中国進出インタビュー

第 99 回「総経理の身近な存在に」 ジャパン・ビジネス・アシュアランス株式会社 上海捷比愛投資管理諮詢有限公司(上海JBA)     
中国では今年に入り景気刺激策としてさまざまな減税政策がとられただけでなく、数十年ぶりに個人所得税法が改正されるなど、法人・個人の税制に大きな変化が起きています。中国の場合、このような変化が日本とは異なり、唐突に起きるだけでなく、細かな実務の解釈が後日公表されるケースもあります。
これら変化を一企業が把握するのは非常に困難です。この税務会計に関するサポートを日中双方で行っているのが今回インタビューに対応頂いたジャパン・ビジネス・アシュアランス株式会社の上海現地法人/上海捷比愛投資管理諮詢有限公司(上海JBA)です。大きな変化が起きている中国の税務会計の留意点について、総経理の近藤氏にお話を伺いましたので、ご紹介します。

◆ 上海JBA
未标题-4 副本.JPG  上海JBAが本格活動してから10年が経ちますが、私自身も拠点を立ち上げた時から上海に駐在していますので、上海駐在生活が10年を超えました。上海JBAは会計関連、M&A関連、税務関連など中国の会計税務に関わるサービスを幅広く手掛けていますが、この上海JBAの強みの一つが、日本と中国双方からお客様へアドバイスができる点です。日本側の窓口となるジャパン・ビジネス・アシュアランス株式会社にも中国駐在経験者が在籍していますので、日本でも中国に関する詳しいアドバイスを行え、中国側に相談内容を確認しなくとも、日本で相談事項が解決できるというのが強みの一つでもあります。
 
 
 

◆ 問い合わせが多い内容(個人編)
   中国では、昨年9月から減税や優遇税制が多く出されていますので、関連する問い合わせを多く頂きます。今年4月には外国人に関する個人所得税の個別通知(解釈)が多く出されました。新しい個人所得税の申告システムは、以前の緩い申告方法とは異なり、最初に納税者の区分を選択します。一つの選択肢を選びますと、そこから新しい選択肢が出てくるシステムで、例えば、最初は役職(高級管理職か否か)を選び、次にその人の滞在日数が90日以上か否か等を選択しますと、その選択にそって自動的に個人所得税の計算式が出てきます。つまり、ここでは正しい選択をすることが重要になります。更にその後、中国国内と国外の勤務状況や、国内外の収入を入力する必要があります。この入力でポイントになるのが、国外の収入申告です。中小企業の場合、国外の収入を今まで申告していなかったケースもあると聞いています。そのため、この新しいシステムになってから数字を厳密に入力しなければいけなくなったことで、この入力方法を悩まれている企業はいらっしゃるかもしれません。
   最近相談が多かったのが、年度の途中で帰任される方の個人所得税についてです。日本企業の場合、3月や4月に帰国するケースが多いです。しかし3月4月というタイミングで帰国しますと、中国の税法上は非居住者扱いになります。居住者と非居住者では個人所得税の計算式が異なりますので、3月に帰国したことで足りない税金が発生し、後日追加で納税しなければいけないといったケースも出てきました。
   皆様にご留意頂きたいのが、日本人駐在員個人の住居費用です。今現在は会社が負担する外国人個人の家賃は個人所得税の課税対象外という特例扱いですが、この特例も3年後には無くなり、外国人の家賃負担も中国人同様の扱いに変わり、将来、給与に家賃が上乗せされて個人所得税が計算されます(中国人同様に家賃の税額控除あり)。駐在員の方はそれなりの物件に住まわれているでしょうから、この個人所得税の増加は考えておく必要があります。

◆ 問い合わせが多い内容(法人編)
   企業からよく質問を受ける内容として、税務調査の話があります。皆様、日本同様に、税務局が定期的に調査に入るのではと心配されていますが、基本的には無いとお考え下さい。もし税務調査が入るとすれば、それは第三者の税務局への告発が原因という可能性が高いです。そして、その告発したのがその会社の従業員で、従業員が会社への嫌がらせで税務局に内部告発したケースを聞いたことがあります。
   出向者の給与負担についてもご相談いただくことが多いです。日本人駐在員の給与や費用を日本本社が負担した場合、日本側でその費用を寄付金として課税されるケースがあります。この日本人駐在員の費用を日本本社と中国現地法人でいかに負担するかについて、あるべき論はその費用は現地法人が100%負担すべきです。しかし、日本の国税庁も留守宅手当の考えた方を示してはいます。しかし明確に日本本社と中国現地法人の負担割合は決まっていません。更にこの費用負担の問題で難しいのが、中国現地法人が日本本社へ負担分を送金する事務です。中国では海外への非貿易送金について厳格に管理されています。また非貿易送金で日本へ送金しようとなると中国で税金が課税されてしまいます。そこで、私たちはどのように日本へこの費用負担を還元すべきか、貿易取引の単価の見直しでできるのか、技術支援料や配当で送金するか、それに関わる税金はどう考えればよいか等、日本と中国、グループ全体の状況を考えた上で最適なアドバイスを行っています。
   その他最近では中国現地法人の持分譲渡のご相談も頂きます。最近は外-外、つまり中国現地法人の持分を日本で日本企業同士が売買するケースが増えてきました。この持分譲渡の譲渡課税ですが、国外(株主)に対する課税なので、見落とされがちです。譲渡価格は適切に評価する必要がありますし、特に対象会社の未処分利益がプラスの会社は税務局から注視されます。反面、赤字の会社は税務局から特段指摘を受けないケースもあります。ご留意頂きたいのが製造業です。製造業は自社で土地使用権を持っている会社もあります。10年以上前に購入した土地の値段が高騰し、その土地を時価評価すると想像以上の高い金額になってしまう、このようなケースもありますので、ご留意下さい。

◆ お客様と接していて
   上海で総経理を務める方に注意して頂きたいのが、まずは資金繰りです。日本では営業、製造、財務と各部門があり、製造の責任者が資金繰りを気にすることは少ないでしょう。しかし、中国の責任者になると、会社の資金を自分で工面して、その資金で営業活動や設備投資を行い、販売したもの投資したものが回収できるかまで考えなければいけません。
   上海のさまざまな企業を見ていますと、会社というのはトップで決まると感じることが多々あります。従業員は総経理を良く見ていますので、総経理次第で業績が変わりますし、損益計算書にそれが反映してきますね。
冒頭お話しましたとおり、弊社の強みは日本と中国双方からアドバイスできる点です。お客様への説明も、中国の税金はこうです、という一方面だけの説明で終わらせません。中国での税金は日本と表裏一体のところもあり、中国で起きたことが日本で反対のことが起きることもあるので、日本と中国の全体像を理解して説明しなければなりません。
   私も駐在して10年が経過しましたが、お客様からは10年いたことで、過去の状況も理解してくれて助かるとお声かけ頂くことが増えてきましたね。最近では「先生は日本に帰らないですよね?」と心配されることもありますが(笑)
   上海で働いている面白みの一つに、日本では取引できないような大企業の相談を受けられることも挙げられますが、私としては上海で一人で頑張っていらっしゃる総経理の一番身近な存在であり続けたいです。会計税務に限らず何かあったらまずJBA上海の近藤に相談したいと言ってもらえるような存在でありたいですね。
 
※会社情報
日本本社:ジャパン・ビジネス・アシュアランス株式会社(日本JBA)
TEL:81-03-3512-7707
中国現地法人:上海捷比愛投資管理諮詢有限公司(上海JBA)
TEL:86-021-6219-2351
聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 蓑田
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