きらぼし中国ビジネスQ&A

第 54 回「中国の福利費について」
第 54 回「中国の福利費について」
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<質問>
弊社は日本企業で上海製造現法を保有しています。今回、3周年イベントとして日本への研修旅行等を現法が計画しています。これまで頑張ってきてくれた従業員に対して福利厚生の一環として現法で費用負担したいと思います。これは福利費の扱いでしょうか。留意点等も教えてください。

<回答>
まず福利費には損金算入の限度額が設定されています。企業所得税法実施条例第40条にて「企業に発生する従業員福利費支出のうち、賃金給与総額の14%を超えない部分については、控除することを認める」と規定があります。つまり限度額を超過する部分は損金不算入となります。賃金給与総額の考え方は「賃金総額構成に関する規定(国家統計局令【1990】第1号)」第4条にて「①時間払い賃金、②出来高払い賃金、③賞与、④手当及び補助、⑤時間外労働の割増賃金、⑥特別な状況下において支払う賃金」とされています。
 
一方、福利費の具体的な範囲には「企業の賃金及び従業員福利控除の問題の通知(国税函【2009】3号)」第3条にて①福利部門で発生する設備施設費、及び人件費等、②衛生保健、生活、住宅、交通等の各種手当、及び非貨幣性福利、③その他の福利と規定されています。また②の各種手当は「企業の賃金及び従業員福利控除の問題の公告(国家税務総局公告【2015】第34号)」第1条にて同手当が給与と一緒に固定的に支払われている場合、賃金支出で処理すると規定されています。
 
これらを鑑みますと、福利費は固定的に支払われていない手当等と考えられます。今回の研修旅行だけでなく、忘年会や新年会等も限度額内で福利費として認識できるように思われます。上記は福利費が企業所得税法申告のときに限度額内で損金算入を検討できるものですが、個人所得税法実施条例第14条では「福利費とは、企業、事業単位、国家機関、社会団体が積み立てた福利費又は労働組合費の中から個人に支給される生活補助費をいう」とありますので、今回の研修旅行につき生活補助費とは言い切れませんので、企業所得税では損金算入はできると思いますが、個人所得税を納付しなければならない可能性があります。事実、税務局の監査等でも「福利費」項目はよくチェックされ、個人所得税の納税漏れがないかを調査されていますので注意が必要になります。
 
また企業所得税法第8条にて「(支出の控除=)企業の収入取得に関する実際に発生した合理的な支出」を前提としていますので、経済合理性のない支出であれば企業所得税上も損金不算入となり、更に個人所得税の課税対象になり得ますので、何でも福利費(=支出)とすることはできません。今回は日本への研修旅行でありますので、研修内容によっては通常の出張費用として検討することも可能かと存じます。
 
 
以上
都民銀商務諮詢(上海)有限公司 渡邉
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