中国進出インタビュー

第 96 回「日本でのデータ・ノウハウを強みに」 株式会社ニレコ現地法人 尼利可自動控制機器(上海)有限公司

 日々の生活で何気なく目にしている食品包装や印刷物。当たり前ですが、この食品包装や印刷物にはズレやたるみ、汚れがありません。この理由に、ズレやたるみが生じないようにする制御装置や汚れの検査装置があるからなのは、私たちが生活している中では分かりません。

今回、この生産ラインにおける「制御・計測・検査装置」メーカーである尼利可自動控制機器(上海)有限公司(株式会社ニレコ 中国現地法人)の三浦董事長と国川総経理に、中国での事業立ち上げから事業展開についてのお話を伺いましたので、ご紹介させて頂きます。

 

中国進出経緯 

 

11.jpg弊社日本本社の主力事業は「プロセス事業」「ウェブ事業」「検査機事業」の三つに分かれます。

「プロセス事業」は主に鉄鋼・非鉄金属業の生産ラインを対象に鉄鋼製品の生産効率を維持・向上するための制御装置や検査装置を、「ウェブ(帯状素材)事業」では紙・フィルム等の生産工程でたるみやシワが生じないように制御する装置・蛇行制御装置・印刷位置ずれ防止装置などを、「検査機事業」では人間の目では認識が困難な小さな傷や汚れを検査する装置、

例えば電子機器素材や二次電池素材の傷や汚れ検査装置、また農産物の外観や糖度・酸度の検査装置など幅広い分野での検査装置を提供することで、製造業をはじめの多くの業界の企業様をサポートしています。

その弊社が中国へ進出したのが2003年。近年は、魅力ある「マーケットへの販売」を目的に中国へ進出する企業が多い状況ですが、当時の弊社は他の多くの国内企業同様「コストダウン」を目的に中国への進出を決めました。

上海現地法人立上当時から今に至るまで多くの苦労がありました。立上時は工作機械を日本から輸入して製造をはじめたのですが、一番苦労したのが「外注先の製造品質を安定させること」です。外注先として中国ローカル企業を利用していたのですが、品質が安定せず、当時は担当者だった国川総経理ら日本人スタッフが外注先を指導に行くことが多々ありました。苦労して指導した結果、外注先の品質は安定し、当時の外注先とは今でも良好な取引が続いています。


12.jpgその他にも日本と中国の製造規格の違いにも苦労しました。過去、大型マーキング装置(高温の鉄鋼製品に印字をする装置)の製造を中国で行うことが決まり、いざ製造を開始しようとしたところで、当初の想定とは異なる点が出てきました。この装置は完全なカスタムメイドです。中国の協力会社を指導して全部品の設計・製作図をおこし、それを別の協力会社で製作しようとしたのですが、日本と中国では「製造規格」が異なるため、日本で使っていた製作図は流用できず殆ど一からやり直す結果となってしまいました。

このような多くの苦労に対して思考錯誤を重ね、最終的には紙・フィルム制御装置の製造を日本本社や同じ海外関連会社である台湾拠点と連携することで、中国事業を軌道に乗せることができました。そして今では、当初の中国進出の目的であった「コストダウン」拠点としての量産品製造でなく、中国「マーケットへの販売」拠点となるよう注力しています。

 

中国市場の移り変わり

今は「プロセス事業」へ注力しています。「プロセス事業」については昨年から少しずつ引き合いが増えてきました。ひとつには中国の鉄鋼業界全体の変化が要因に挙げられます。過去の中国鉄鋼業界はどちらかと言えば「量」を重視していましたが、事業再編を経て、現在は「品質」や「生産効率」を重視するようになっています。販売店などと協力しそのニーズにあった製品を積極的に広めた結果、弊社へのお声かけが増えたのでしょう。その変化に対応すべく、中国現地法人も「プロセス事業」の営業体制を再構築しています。

また中国現地法人は今まで紙・フィルム制御装置の製造が主でしたが、時代の変化とともに新聞や雑誌など印刷物の需要が減ってきたため、紙・フィルム制御装置の需要が増えていません。しかし新聞や雑誌が減った一方、スマートフォンやタブレットが増えてきた結果、スマートフォンやタブレットに使われている特殊フィルムの検査装置や半導体機器の検査装置の引き合いが増えるなど、時代の変化と共に、弊社に求められてきているものも変化してきています。

 

今後の展望

 弊社海外拠点は中国の他に台湾と韓国などがあり、それぞれの海外拠点が連携しながら部品や装置の製造・貿易を行っています。1つの海外拠点・国のことを考えるのではなく、「どの拠点で製造するのが効率的で最適か」を考えています。例えば、中国の取引先へ新しい製品を納品する際も、韓国での製造コストが一番低いならば、韓国拠点で設計・製造して中国へ輸入して販売すればよい訳で、これからは海外拠点が連携して、相乗効果を出しながら更なる事業拡大を進めていきます。

特に中国についてはマーケットとしての魅力があり、「この製品は中国でニーズあるかな?」と考えるだけでワクワクします。この中国マーケットで成功して事業規模を大きくし、会社が成長すると共に社員一人一人も同じように成長してくれることが私どもの望みですし、そうなることを期待しています。

 

※会社情報

中国現地法人/尼利可自動控制機器(上海)有限公司

日本本社  /株式会社ニレコ(きらぼし銀行 日本橋支店取引先)

ホームページ:http://www.nireco.jp

      

聞き手=綺羅商務諮詢(上海)有限公司 蓑田

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