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第 40 回「未回収債権の会計処理について」
第40回「未回収債権の会計処理について」
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<質問>
弊社は上海に所在する製造現地法人です。売掛金の帳簿年齢確認を実施したところ、現在、取引継続中のローカル企業について、過年度の売掛金が回収されていないことが発覚しました。この売掛金に対する契約書、請求書はなく、ローカル企業の経営者も現金にて支払い済みとの認識です。金額も少額のため無駄な争議も避けたいと考えています。このような未回収債権の処理はどのように行えば良いのでしょうか。
 
<回答>
まずは日常の債権管理方法につき不足があったかと思います。債権回収が長期化しますと、当時の担当者が退職して実態把握ができなくなるケースが多くありますので、日常の契約書・請求書作成・発票発行のルールの明確化、複数人で債務者と折衝できる体制作りをしてください。
 
さてご質問事項について、無駄な争議も避けたいとのことで回収を前提せず一括費用計上を希望されていることと存じます。その場合、まず貴社が適用している会計準則によって計上科目が異なります。貴社が「企業会計準則(所謂、新会計準則)」を適用している場合は「資産減損」、「小規模会計準則」を適用している場合は「営業外支出」にて計上をすることになります。貴社が前者を適用している場合、「企業会計準則」第22号第40条には以下の条文規定があります。
 
「企業は決算日において、公正価格をもって測定し且つその変動は当期損益に計上する金融資産以外の金融資産の帳簿価格に対してチェックをし、客観的な根拠により当該金融資産に減損が発生したことが明らかである場合、減損引当金を計上しなければならない。」
 
ここでいう客観的な根拠とは本来であれば「債務者が破産している等の根拠」によりますが、今回はローカル企業の経営者も支払済み=回収不能との認識をして減損計上することを目指します。
 
一方、「企業資産損失所得税税前控除管理弁法(国家税務総局【2011】第25号)」では上記のような減損計上につき、関連契約書・協議書及び説明書、債務者が破産・清算していること(人民法院の公告)、訴訟案件であること(人民法院の判決書、仲裁書、執行書)、営業停止・営業許可証取消となっていること(工商部門の証明)、債務者が死亡・失踪していること(公安の証明)、債務再編であること(債務再編協議書、状況説明)、自然災害・戦争等の不可抗力であること(債務者の受災状況説明、債権放棄申請)の資料提供を要件とし、税前利益から控除できるとしていますので、今回のような存続企業の未回収債権の減損計上について、税務上は全額が費用として認識されず否認されることになります。

 

 以上
都民銀商務諮詢(上海)有限公司 渡邉 和俊

 

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