きらぼし中国ビジネスQ&A

第 39 回「帰任後に支払われる賞与」
第39回「帰任後に支払われる賞与」
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<質問>
弊社は上海に所在する現地法人です。4月1日に人員交代があり日本人駐在者の赴任、帰任が発生しました。通常、弊社は現地法人負担にて駐在者の賞与を1月、7月に支払っています。今回は赴任者、帰任者の7月の賞与を親会社から直接支給する予定です。その場合、個人の課税はどのようになるのでしょうか。尚、7月の賞与は昨年10月~今年3月の業績評価に対する支給です。
 
<回答>
貴社帰任者につきまして上海駐在お疲れさまでした。新たな赴任者も期待や不安があるとは思いますが、帰任者と同様のご活躍をお祈り申し上げます。
 
さてご質問事項について、まず赴任者の7月賞与ですが、賞与の計算期間である昨年10月~今年3月において日本での居住者期間分となりますので、今回は非居住者への賞与支払いとして日本で所得税が源泉徴収されます。中国国内での勤務対応する期間分がありませんので中国では課税されません。
 
一方、帰任者の7月賞与ですが、賞与が支払われる時点で日本の居住者に該当しますので、賞与の計算期間である昨年10月~今年3月までの中国源泉所得についても居住者の国外源泉所得として、その全額が日本での課税対象となります。また帰任者は3月まで中国の居住者ですので、7月の賞与についても中国源泉所得として課税対象となります。中国の課税対象額は【賞与額面金額-日本の所得税】になりますが、月次控除されている外国人の費用控除額4,800元は適用されません。更に賞与を年2回支給されているとのことで、これまで1月の賞与につき年次一括賞与の税優遇政策を使用している場合、今回の7月賞与を年次一括賞与とすることは難しいと思います。
 
また帰任者の7月賞与を親会社から直接支給するとしていますが、中国では出国の前日までが中国の居住者として取り扱われ、帰任者は賞与の計算期間である昨年10月~今年3月において中国の居住者、及び賞与につき中国の源泉所得になり、本来であれば現地法人負担とする必要がありますので出向返戻する等の処置が必要になります。
 
上記のように帰任者の7月賞与は日本でも中国でも課税され、二重課税が発生してしまいます。その場合、帰任者は日本で平成26年度の確定申告(来年2月16日~3月15日)にて外国税額控除の適用を受けることになります。外国税額控除は日本で支払った所得税を限度として中国で課税された金額を控除できる制度ですが、必ずしも全額が控除される訳ではありませんので、計算方法については所轄税務署にお問い合わせください。尚、外国税額控除には中国の個人所得税の納税証明が必要になりますので貴社現地法人におかれましてもきちんと保管をしてください。

 

 以上
都民銀商務諮詢(上海)有限公司 渡邉 和俊

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