きらぼし中国ビジネスQ&A

第 82 回「福利基金について」
第 82 回「福利基金について」
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<質問>
私は最近、上海現地法人に赴任した者です。昨年の上海現地法人の決算処理で経理スタッフから「福利基金の積立比率を0%とする」と言われたのですが、「福利基金」とは何でしょうか。積立比率0%でも問題ないのかご教示下さい。
 
<回答>
日本の会計処理では利益に対して積み立てる資本準備金・利益準備金という法定準備金制度があるように、中国にも似通った「三項基金」という制度が存在します。中国現地法人は税務上の繰越欠損金が無くなった後に利益が発生した場合、関連法律に基づき、企業所得税控除後の利益から準備基金・従業員及び福利基金・企業発展基金を積み立てなければなりません。(「中華人民共和国外資企業法実施細則」第58条)
① 準備基金:(独資企業の場合)税引き後利益の10%以上を積み立てなければなりません。積み立てた累計金額が登録資本金の50%に達した場合、以降の利益に対する積み立ては強制ではなく、任意です。
② 従業員奨励及び福利基金:(独資企業の場合)積立比率を企業が独自に決めることができます。実務上、積立比率を0%とすることも可能です。
その他、合弁企業や合作企業の場合は、「企業発展基金」の積み立てが強制されています(独資企業の場合は任意)。上三項基金を積立てる場合、具体的にどのような割合・金額で積み立てるかについては董事会の決議に基づきます。
 
福利基金ですが、使用目的が従業員の福利目的に限定(奨励金や福利施設建設など)され、企業のために使用することは認められません。また、
A)「福利基金」は税引き後利益から積み立てられるため、赤字の場合は積み立てることができません。
B)「福利基金」は原則上、積立てた分を戻し処理することができません。
C) 原則、社内で「福利基金」の用途や支払申請フローに関する規程を設ける必要があります。
福利基金は使い勝手が良いものではないため、積立比率を0%と設定する企業は多く存在します。また企業の中には福利基金を設定せず、福利費として使うであろう金額を毎月「未払費用」として計上しておき、実際に費用が払った場合に未払費用と支出を相殺。年度末には過不足分を調整し、「未払費用」の残高をゼロにする方法を採用している企業もあります。
 
なお、実際に支払う福利費ですが、損金算入の限度額が設定されています。従業員福利費支出のうち、賃金給与総額の14%を超えた部分については損金不算入となるためご留意下さい。
 
 
以上
都民銀商務諮詢(上海)有限公司 蓑田
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