きらぼし中国ビジネスQ&A

第84回「設備?器具の一括償却について」

<質問>

  私は上海に子会社を有する日本本社の経理担当者です。最近、上海子会社の経理スタッフより、「購入金額が500万元を超えない設備については、一括償却が可能となった」との報告を受けたのですが、これは事実でしょうか?また実務上、設備の一括償却を行う場合に、購入時に必要となる手続き等はありますでしょうか?ご教示下さい。

 

<回答>

  2018年5月7日付で、「設備・器具に関する企業所得税控除政策に関する通知」(財税〔2018〕54号)が公布され、企業が2018年1月1日から2020年12月31日までの期間に新規取得した設備、器具(建屋、建築物除く)につき、単価が500万元(約8,500万円)を超えない場合、企業所得税の計算上、一括償却することが可能となりました。

 【参考URL】http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c3439412/content.html

 

本制度において、企業は設備購入時には特段の手続きを行う必要はなく、税務局からの確認や調査に備え、関連根拠資料を整理・保管し、企業所得税確定申告の際に、一括損金算入として申告を行えば優遇政策を享受することができます。なお、会計処理においては、企業会計準則、もしくは企業の会計制度に基づき、固定資産として扱うべきものは固定資産として計上し、規定に基づき償却を行う必要があります。また、企業所得税確定申告にて一括損金算入の申告を行う場合、税法上と会計上に差異が生じますが、この差異を計算、管理する台帳も重要な根拠資料として、税務調査のために備えておく必要があると思われます。

 

  なお、2018年4月25日公布の「≪企業所得税優遇政策事項処理方法≫の公告」(国家税務総局公告2018年第23号)において、企業が企業所得税の優遇政策を享受することに関して、

第3条 優遇事項の名称、政策概要、主な政策根拠、調査に備えて保管しておくべき主な資料、優遇を享受した時期、以降の継続管理要求等については、附属文書≪企業所得税優遇事項管理目録(2017年度版)≫を参照とする

第4条 企業が享受する企業所得税の優遇事項は「自己判断、申告享受、関連資料の保管」の方式が適用される

 【参考URL】http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c3429104/content.html

 

 と規定されており、更に同公告の附属文書である≪企業所得税優遇事項管理目録(2017年度版)≫ 第68項において、企業が優遇政策を享受する際に保管すべき資料として、

固定資産購入時の発票(領収書)

記帳伝票

中古固定資産の購入の場合は、既に使用された年数に関する説明資料

税務と会計上の差異を計算する管理台帳

 とされていますので、企業においては最低限上記の資料を備えておくことが必要です。

 

500万元以下の設備購入の際には、今回公布された制度の活用を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 (1元≒17円)

 以上

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