中国進出インタビュー

第 100 回「日本品質を生かした商品づくりを目指して」 株式会社周プランズワーク現地法人 創周貿易(深圳)有限公司
普段何気なく目にするペットボトル飲料水に付属されているおまけ商品。そのおまけ商品の精巧さをどれほどの消費者の方が隅々まで見ているでしょうか。子供が触ってもけがをしないような細かな工夫がされている等、小さなおまけ商品でも品質の高さが伺えます。
今回はキャラクターもののノベルティ・販促グッズの企画開発から品質管理、中国国内販売までを行う創周貿易(深圳)有限公司の鈴木総経理に、中国での会社立上げから今後の事業展開についてお話を伺いましたので、ご紹介させて頂きます。
 

◆ 会社の立上げ
   弊社日本本社は元々、ある大手お菓子メーカーの広告代理店として設立しました。搜狗截图20190807130117.jpg設立当時はそのお菓子メーカー向けの商品におまけを付属する玩菓商品の企画を行っていましたが、徐々に玩具メーカーと連携し、弊社独自でモノづくりを行うようになり、大手テーマパーク向け商品企画、販売も行う方向に業務をシフトしていきました。
   深セン現地法人立ち上げのきっかけは、弊社が企画する商品の多くを委託する協力工場が深センの工業地域に集積していたからです。2006年に立ち上げた深セン現地法人では、納品先のお菓子メーカーの厳しい品質管理基準に応えるべく、QC管理(各工程の要求品質を明確にした管理手法)を取り入れて、その厳しい品質管理要求にスピーディーに対応して参りました。

 


◆ 中国国内販売へ    先述の通り、深セン現地法人は当初、日本向け商品のための検品、品質管理を行っていました。中国国内販売を始めたきっかけは2010年末の中国人社員との北京旅行でした。当時の深センは今ほどに街が発展しておらず、弊社が製造する商品を中国で販売しようという気には全くならなかったのですが、北京の街での消費の勢いを肌で感じ、弊社商品の販売の可能性を信じ、2011年に北京に販売拠点となる分公司を設立しました。
  元々の販売先は日系企業中心でしたが、日系企業の意思決定のスピードの遅さ、ロットの少なさから、徐々に意思決定が速く、発注ロットの多い中国企業への販売を増やしていきました。
  また2012年頃には台湾にも販売の裾野を広げるため、日本本社の支店として日商創周有限公司台湾分公司を立ち上げました。当時の台湾は中国以上にコンビニなどでおまけのキャンペーンが盛んで、弊社が学ぶべきところが非常に多かった点が設立のきっかけでした。例えば、通常価格では手が出ない商品に対して、「獲得ポイント+通常よりも値段を下げた価格」としてお店で商品を提供することにより、消費者はポイントを貯めるモチベーションにつながり、一方、販売側から見ればポイントだけでなくある程度の価格を提示することで、販売側にもメリットとなるキャンペーンを打ち出す等、台湾ではビジネスの盛り上げ方が非常に上手でした。
   弊社はこうした台湾でのビジネスの話題作りの上手さを取り入れつつ、日本品質の企画力を武器に、2014年には上海にも分公司を設立し、中国マーケットでの展開を更に進めていきました。
   2019年1月には北京分公司を閉鎖し、上海分公司に販売拠点を集約しました。これまで北京分公司では中国人責任者に販売を任せていましたが、地場企業との価格競争に乗ってしまい、当社の強みである「商品品質の良さ」を生かせていませんでした。そこで、当時台湾支店の責任者であった私が上海分公司の責任者も兼務することで、品質重視の商品販売へと立て直しを図り、中国全土への効率運営を目指していくことになりました。

 

◆ 販売における苦労
   中国・台湾での販売を進めるなかで苦労も多くありました。地場企業との取引では回収の面でトラブルとなることは他社も含めてよく聞く話ですが、弊社の経験した事例では、弊社への支払いが遅れていた台湾企業に支払いをお願いしたところ、「自分のところに資金がないからうちに回収を迫るのか」と開き直られて言い返されたこともありました。こうした弊社への間違った評判が他の取引先の耳に入ってしまうと、弊社への信用問題に繋がってしまうため、非常に迷惑な話でした。
   また台風等の天災被害といった、弊社にとっても不可抗力な事態により納品日が1日でも遅れてしまうと、すぐに罰金を迫られたこともあり、遅延等があっても協力関係を築ける日本企業とのビジネスの違いに戸惑いを感じることも多くありました。
   苦労話の中でも一番ひどい話は、中国企業により製造されたキャラクター商品の、権利無許可での販売横行です。弊社は勿論、キャラクターの権利元に確認を行ったうえでキャラクター商品の企画製造を行いますが、中国企業では権利もないのに販売先に対応可能と提案してしまい、弊社の販売機会が失われることも多くありました。また日本品質を売りにしている弊社ですが、販売を始めた2011年頃の中国の消費者は商品の品質よりも価格の安さを重視しており、競合する中国企業の安価な商品には非常に苦しめられました。

 

◆ 今後の展開
   販売を開始した2011年頃は偽物の横行など苦し1.jpgい時期もありましたが、2016年頃を境に、モノに対する中国人消費者の価値観も段々と品質重視になり、弊社の売れるマーケット環境に変わってきたと実感するようになりました。こうした環境の変化を追い風にして、今後は化粧品やキャラクター商品を自社のブランドとして確立させ、売れる商品づくりを目指していきたいと考えています。
   また中国人スタッフにはある程度自分で裁量を持たせることで、スピード感をもった営業活動をしてもらっています。弊社取引先の一つである中国企業大手のアリババグループ「フーマー」のキャラクターグッズの制作依頼も中国人スタッフの尽力により取引に繋がりましたが、今後もこうした中国企業との取引開拓には中国人スタッフが欠かせませんので、私自身は、中国人スタッフに気持ちよく仕事をしてもらえる職場の環境作りに注力しています。
   最後に、弊社はこれまで自社の企画力と日本品質を売りにノベルティグッズの製造販売を行っていますが、今後は弊社が持つ中国・台湾での販売ノウハウを提供することで、既に日本で広まっている日本製商品を中国・台湾へ展開することにもビジネスの幅を広げていきたいと考えています。

 
※会社情報
日本本社  :株式会社周プランズワーク(きらぼし銀行神田支店取引先)
海外支店  :日商創周有限公司 台湾分公司
中国現地法人:創周貿易(深圳)有限公司
                     創周貿易(深圳)有限公司上海分公司
ホームページ:http://www.shu.co.jp/

 

聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 小林

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