが日本風なものが好まれ、乙女ゲームと呼ばれる女性向け恋愛ゲームが中国でも大ヒット。弊社は従来から、萌え系や乙女ゲームと言ったコンテンツに強みがあること、厳しいマーケット環境というネガティブな状況だからこそ同業の日系他社の進出が少ないのが好機と考え、現地法人を立ち上げる事となりました。


◆中国と日本の違い
中国に進出した当初は、先月と今月とで行政のルールや対応が異なったり、契約がクロージング間近までいったにも関わらず全てやり直しになったりと、中国の外部環境の変化の早さや日本の常識が通じないなど、中国の慣習の違いに驚かされてきました。
しかし中国でのビジネスを通じて、これが日本と中国の価値観やビジネス慣習の違いが根本にあること理解をできるようになってきました。中国ではコンテンツ関連で模倣などのトラブルになるイメージがあるかもしれません。それも中国では、コンテンツ利用者が権利者から利用許諾を得なければいけないという日本では当たり前のルールを知らない人がいるなど、日本とは根底が違うことが要因にあります。そのため、この違いについて、弊社ではなぜコンテンツを勝手に利用してはいけないのか、ブランドが毀損したらどうなるのか等、一つ一つを丁寧に説明して理解を得るようにしています。
大事なのは、一方の考え方を相手方に押し付けるのではなく、日本と中国の考え方・ビジネス習慣を調和させることです。これは中国で事業展開しているからこそ理解できることであり、日本のゲーム会社などからはこのように中国におけるビジネス習慣や文化を理解できている弊社が間に入るならば、大事なコンテンツを弊社に預けて中国で展開してみようという相談が増えてきました。
私自身、中国で働いてから、中国ビジネスに対する考え方も変わってきました。中国赴任前は自分の名前が「大和」であることから「大和魂」を持って日本代表みたいな気持ちで中国に乗り込んできましたが、中国で働いてからは、周囲の協力を得ながら共存してビジネスを進めた方が良い結果となるケースも多く、「大和魂」ではなく、「大いなる和」が大切だと気づかされました。この考え方に辿り着いたことで、中国ビジネスでの苦労が軽くなり、中国ビジネスでの許容範囲も広がりましたね。

◆日本から中国へ、中国から日本へ
昨年、中国当局がゲームに関する規制を強化し、新しいゲームの認可が下りない時期がありました。そのため、ゲーム展開で苦しんでいた中国のゲーム会社から日本で展開したい相談を受けるようになりました。弊社日本本社は自社でゲームの開発・管理・配信を行え、中国・上海に拠点があることから、中国のゲーム会社から弊社がパートナーとして最適だと考えて頂けたのでしょう。
設立前は日本本社が開発したモバイルゲーム等を中心に事業拡大することを画策していましたが、先ほどお伝えしました通り、現在は日本の同業他社が開発したゲームやコンテンツを中国で展開するサポートも行っています。日本のゲームコンテンツは世界で展開できておらず、危機感を感じている日本のゲーム会社は多くあります。これは他国での事業展開のやり方がわからない会社が多いことも理由の一つではないでしょうか。弊社は中国に現地法人を設立したことで中国のビジネス習慣を理解できました。この優位性を活かし、今後、日本の同業他社のゲームを中国で展開するサポートも積極的に行っていきます。

◆今後の事業展開
中国人はビジネスにおけるアクションが非常に早いです。中国人には日本のファミコンやプレイステーションなど古いゲームソフトが好きな人が多くいますが、お会いすると、その古いゲームソフトを中国で展開しようと、お会いしてすぐに弊社へ企画書を持ち込んできます。このビジネスに関するスピードとアイデアをお持ちの日本企業にとっては中国は可能性があるマーケットになるかもしれません。
ゲームは音楽や声優、キャラクターなど様々なものから構成されています。私自身、中国で働いてから、ゲームに関連するアニメやグッズなど、日本のコンテンツビジネスの中国展開には大きな可能性を感じており、ゲームに限らず、関連するエンターテイメント全てをビジネス化していきたいですね。
中国・上海に拠点がある弊社は、それぞれの国のビジネスを理解し、事業展開を進めています。中国に関連するゲームやコンテンツビジネスに関して、お気軽にご相談頂けると嬉しいです

※会社情報
日本本社  :株式会社アンビション(きらぼし銀行東池袋支店取引先)
中国現地法人:游愿数碼科技(上海)有限公司
ホームページ:https://www.ambition.ne.jp/
                     http://www.ambition.fun/

 

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聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 蓑田

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