きらぼし中国ビジネスQ&A

第 59 回「中国の人材採用の留意点」
第 59 回「中国の人材採用の留意点」
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<質問>
私は上海現地法人に今月から赴任した駐在者です。早速、日本語人材を採用する必要がありますが、中国人の採用をしたことがありません。中国人は日本人と比較して技能や賃金の向上を求めて転職を繰り返す、流動性も高いと前任者から聞き及んでいます。採用面接にあたり、どのようなことを確認すればよろしいでしょうか。ご教示ください。

<回答>
人材の募集方法は日系人材紹介会社、所在開発区、縁故・紹介、自社HP、貼り紙等、様々ありますが、日本語人材を採用するということであれば日系人材紹介会社へ依頼することが主流かもしれません。以下、一般的な面接の質問・確認事項につきまとめましたので参考にしてください。
 
日本本社紹介、及びキャリア確認
 
Q1.面接時間の遅刻有無は?
<解説>
日系人材紹介会社を通じて人材紹介を受けた場合、同社から面接時間の厳守、時間前集合につき面接者に指導があると思ってください。面接時間に遅刻しない≠普段の勤務態度ではありませんので注意してください。
 
Q2.日本本社を知っていますか?
<解説>
日本本社のHP内容の確認を事前にしているか等の入社意欲の確認、中国語HPが無い場合は日本語での入力検索、文章読解が必要になるため語学力を確認することができます。
また面接者が日本本社の業務内容等を理解していたとしても、会社・商品パンフレットを渡す、中国語の会社概要を用意する、簡単に会社概要を説明すると効果的でしょう。
 
Q3.履歴書を持参していますか?
<解説>
日系人材紹介会社を通じて人材紹介を受けた場合、同社から面接者の履歴書を事前に交付されるため、面接者が当日持参しないことも珍しくありません。一方、履歴書を準備してくる面接者は好感が持てますので、是非受領するようにしてください。
 
Q4.過去の会社の退職した理由は何ですか?
<解説>
会社の中国撤退、転居、子育て、就学等、面接者の退職した理由は様々です。また転職を繰り返しているか、長期間の勤務が可能か、直近の離職から現在まで期間があいているか等をよく確認してください。
 
Q5.過去の経歴について確認しましたか?
<解説>
募集している職務内容についてよく確認してください。例えば総務事務担当者であれば、「発票を発行したことがあるか?」、「会社の登記変更手続きをしたことがあるか?」、通訳担当者であれば、「専門的な通訳ができるか?」、「セミナーでの長時間の通訳経験があるか?」等です。また日本語検定試験合格証、卒業証明書、会計従事資格書等の原本持参もしくはコピーの提供をお願いすると良いでしょう。
 
Q6.日本語を勉強or留学した理由は?
<解説>
中国でも男性より女性の方が語学力の上達は早く、日本での滞在経験がない面接者でも流暢な日本語を話すことができる方が多いです。また一人っ子(特に女子)を留学させる先として、距離的にも近く、漢字圏であり、治安面でも安心であるということから日本へ留学させる両親も多いようです。学校、先生、親兄弟の推薦での留学が多かったですが、最近ではアイドルやアニメに興味を持ち留学を決意する方も多くなっています。
 
Q7.現地法人(=日系企業)で働く理由は?
<解説>
日本語修学者が一番パフォーマンスの発揮できる日系企業に就職することは一般的です。最近では日本での外国人採用も積極的でありますので、特に日本での留学経験者や日本企業の勤務経験者がなぜ中国の現地法人で働きたいのか確認してください。
 
Q8.語学力について?
<解説>
作文、メール対応等の読み書き、通訳・翻訳等は必要な職種に応じて面接時に確認をしてください。面接の受け答えはある程度準備できるものですので、入社したら意外と日本語が話せない等ということもありますのでご注意ください。
 

基本的条件の確認

 
Q9.こちらが希望する職務内容の説明と意思確認をしましたか?
<解説>
入社後に面接者と見解の相違がないようにきちんと説明、意思確認をしてください。希望の職務に就かせてもらえなかったことも充分な退職動機となります。
 
Q10.いつから働くことができますか?
<解説>
別会社で勤務中の面接者もいますが、原則、労働契約では1ヶ月前通告が必要になります。いつでも退職が可能な方も場合によってはNGです。原則、前職でもきちんとした職務を任されている面接者であれば引継ぎもありすぐに退職することはできません。
 
Q11.希望給与はいくらですか?
<解説>
上海では手取給与の提示が多く、本来個人で負担する社会保険や個人所得税は企業負担するものだと思われています。特に社会保険料率は地域差がありますので事前によくご確認ください。
 
Q12.どのような方法で出勤しますか?
<解説>
最近では地下鉄網の拡充、マイカー保有者の増加等で以前と比較して色々な出勤方法がとられるようになりました。出勤方法の自己申告をさせ、それが最短で適切な方法なのかよく確認してください。交通手当てをもらうために虚偽申告することもあります。
 
Q13.時間外労働は可能ですか?
<解説>
残業や休日出勤の可否、発生頻度について説明、確認をしてください。中国では家庭を大切にする人が多く、場合によっては時間外労働も嫌う人もいます。時間外労働が可能である場合、過去の最長の残業時間を確認しておくと良いでしょう。
 
Q14.国内外の出張は可能ですか?
<解説>
営業担当者等は出張経験有無、遠方出張したことがあるか、確認してください。日本への出張・研修を予定している場合、パスポートの所持、入国ビザの取得有無等の確認が必要になります。
 
Q15.現在の住居は持ち家ですか?
<解説>
特に沿海部の賃貸料は年々上昇を続けています。外地戸籍者の場合、兄弟や友人と共同生活を行っていることもあります。共同生活で生計を立てている場合、共同者が帰省しますと、一人で生計を立てられなくなることもあります。一方、持ち家であれば定住の判断ができますので確認をしておくと良いでしょう。
 
Q16.自家用車を持っていますか?
<解説>
マイカーでの出勤の場合、会社に駐車場があることが前提になります。また営業担当者等の場合、業務用での使用が可能か等も確認事項となることもあるでしょう。運転暦についても確認をしてください。
 
Q17.戸籍地はどこですか?
<解説>
戸籍地と住所が違う面接者も多くいます。両親がまだ戸籍地等の遠方に住んでいる場合、近い将来両親の世話を見るなどの可能性があります。
 
Q18.結婚の予定はありますか?
<解説>
未婚者には結婚の予定があるのか?それはいつ頃なのか?を確認してください。将来子供が生まれて手間がかかるようになるかもしれません。中国では結婚や出産を機に退職することは少なく、原則、職場復帰を目指します。
 
営業担当者への確認
 
Q19.同時通訳ができますか?
<解説>
中国企業との折衝では、上司の通訳を務める、中国企業側の通訳を務めることがあります。これまでに営業担当者に同時通訳の経験があるか確認をしてください。
 
Q20.プレゼンをしたことがありますか?
<解説>
日中文のプレゼン資料の作成や顧客への説明経験があるか確認してください。
 
Q21.お酒は飲めますか?
<解説>
中国では営業担当者の会食機会は多いです。また顧客によってはアルコール度数の高い白酒を勧められることもあります。
 
その他
 
Q22.他に面接を受けている会社がありますか?
<解説>
優秀な人材であれば採用は早いもの勝ちになります。
 
Q23.余暇の過ごし方
<解説>
他の仕事と兼務していないか。自己啓発に取り組んでいる場合、その啓発内容は自社のためのものかどうかを確認してください。
 
都民銀商務諮詢(上海)有限公司
渡邉 和俊
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