きらぼし中国ビジネスQ&A

第 136 回「株主変更時に従業員から受ける質問は?」

<質問>
私は日本企業が出資する製造現法の総経理を務めています。今般、日本本社が中国からの事業撤退を決断し、現地法人持分を中国企業へ譲渡することが決まりました。今後、日本本社による対外発表に合わせて従業員への説明を控えており、この際の従業員からの質問事項を把握しておきたいと考えております。事例などありましたらアドバイス頂けますと幸いです。

 

<回答>
以下に出資者変更時の従業員からの想定Q&Aの事例を記載しますのでご参考ください。
① Q:なぜもっと早く従業員に説明してくれなかったのですか?

A:中国「労働契約法」第40条によれば、会社が従業員と労働契約締結時に依拠した客観的な状況に重大な変化が生じ、従業員との労働契約履行が不可能となる際には、30日前に通知する必要がありますが、今回の場合、出資者の変更が行われる以外に変更事項は発生しません。それによって従業員との労働契約を解除することがないため、事前に通知する義務はありません。
 

② Q:株主の変更によって、従業員との労働契約を締結し直す必要があるのでしょうか。また、賃金福利厚生の待遇は変わるのでしょうか。

A:「労働契約法」第33条によれば、会社の法定代表者、出資者などが変更される場合は、労働契約の履行に対して影響はないため、労働契約の見直しは必要ありません。そのため賃金や福利厚生についても新株主からの提案がない限り、現状からの変更はありません。
 

③ Q:株主の変更によって、経済補償金の支給を要求することができますか。

A:②同様に、「労働契約法」第33条に基づき、労働契約の履行に対して影響がないため、会社として経済補償金を支給する義務はありません。

 

上記は従業員から想定される質問の一部事例となりますが、やはり気になるのは自分たちの今後の処遇だと思います。引き続き従業員には就業を続けてもらう必要があると思いますので、賃金や福利厚生などの処遇については、しっかり説明して従業員の理解を得る必要があると思います。また従業員への説明時にはトラブルを防ぐため弁護士を活用することを推奨致します。 参考:労働契約法原文URL:中华人民共和国劳动合同法 (gqb.gov.cn)

 

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