きらぼし中国ビジネスQ&A

第 65 回「経済補償金の計算方法」
第 65 回「経済補償金の計算方法」
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<質問>
私は上海現地法人の総務部長です。昨年、期間1年、手取4,000元で入社した中国人従業員と更新せず労働契約終了することを検討しています。想定より総務部門の業務量が減少した結果、本人は残業もなく担当業務も限定され、モチベーション維持も困難になっています。このような場合、経済補償金を支払う必要があると思いますが、いくら支給すればいいでしょうか?勤務年数×1ヵ月の給与とよく耳にしますが、そのような計算でいいのでしょうか。よろしくご教示ください。

<回答>
まず「労働契約期間の満了」は労働契約終了事由となっていますので問題ありません(労働契約法第44条1項)。次に経済補償金の計算方法ですが、同法第47条に「労働者のその単位における勤務年数に基づき、満1年ごとに賃金の1ヵ月分を基準として、労働者に対して支払う。6ヵ月以上1年未満の場合、1年として計算する。6ヵ月に満たない場合は労働者に対して賃金の半分に相当する経済補償金を支払う」、「月間賃金とは、労働者の労働契約解除又は終了前12ヵ月の平均賃金をいう」と規定されています。今回の中国人従業員の場合、経済補償金=勤務年数1年×手取4,000元=4,000元と計算できるように思いますが、間違った計算方法になりますので注意が必要です。
労働契約法実施条例第27条に「労働契約法第47条に規定する経済補償金の賃金は労働者が得るべき賃金により計算しなければならない。労働者が得るべき賃金には時間払い賃金又は出来高払い賃金並びに賞与、手当及び貨幣収入が含まれる」と規定されていますので、年間賞与、残業手当、交通手当等も加算されることになります。
上海では給与条件を手取ベースで中国人従業員に提示することが多いと思いますが、経済補償金の支払基準は手取給与のみならず、会社が実質負担している個人負担の社会保険、個人所得税も加算されます。今回、期間1年、手取4,000元、各種手当無し、年間賞与1回1.5ヵ月分6,000元にて経済補償金を計算しますのでご参照ください。関連「中国ビジネスQ&A」、第13回「賞与への課税」、第20回「経済補償金について」、第41回「新入社員の個人所得税と社会保険について」も是非一読ください。
 
(年間手取給与)
① 月間給与4,000元×12ヵ月分+賞与6,000元=54,000元
(年間個人所得税)
月間給与分:(4,000元-基礎控除3,500元)÷(1-0.03)×0.03=15.46元、
                         15.46元×12ヵ月分=185.52元
年間賞与分:6,000元÷(1-0.03)-6,000元=185.57元
 
② 年間個人所得税:185.52元+185.57元=371.09元
(年間社会保険)
基数:(手取4,000元+個人所得税15.46元)÷(1-個人負担社会保険率合計0.175)=4,868元
 
③ 年間社会保険:4,868元×0.175×12ヵ月分=10,220.80元
(経済補償金支払基準)
年間経済補償金支払基準:上記①+②+③=64,591.89元
月額経済補償金支払基準:64,591.89÷12ヵ月=5,382.66元(上海市の場合、上限17,817元)
(経済補償金額)
経済補償金額:5,382.66元×1ヵ月=5,382.66元
 
尚、労働契約法第47条に「労働者の月間賃金が所在する直轄市、区を設ける市レベルの人民政府が公表した当該地区における前年度の従業員月間平均賃金の3倍を上回る場合、労働者に対する経済補償金の支払基準は、従業員月間平均賃金の3倍に相当する額とする」と規定されています。つまり上海市の場合、2015年従業員月額平均賃金5,939元×3=17,817元が上限値となっていますのでご留意ください。
 
都民銀商務諮詢(上海)有限公司
渡邉 和俊
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