＜質問＞
私は上海で貿易会社の総経理を務めています。弊社の経理スタッフが「期限通りに納税手続きしないと納税信用等級が下がるから大変だ」と言っていたのですが、何のことを言っているのかよく分かりません。そもそも納税信用等級というのは何ですか？会社ごとに等級（ランク）がついているのですか？
＜回答＞
納税信用等級ですが、これは税務局が毎年4月、「納税信用管理弁法（試行）」「納税信用評価指標及び評価方式（試行）」に基づき、会社の前年の納税状況を評価して等級を付与する制度です。
※「納税信用管理弁法（試行）」
http://www.tax.sh.gov.cn/pub/xxgk/zcfg/swzsgl/201407/t20140709_408732.html
従来はＡ～Ｄまでの4等級制度でしたが、2018年4月から新たにＭ級が追加され、5等級制度に変更されました。この等級が高い企業は税務局から優遇が付与され、等級が低い企業は税務局の管理が強化されてしまいます。5つの納税信用等級の区分は下記の通りです。
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等級 |
評価得点 |
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Ａ級 |
90点以上 |
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Ｂ級 |
70点以上90点未満 |
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Ｍ級 |
① 新設企業 ② 評価年度期間内で経営収入はないが、年度評価得点が70点以上の企業 |
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Ｃ級 |
40点以上70点未満 |
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Ｄ級 |
40点未満 |
次に納税等級に応じた税務局の対応をご紹介しますと、
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等級 |
奨励・管理 |
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Ａ級 |
① Ａ級納税者名簿が公表される。 ② 一般納税人は1回で3ヶ月分の量の増値税専用発票を受け取れる。増値税専用発票の量を調整したい場合、即時に処理してもらえる。 ③ 普通発票は必要に応じて申請できる。 ④ 3年連続でＡ級の納税者に選ばれた場合、以上の奨励政策を享受できる他、税務局は特別優先窓口を提供、或いは専門人員を配置して納税事項を取扱う。 ⑤ 他の奨励施策を享受できる。 |
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Ｂ級 |
税務局は正常な管理を実施して、税収政策と管理規定の指導を適時に行い、信用評価状態の変化に応じて、Ａ級納税者への奨励施策を適時提供する。 |
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Ｍ級 |
① 増値税専用発票の認証を取り消す。 ② 税務局は税収政策と管理規定の指導を適時に行う。 |
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Ｃ級 |
税務局は法律に基づいて厳しく管理し、信用評価状態の変化に応じて、Ｄ級納税者の管理施策を採用する。 |
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Ｄ級 |
① Ｄ級納税者及び直接の責任者の名簿を公開して責任者を登記する、或いは経営の責任者の納税信用等級をＤ級で判定する。 ② 増値税専用発票の受取りは一般納税人の政策に基づき実施し、普通発票の受取りは「験旧供新（旧版提供により新版を交付）」を実行し、厳格に制限した量を供給する。 ③ 輸出の還付審査を強化する。 ④ 納税評価を強化し、他の各種書類を厳格に審査する。 ⑤ 重点監視対象として、監督監査を頻繁に行う。税収違法行為を発見した場合、規定の処罰幅の最低標準を適用してはいけない。 ⑥ 関連部門に納税信用評価の結果を通知し、経営、投融資、政府土地取得、輸出入、出入国、会社設立、工事入札、政府仕入、栄誉獲得、安全許可、生産許可、従業資格、資質審査などを制限或いは禁止する。 ⑦ Ｄ級の評価が2年間続いた場合、3年目の納税信用等級はＡ級には評価されない。 ⑧ 税務局と関連部門が実施した共同懲戒施策及び実際の状況に応じ、法律に基づいた厳格な管理措置を採用する。 |
そして、この等級ですが「納税信用評価指標及び評価方式（試行）」に記載されている減点標準に基づき、100点からの減点方式で計算されます。
※「納税信用評価指標及び評価方式（試行）」
http://www.tax.sh.gov.cn/pub/xxgk/zcfg/zhsszc/201409/t20140901_410078.html
評価内容の一部をご紹介しますと、
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減点指標 |
減点標準 |
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規定された期限に納税申告していない |
▲ 5点 |
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規定された期限に源泉徴収していない |
▲ 5点 |
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規定された期限に申告或いは批准された延期申告の税金を納付していない |
▲ 5点 |
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税金を源泉徴収しているが、規定された期限に納付していない |
▲ 11点 |
上記の減点内容からお分かり頂ける通り、納税金額が多い少ないということはではなく、法律に基づき真摯に納税手続きをしているかを評価します。通常の納税手続きを行っていれば低い等級を付与されることはありません。
しかし、もし低い等級が付与されてしまった場合、会社運営に大きな影響がありますので、納税手続きの管理は重要です。
自社の等級ですが、税務局ホームページを通じて調べられます。またＡ級と判定された企業については、他社からでもＡ級と判定されたことが確認可能です。
※上海市納税信用Ａ級企業調査 （社名等を入力）
https://www.tax.sh.gov.cn/xbwz/tycx/TYCXqynsxydjcxCtrl-gotoNsrxydjcxView.pfv?SUB=111
会社運営に影響を与えないためにも、まずは、総経理など管理者は自社がどの等級に位置するか確認頂き、低い等級にならないよう何が減点項目に該当するのか社内や会計事務所等と共通認識されることをお薦め致します。
以上
綺羅商務諮詢（上海）有限公司 蓑田
