きらぼし中国ビジネスQ&A

第 50 回「中国現法向け債権の出資持分化」
第50回「中国現法向け債権の出資持分化」
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<質問>
弊社は中国現法を保有する日本企業です。中国現法は現地運営で必要最低限の資本金投資で設立しており、現地での急な資金繰り対応は親子ローン、日本本社の現法向けの売掛金債権(中国現法にとって買掛金債務)のサイト調整で支援を行ってきました。但し現法向けの親子ローンや売掛金等の債権が実質的に長期化傾向にあることから、現法向けの債権を資本金に振り替えること(デット・エクイティ・スワップ、通称DES)ができないかと検討しています。実施可否につきご教示ください。

<回答>
まず根拠法として「会社登録資本登記管理規定(国家工商行政管理総局令【2014】第64号、以下同規定)」等があります。同規定は「会社法」や「会社登記管理条例」等の関連規定に基づき制定するとありますので関連条文も参照する必要があります。
 
同規定第5条には、出資方法について以下の通り規定しています。
 
「株主或いは発起人は貨幣を用いて出資することができ、実物、知的財産、土地使用権等も価格評価をもって出資することができ、法に依って譲渡可能な非貨幣資産も価格評価により出資できる。但し株主或いは発起人は役務、信用、自然人氏名・のれん・特許経営権或いは担保設定した財産等で出資することはできない」。
 
また同規定第7条では規定違反していない場合、裁判所の判決・仲裁機構の採決を得ている場合や債権が2名以上の複数人である場合は事前に債権分割がされている等の条件がありますが、中国国内で設立された会社に対する債権を会社の持分に転換することができると規定されています。上記を鑑みますと、本件債権もDESができるように見受けられます。
 
一方、「外商直接投資に係る外貨管理業務の改善に関する関連問題通知(匯発【2003】30号)」では第3条3項に「外資企業の外国方の登記済み対外債務の元本、登記利息を企業の増資に使用できる」と規定されており、ここでの対外債務は外国企業の出資先への親子ローン等の借入債務を指すものと想定されます。上記、外貨管理局の規定では外債登記済みの債権をもってDESを認めているものであり、弊社のクライアントでも親子ローンのDESをした事例はございます。
 
結果として、実務の現場では親子ローンのDESはできるものの、売掛金債権等の外債登記以外の債権をもってDESを実施することは実効性が低いものと思われますので、通常の増資を実施して売掛債権を回収することになるかと存じます。
 
 
 
以上
都民銀商務諮詢(上海)有限公司 渡邉
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