きらぼし中国ビジネスQ&A

第 46 回「会社側の不当解雇について」
第 46 回「会社側の不当解雇について」
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<質問>
弊社は90年代後半から進出している上海製造現法です。最近になって古くから勤務する中国人幹部が上司の言動に批判的であること、他のスタッフからも同幹部が上司の不満を内部・外部問わずに公言していることから、今後の業務運営につき悪影響があるとして解雇通告をすることを検討しています。どのような場合に不当解雇になるか教えてください。

<回答>
まず貴社上海製造現法である使用者側の解雇事由については、①労働契約法第36条、第39~41条、②労働契約法実施条例第19条に規定があります。ここで該当される解除事由は以下の項目と想定されますのでまずは見てみましょう(①は労働契約法、②は労働契約法実施条例です)。
 
1.合意解除(①第36条、②第19条(1))
2.使用者の内部規定に著しく違反した場合(①第39条(2)、②第19条(3))
3.著しく職務を怠り、又は私利のために不正を働き、使用者に重大な損害を与えた場合(①第39条(3)、②第19条(4))
 
上記、2、3の項目は使用者側の予告なしの解雇事由となりますが、「上司の言動に批判的である」、「上司の不満を内部・外部を問わずに公言している」ことが、本当に内部規定に著しく違反しているか、重大な損害を与えているかがポイントになります。
この「違反」や「損害」の程度については法的根拠がなく、一般的に上海製造現法で定められる就業規則等に求められます。もし使用者側の一方的な判断で2、3を解雇事由として解雇し、中国人幹部が不服を申し立て労働紛争仲裁委員会に発展した場合、使用者側は物的証拠や客観的事実の立証が必要になります(以下、条文参照)。
 
労働紛争が発生した場合、当事者は自らの主張について証拠を提出する責任を負う。紛争事項に関する証拠が使用者の管理下にある場合、使用者はこれを提供しなければならず、これを提供しない場合、不利益な結果を引き受けなければならない(労働紛争調停仲裁法第6条)。
 
労働紛争仲裁委員会の判決で、使用者側の主張が物的証拠等不充分であり、結果として「不当解雇」に該当した場合、「使用者が労働契約法の規定に違反して労働契約を解除、又は終了した場合、労働契約法第47条に規定する経済補償基準の2倍を基準として労働者に賠償金を支払わなければならない(労働契約法第87条)」と規定がされており、合意解除等の時に求められる経済補償金(原則、「対象人員の平均収入×勤続年数」)の2倍の賠償金額を請求される可能性がありますので注意が必要です。但し、上記のように「不当解雇として賠償金を支払った場合、経済補償金は別途支払わないものとする(労働契約法実施条例第25条)」とあり、経済補償金と二重払いにならない配慮もされています。
 
以上
都民銀商務諮詢(上海)有限公司 渡邉 和俊
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<経済補償金バックナンバー参照>
http://www.tomin-bc.com.cn/topics/business/141.html
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