きらぼし中国ビジネスQ&A

第 92 回「駐在社員給与の立替送金について」

 

<質問>

弊社はこの度、海外への販路開拓の一環として上海に販売会社を設立しました。今後、日本より社員を1名派遣する予定なのですが、当該社員の給料については、日本本社にて一度立替えて支給した後、上海現地法人にて、現地法人の給与基準に基づいた金額を日本本社に返金することを想定しています。しかし、中国では外貨管理の規制で各種送金にも制限があると聞いているのですが、弊社が想定しているような形式での送金は可能なものでしょうか?留意点等ございましたら、同時にご案内頂けると幸いです。

 

<回答>

 まずご認識の通り、中国では外貨管理が徹底して行われており、外貨の受け払いにつき、細かな制限が存在しています。今回ご照会頂きました給与の立替送金につきましては、従来は根拠法が存在しなかったことより認められていませんでしたが、20137月に公布された「サービス貿易外貨管理法規の通知(匯発[2013]30号)」により、現在では本社が立替えた給与の送金が銀行ごとの判断で認められています。

<参考> サービス貿易外貨管理法規の通知(匯発[2013]30号)

http://www.safe.gov.cn/safe/2013/0724/5436.html

 

 給与の立替送金は、非貿易(サービス貿易)分野における送金となりますが、非貿易送金については、金額が5万米ドルを超えるか否かによって手続きが異なります。5万米ドルを超える送金の場合、銀行による書類審査が必要となる他、税務局への事前届出も必要となります。一方、送金額が5万米ドル以下の場合、原則として銀行による書類審査不要にて送金の手続きを行えば送金ができることとなります。しかし、金額が5万米ドル以下であっても、「資金の性質が不明確な場合、銀行はその取引書類を審査する義務がある」とされており、今回のケースにおいても初回送金する際には、各種資料を銀行に提出し、審査を受けることとなるものと思料します。

なお審査に必要となる資料としては、雇用契約書(出向契約書)、日本本社が立替え払いをすることに関する協議書、立替金額の分かる給与明細、その他の状況説明書等が想定されます。

続いて、送金における留意点ですが、給与の立替送金については、送金における項目が「立替」となりますが、「立替金の送金は、その期間が12ヶ月を超えてはならない」といった制限もあるため、本社が立替える期間について注意が必要です。

 

最後に、銀行によっては給与の立替送金につき、送金自体を受け付けず取扱を拒絶するケースもありますので、実務上はご利用される銀行に事前に相談に行かれる必要があると言えます。

 

            以上

 綺羅商務諮詢(上海)有限公司 小原

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