きらぼし中国ビジネスQ&A

第 47 回「中国企業への役務提供の課税について」
第 47 回「中国企業への役務提供の課税について」
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<質問>
弊社は中国に拠点を持たない日本企業です。昨年来、円安の影響もあるのか、中国からの直接の問い合わせが多くなり、今回、設計・コンサルティング等の役務提供の見積もりを上海所在の中国企業へ提案することになりました。見積もり検討するにあたり、日本、上海で税金負担有無の考慮が必要になりますので教えてください。

<回答>
まず日本国内の消費税について、非居住者である中国企業に対する役務提供は輸出取引に該当し消費税が免除されます。但し、日本国内に所在する資産に係る運送又は保管、国内における飲食又は宿泊、左記2つに準ずるもので国内におい直接便益を享受するものは消費税の課税対象となります。例えば中国企業が日本に支店があり、支店に対して国内で役務提供をして直接便益を享受する場合です。
また上海での税金について、企業所得税、増値税、都市維持建設税、教育付加税、地方教育付加税、河道税が発生します。ここでのポイントは企業所得税が査定利益率から計算される点にあります。「非居住者の企業所得税査定徴収管理弁法(国税発【2010】19号)」第5条にて税務機関は以下の査定利益率を参照して、非居住者企業の査定利益率を査定しなければならないと規定しています。
①請負工事、設計及びコンサルティング・・・査定利益率15~30%
②管理サービス・・・査定利益率30~50%
③その他の役務、役務以外の経営活動・・・査定利益率15%を下回らない
尚、税務機関は実際の利益率に応じて、上記参照値より査定利益率を更に高くして査定しなければならないと規定していますので、査定利益率は税務機関により最終判断されます(実務の現場では上記①の対象業務は査定利益率が20~40%の範囲になっているとも聞き及びます)。
それでは、上記を勘案して見積もり検討をしてみましょう(以下は算出イメージです)。
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<算出根拠>
①契約金額は500万日本円としました。
②税抜収入=契約金額÷(1+増値税率6%)=5,000,000÷1.06
③増値税=税抜収入×増値税率6%=4,716,981×0.06
④企業所得税=税抜収入×査定利益率(仮30%)×企業所得税率25%=4,716,981×0.3×0.25
⑤都市維持建設税=増値税×都市維持建設税率(注:仮7%)=283,019×0.07
⑥教育付加税=増値税×教育付加税率3%=283,019×0.03
⑦地方教育付加税=増値税×地方教育付加税率2%(上海市)=283,019×0.02
⑧河道税=増値税×河道税率1%=283,019×0.01
⑨税金合計=③~⑧の合計金額
⑩契約金額-税金合計
注:都市維持建設税率は所在地が市区の場合7%、県城・鎮の場合5%、左記以外の場合1%となります。
 
原則、税金は中国企業が代理納付して残額を送金することになります。また企業所得税は日本の外国税額控除の対象になりますので、納税証明書原本の入手をしていただくことが必要になります。尚、増値税は中国企業が増値税一般納税人の場合、仕入増値税控除の対象となります。更に外貨建ての契約の場合、人民元税金・送金金額の計算は納税日の適用為替レートが参照されますのでご留意ください。
 
以上
都民銀商務諮詢(上海)有限公司 渡邉 和俊
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで
 
 
<キーワード>
役務提供、設計、コンサルティング、税金、企業所得税、増値税
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