きらぼし中国ビジネスQ&A

第87回「撤退における税務面の清算について」
<質問>
弊社は10年前に中国に進出した建材会社です。近年、人件費の上昇や競合他社との競争の激化等より業績が芳しくなく、今次、清算することとなりました。清算においては、特に税務面がポイントとなり、税務局より追徴を言い渡されるケースがあるとの話を聞いたのですが、具体的には清算時にどの様な作業が発生し、どのような指摘を受けるものなのでしょうか?
 
<回答>
 ご認識の通り、中国での企業の清算においては、「税務面の清算」および「従業員への対応」が最大のポイントとなります。今回は「税務面の清算」につきご紹介致します。
 清算時には、「税務登記の抹消」といった手続きが必要となり、この際に会計士に依頼し、過去3年分の申告状況まで遡った「監査報告書」を作成してもらうこととなります。そして、この「監査報告書」を税務局に提出するのですが、この際に税務局より税務調査が入り、過年度の納税漏れがないかを調べられることになるのです。要は、税務局側としても企業が清算となってしまうと、今後当該企業からの税収がなくなってしまうため、最後に徹底して調べるという訳です。なお、調査される期間については明確に定められていませんが、過去3~5年程度遡った調査が多いように見受けられます(税務局には、会社設立以来全ての期間を調査する権限があります)。なお、前述の会計士における監査にて納税漏れが発覚した場合、自己申告にて納税することができます。ここで自己申告をせずに、その後税務局より指摘を受けた場合、追徴といった形となるのです。以下は、清算における税務調査にてよく見られる事項を、ご参考までに記載致します。
 
外国籍の従業員が在籍している企業の場合、当該外国籍従業員の個人所得税をきちんと納税しているかを確認される。
給与に関して現金支給手当分の申告漏れにつき指摘を受ける。
社員旅行を実施していた企業において、当該社員旅行にかかった費用を会社から従業員に支給された給与の一部と見なされ、個人所得税の追徴を言い渡される。
出張手当につき、個人所得税の課税対象としているかを確認される。
銀行出納帳、取引明細にて送金相手が外国企業となっている取引の送金内容を確認され、源泉徴収の計算、納税状況を見られ指摘を受ける。
従業員の経費精算、または金額の大きい発票(領収書)について、税務担当官に一枚ずつ確認され、内容に懐疑的な部分がある場合、損金不参入とされ企業所得税の調整対象とされる。
印紙税の納付漏れを指摘される。
 
税務調査にて指摘される事項は、企業の状況により当然異なってきますが、一般的に印紙税、駐在員の個人所得税、在庫に絡む増値税、対外送金に関する企業所得税などにつき指摘を受けるケースが多いかと思われます。なお、きちんと納税を行っている企業においては、特段指摘を受けずに済むケースも見受けられます。
以上
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